そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全

文字の大きさ
上 下
90 / 91
第一章

第90話:合流・オードリー視点

しおりを挟む
 私達と人界の神々の攻防は私達が圧倒的に不利です。
 神々が人界の場所を知っているのに対して私達は神々の世界の場所を知りません。
 それでも襲われた以上は戦うしかないのです。
 私達は色々と策を仕掛けた上で防御に徹する事にしました。

 神々との戦いは想像以上に苛烈で長いモノとなりました。
 実に半年もの長きにわたって攻防が繰り返される事になったのです。
 もっとも、数多くの守護石達をアラステアが指揮してくれますので、私達は交代で休むことができますから、全く疲労するという事はありませんでした。
 迎撃のために二人以上が待機していたのは最初の数日だけで、その後はアラステアともう一人がいるだけでした。
 
「神々の攻撃を全て受け止めて飛散する魔力を回収しているのよね」

 私はアラステアの何度も確認していました。

「はい、こちらから攻撃を仕掛けては神々に飛散した魔力を回収されてしまいます。
 神々が私達の戦法を真似ることを計算しなければいけません。
 もっとも、こちらから攻撃を仕掛けたくても、神々の住む場所が分からないのが本当の所なのですが」

「今も神々の住処を探しているのよね」

「はい、魔力補給のための新たな世界を探しつつ、神々の住処も探しています」

「神々は自分達が管理する知的生命体に、自分達の住みがを見つけられないようにしているのかしら。
 そう考えたらよく大魔王は自分達の神々の住処を見つけられたわね。
 王妃を殺された恨みがそれほど深かったのかしら」

「さて、それは私にも分かりかねます。
 もしかしたら大魔王が神々の住処を見つけたので、それから他の世界の神々も住処を隠すようになったのかもしれません。
 ただ神々も私達を真似て多くの世界を支配下に置こうとしているかもしれません。
 あるいはそれで他の神々と戦いになるかもしれません」

「今思いついたのだけれど、他の世界を管理している神々と私達が戦うことになったりはしないのかしら」

「残念というべきかもしれませんが、まだ人族は神々から戦うべき同等の相手とはみられておらず、保護すべき相手だと思われているようです」

「人族の神々が心配し過ぎているという事なのかしら。
 それとも他の世界の神々が暢気すぎるのかしら」

「さて、それは私にも分かりかねますが、どちらの可能性も考慮した策を準備していますので、心配されないでください」

「そう言われても心配するわよ。
 具体的にはどうする心算なの」

「しかたありませんね、だったら説明させていただきます。
 人界の神々が心配し過ぎなら、この状態を維持しつつ神々の住処を見つけ出して一柱残らず滅ぼします。
 他の世界の神々が暢気なのなら、それを利用して他の世界に魔力ない人族を移民させて勢力圏を広げます。
 魔力のない人族ならその世界の神々も不安や敵意を抱く事はないでしょう。
 いえ、オードリー達以外の人族に不安や敵意を感じる事はないでしょう」

 まあアラステアの言う通りでしょうね。
 私達家族以外に神々に対抗できる人族がいるとは思えません。

「オードリー、ようやく魔界から守護石達が戻ったようですよ。
 急いで神々の住処を見つけ出して一気に滅ぼしますよ」

「分かったわ」
しおりを挟む
感想 159

あなたにおすすめの小説

婚約破棄は別にいいですけど、優秀な姉と無能な妹なんて噂、本気で信じてるんですか?

リオール
恋愛
侯爵家の執務を汗水流してこなしていた私──バルバラ。 だがある日突然、婚約者に婚約破棄を告げられ、父に次期当主は姉だと宣言され。出て行けと言われるのだった。 世間では姉が優秀、妹は駄目だと思われてるようですが、だから何? せいぜい束の間の贅沢を楽しめばいいです。 貴方達が遊んでる間に、私は──侯爵家、乗っ取らせていただきます! ===== いつもの勢いで書いた小説です。 前作とは逆に妹が主人公。優秀では無いけど努力する人。 妹、頑張ります! ※全41話完結。短編としておきながら読みの甘さが露呈…

王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?

