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第一章
第8話:再従姉エマ
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皇紀2212年・王歴216年・夏・エレンバラ王国男爵領
「我が孫娘、エマでございます。
男爵閣下の御側近くに仕えさせていただきたく、連れてまいりました」
俺の魔力とアイデアで我が家が豊かになったせいかもしれない。
大叔父が跡継ぎである孫娘を俺の側近にしたいと連れてきた。
本家に対する人質という意味もあるのかもしれない。
まだ貴族家内の力関係や支配関係が分からないのだが、叔父達は外に出たのに大叔父は家に残っている。
しかも重要な支城を預かる立場で、やろうと思えば叛乱すら起こせるのだ。
「うむ、大切に預からせてもらう。
ウエスト・エレンバラ城の城代に相応しい騎士になってもらう。
魔力しだいでは、俺の義姉として貴族家に嫁いでもらうかもしれない」
この世界でも腕力は男の方が強い、だから魔力のない兵士はほとんどが男だ。
だが、魔力のある者は違う、貴族家や騎士家の当主に成れるのだ。
目の前にいる再従姉のエマはとても魔力が多いようだ。
これだけの魔力があれば、貴族家の当主になるのも不可能じゃない。
俺の知識の一部でも活用できれば、伯爵や侯爵に相応しい魔力になるだろう。
「有り難き幸せでございます」
エマに魔核を魔晶石にする事ができるか試してみよう。
残念だが祖父と母にはできなかったが、俺以外にあれができる者がいれば助かる。
安く買い集めた魔核から魔晶石を作った上に、魔力まで手に入れられる。
屑魔核に溜まっている魔力など些細な量だが、何千何万と集めれば馬鹿にできない量になるのだ。
その魔力を使って穀物や綿花を育てれば、その利益だけでまた魔核が買える。
同じサイクルで金を使うことなく魔晶石や魔宝石を手に入れられるのだ。
「では最初に我が秘術を伝える、ついてきてくれ」
顔を赤らめてついてくるのは止めてくれ。
わずか四歳で、九歳の再従姉に悪戯などしない。
確かに、前世では全然もてなかったから、今生ではハーレムを作りたいと思っているが、流石に四歳の身体では幼過ぎて女性に手出しできない。
自分に魅力がなくても、政略結婚や人質でハーレムが作れるのなら、それでいいと思っているが、それは少なくとも成人してからにしたい。
「まずは魔晶石作りから練習してもらうが、それができなければ機織りを覚えてもらうから、できなくても気にすることはない」
エマの誤解を解くためにはっきりと言っておく。
俺が飛び杼を導入した事で、我が家の織物は飛躍的によくなった。
生産量が三倍になり、品質も向上して高値で売買されるようになった。
材料となる大麻や亜麻や葛などは、魔核から集めた魔力で幾らでも育てられる。
弱い魔物を狩る人手も、豊かになった事で幾らでも集められるようになった。
腹立たしい事だが、王が亡命してきた事で、我が家に攻め込んでくる貴族がいなくなり、多くの民から安心して暮らせる領地だと思われているのだ。
だから流浪の民が毎日何十人もやってくるようになった。
戦乱で家を焼かれ流浪している民の多くが、その日の食事さえ事欠いている。
毎日二度の食事を提供するだけで、朝から晩まで汗まみれになって働いてくれる。
美味しいはずの新米よりも、炊くと増える古米の方が二割ほど高い現状がある。
それくらいこの国は貧しく、多くの民が飢えているのだ。
「はい、男爵閣下のお役に立てるように精進いたします」
おい、こら、顔を赤らめるんじゃない、母に誤解されてしまうじゃないか。
大叔父の奴、エマに俺が手を出すかもしれないと言ったのか。
もしかして、側近というのは愛妾の意味でもあるのか。
戦国武将のように、小姓を抱く気などないのだぞ、こら、分かっているのか。
「ハリー殿、何をする心算だったのですか。