木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。 これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。 しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。 それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。 事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。 妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。 故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。

婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣国へ行きますね

ルーシャオ
恋愛
アンカーソン伯爵家令嬢メリッサはテイト公爵家後継のヒューバートから婚約破棄を言い渡される。幼い頃妹ライラをかばってできたあざを指して「失せろ、その顔が治ってから出直してこい」と言い放たれ、挙句にはヒューバートはライラと婚約することに。 失意のメリッサは王立寄宿学校の教師マギニスの言葉に支えられ、一人で生きていくことを決断。エミーと名前を変え、隣国アスタニア帝国に渡って書籍商になる。するとあるとき、ジーベルン子爵アレクシスと出会う。ひょんなことでアレクシスに顔のあざを見られ——。

幼馴染と仲良くし過ぎている婚約者とは婚約破棄したい!

ルイス
恋愛
ダイダロス王国の侯爵令嬢であるエレナは、リグリット公爵令息と婚約をしていた。 同じ18歳ということで話も合い、仲睦まじいカップルだったが……。 そこに現れたリグリットの幼馴染の伯爵令嬢の存在。リグリットは幼馴染を優先し始める。 あまりにも度が過ぎるので、エレナは不満を口にするが……リグリットは今までの優しい彼からは豹変し、権力にものを言わせ、エレナを束縛し始めた。 「婚約破棄なんてしたら、どうなるか分かっているな?」 その時、エレナは分かってしまったのだ。リグリットは自分の侯爵令嬢の地位だけにしか興味がないことを……。 そんな彼女の前に現れたのは、幼馴染のヨハン王子殿下だった。エレナの状況を理解し、ヨハンは動いてくれることを約束してくれる。 正式な婚約破棄の申し出をするエレナに対し、激怒するリグリットだったが……。

婚約破棄を、あなたのために

月山 歩
恋愛
私はあなたが好きだけど、あなたは彼女が好きなのね。だから、婚約破棄してあげる。そうして、別れたはずが、彼は騎士となり、領主になると、褒章は私を妻にと望んだ。どうして私?彼女のことはもういいの?それともこれは、あなたの人生を台無しにした私への復讐なの?

真実の愛がどうなろうと関係ありません。

希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。 婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。 「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」 サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。 それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。 サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。 一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。 若きバラクロフ侯爵レジナルド。 「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」 フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。 「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」 互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。 その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは…… (予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)

【完結】断罪された悪役令嬢は、全てを捨てる事にした

miniko
恋愛
悪役令嬢に生まれ変わったのだと気付いた時、私は既に王太子の婚約者になった後だった。 婚約回避は手遅れだったが、思いの外、彼と円満な関係を築く。 (ゲーム通りになるとは限らないのかも) ・・・とか思ってたら、学園入学後に状況は激変。 周囲に疎まれる様になり、まんまと卒業パーティーで断罪&婚約破棄のテンプレ展開。 馬鹿馬鹿しい。こんな国、こっちから捨ててやろう。 冤罪を晴らして、意気揚々と単身で出国しようとするのだが、ある人物に捕まって・・・。 強制力と言う名の運命に翻弄される私は、幸せになれるのか!? ※感想欄はネタバレあり/なし の振り分けをしていません。本編より先にお読みになる場合はご注意ください。

そちらから縁を切ったのですから、今更頼らないでください。

木山楽斗
恋愛
伯爵家の令嬢であるアルシエラは、高慢な妹とそんな妹ばかり溺愛する両親に嫌気が差していた。 ある時、彼女は父親から縁を切ることを言い渡される。アルシエラのとある行動が気に食わなかった妹が、父親にそう進言したのだ。 不安はあったが、アルシエラはそれを受け入れた。 ある程度の年齢に達した時から、彼女は実家に見切りをつけるべきだと思っていた。丁度いい機会だったので、それを実行することにしたのだ。 伯爵家を追い出された彼女は、商人としての生活を送っていた。 偶然にも人脈に恵まれた彼女は、着々と力を付けていき、見事成功を収めたのである。 そんな彼女の元に、実家から申し出があった。 事情があって窮地に立たされた伯爵家が、支援を求めてきたのだ。 しかしながら、そんな義理がある訳がなかった。 アルシエラは、両親や妹からの申し出をきっぱりと断ったのである。 ※8話からの登場人物の名前を変更しました。1話の登場人物とは別人です。(バーキントン→ラナキンス)

処理中です...