まさか、母に言えないような事をする心算だったのではありませんよね」
ほら、みろ、母が怖い顔をしているじゃないか。
「我が孫娘、エマでございます。
男爵閣下の御側近くに仕えさせていただきたく、連れてまいりました」
俺の魔力とアイデアで我が家が豊かになったせいかもしれない。
大叔父が跡継ぎである孫娘を俺の側近にしたいと連れてきた。
本家に対する人質という意味もあるのかもしれない。
まだ貴族家内の力関係や支配関係が分からないのだが、叔父達は外に出たのに大叔父は家に残っている。
しかも重要な支城を預かる立場で、やろうと思えば叛乱すら起こせるのだ。
「うむ、大切に預からせてもらう。
ウエスト・エレンバラ城の城代に相応しい騎士になってもらう。
魔力しだいでは、俺の義姉として貴族家に嫁いでもらうかもしれない」
この世界でも腕力は男の方が強い、だから魔力のない兵士はほとんどが男だ。
だが、魔力のある者は違う、貴族家や騎士家の当主に成れるのだ。
目の前にいる再従姉のエマはとても魔力が多いようだ。
これだけの魔力があれば、貴族家の当主になるのも不可能じゃない。
俺の知識の一部でも活用できれば、伯爵や侯爵に相応しい魔力になるだろう。
「有り難き幸せでございます」
エマに魔核を魔晶石にする事ができるか試してみよう。
残念だが祖父と母にはできなかったが、俺以外にあれができる者がいれば助かる。
安く買い集めた魔核から魔晶石を作った上に、魔力まで手に入れられる。
屑魔核に溜まっている魔力など些細な量だが、何千何万と集めれば馬鹿にできない量になるのだ。
その魔力を使って穀物や綿花を育てれば、その利益だけでまた魔核が買える。
同じサイクルで金を使うことなく魔晶石や魔宝石を手に入れられるのだ。
「では最初に我が秘術を伝える、ついてきてくれ」
顔を赤らめてついてくるのは止めてくれ。
わずか四歳で、九歳の再従姉に悪戯などしない。
確かに、前世では全然もてなかったから、今生ではハーレムを作りたいと思っているが、流石に四歳の身体では幼過ぎて女性に手出しできない。
自分に魅力がなくても、政略結婚や人質でハーレムが作れるのなら、それでいいと思っているが、それは少なくとも成人してからにしたい。
「まずは魔晶石作りから練習してもらうが、それができなければ機織りを覚えてもらうから、できなくても気にすることはない」
エマの誤解を解くためにはっきりと言っておく。
俺が飛び杼を導入した事で、我が家の織物は飛躍的によくなった。
生産量が三倍になり、品質も向上して高値で売買されるようになった。
材料となる大麻や亜麻や葛などは、魔核から集めた魔力で幾らでも育てられる。
弱い魔物を狩る人手も、豊かになった事で幾らでも集められるようになった。
腹立たしい事だが、王が亡命してきた事で、我が家に攻め込んでくる貴族がいなくなり、多くの民から安心して暮らせる領地だと思われているのだ。
だから流浪の民が毎日何十人もやってくるようになった。
戦乱で家を焼かれ流浪している民の多くが、その日の食事さえ事欠いている。
毎日二度の食事を提供するだけで、朝から晩まで汗まみれになって働いてくれる。
美味しいはずの新米よりも、炊くと増える古米の方が二割ほど高い現状がある。
それくらいこの国は貧しく、多くの民が飢えているのだ。
「はい、男爵閣下のお役に立てるように精進いたします」
おい、こら、顔を赤らめるんじゃない、母に誤解されてしまうじゃないか。
大叔父の奴、エマに俺が手を出すかもしれないと言ったのか。
もしかして、側近というのは愛妾の意味でもあるのか。
戦国武将のように、小姓を抱く気などないのだぞ、こら、分かっているのか。
「ハリー殿、何をする心算だったのですか。
まさか、母に言えないような事をする心算だったのではありませんよね」
ほら、みろ、母が怖い顔をしているじゃないか。
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