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第一章
第89話:奇襲・オードリー視点
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アラステアが父上やグレアムに支援を求めるなどよほどのことです。
アラステアは発見した多くの世界と人界を繋いでいます。
だから防御結界には莫大な魔力を投入することができるはずなのです。
それなのに父上とグレアムに支援を求めるほどの状況になっています。
父上もグレアムもその事が分かっているのでしょう。
自分達の守護石に蓄えられた魔力を使って防御結界を強化しています。
「アラステア、大魔王は魔界の神々に勝ったのだな」
父上がアラステアに確認されています。
「はい、大魔王は魔界の神々に勝ちました。
ですが滅ぼしたわけではありません。
今も追撃戦を行っています」
「だとすれば、人界の神々は自分達が私達に攻撃されることを恐れたのだな」
「はい、恐らくそうだと思われます。
人族が魔族のように神々を滅ぼそうとするのを恐れたのでしょう。
自分達が人族を見殺しにしようとした事が後ろめたかったのだと思われます。
疑心暗鬼に陥ってしまい、我々が魔界に魔力を供与して力がないうちに、攻め滅ぼしてしまう気になったのでしょう」
父上とアラステアの話を聞くかぎではありますが、神々とはなんて身勝手なのでしょうか。
最初に護るべき人族を魔界の神々に襲われるという失態を犯した上に、それを隠蔽するために魔界の神々に人族を滅ぼさせようと放置するような奴らです。
そんな神々に黙って殺されてやる気はありません、逆に滅ぼしてやります。
先程から信じられないくらい高まっていた魔力が、怒りのあまり更に十数倍は増幅しているのが自分でもわかります。
「父上、グレアム、私が魔力を支援します」
「そんな事をしなくても魔力には十分余裕がありますよと言いたいのですが、オードリーの魔力が多過ぎて私や守護石でも回収できないですね。
そのまま防御魔法に魔力を流してください」
アラステアに言われるままに防御結界に魔力を注ぎます。
「それほど魔力が高まっているのなら、予備の守護石に魔力を回収させよう」
父上らしいですね。
大魔王に支援した守護石二十万と、人界の防衛のために残した守護石二十万、それ以外にも引き渡し日以降に数多くの守護石を創り出して予備にしているようです。
彼らに私の溢れるほどの魔力を回収させる事で、薄汚い神々に逆撃をしかけようとしているのでしょう。
「はい、父上。
しかし神々は馬鹿なのでしょうか。
父上が全ての魔力や守護石を大魔王に差し出したと思っているのでしょうか。
普通に考えて、魔力や守護石を半数は残すと考えなかったのでしょうか」
「それに関しては私がお応えしましょう」
「いいわよアラステア。
アラステアはどう考えているの」
「恐らくですが、我々が発見して利用している世界の数を計算違いしているのです。
特に人界よりも時の流れの早い世界の事を計算していないのでしょう。
全てを人界と同じ基準で計算してしまっているのです。
時の流れの早い世界にある莫大な魔力を守護石に蓄えさせている事を、全く想像できなかったのだと思われます」
これは神々を滅ぼして人族が新たな神になる好機かもしれません。
魔族、特に大魔王が魔界の神々の世界を手に入れてからどう動くか分かりません。
神々の世界が魔界や人界よりも遥かに魔力に溢れた世界なのかもしれません。
そんな世界を大魔王が手に入れてしまったら、人族を滅ぼそうと考えるかもしれませんから、ここは人族も神々の世界を手に入れなければいけないですね。
アラステアは発見した多くの世界と人界を繋いでいます。
だから防御結界には莫大な魔力を投入することができるはずなのです。
それなのに父上とグレアムに支援を求めるほどの状況になっています。
父上もグレアムもその事が分かっているのでしょう。
自分達の守護石に蓄えられた魔力を使って防御結界を強化しています。
「アラステア、大魔王は魔界の神々に勝ったのだな」
父上がアラステアに確認されています。
「はい、大魔王は魔界の神々に勝ちました。
ですが滅ぼしたわけではありません。
今も追撃戦を行っています」
「だとすれば、人界の神々は自分達が私達に攻撃されることを恐れたのだな」
「はい、恐らくそうだと思われます。
人族が魔族のように神々を滅ぼそうとするのを恐れたのでしょう。
自分達が人族を見殺しにしようとした事が後ろめたかったのだと思われます。
疑心暗鬼に陥ってしまい、我々が魔界に魔力を供与して力がないうちに、攻め滅ぼしてしまう気になったのでしょう」
父上とアラステアの話を聞くかぎではありますが、神々とはなんて身勝手なのでしょうか。
最初に護るべき人族を魔界の神々に襲われるという失態を犯した上に、それを隠蔽するために魔界の神々に人族を滅ぼさせようと放置するような奴らです。
そんな神々に黙って殺されてやる気はありません、逆に滅ぼしてやります。
先程から信じられないくらい高まっていた魔力が、怒りのあまり更に十数倍は増幅しているのが自分でもわかります。
「父上、グレアム、私が魔力を支援します」
「そんな事をしなくても魔力には十分余裕がありますよと言いたいのですが、オードリーの魔力が多過ぎて私や守護石でも回収できないですね。
そのまま防御魔法に魔力を流してください」
アラステアに言われるままに防御結界に魔力を注ぎます。
「それほど魔力が高まっているのなら、予備の守護石に魔力を回収させよう」
父上らしいですね。
大魔王に支援した守護石二十万と、人界の防衛のために残した守護石二十万、それ以外にも引き渡し日以降に数多くの守護石を創り出して予備にしているようです。
彼らに私の溢れるほどの魔力を回収させる事で、薄汚い神々に逆撃をしかけようとしているのでしょう。
「はい、父上。
しかし神々は馬鹿なのでしょうか。
父上が全ての魔力や守護石を大魔王に差し出したと思っているのでしょうか。
普通に考えて、魔力や守護石を半数は残すと考えなかったのでしょうか」
「それに関しては私がお応えしましょう」
「いいわよアラステア。
アラステアはどう考えているの」
「恐らくですが、我々が発見して利用している世界の数を計算違いしているのです。
特に人界よりも時の流れの早い世界の事を計算していないのでしょう。
全てを人界と同じ基準で計算してしまっているのです。
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これは神々を滅ぼして人族が新たな神になる好機かもしれません。
魔族、特に大魔王が魔界の神々の世界を手に入れてからどう動くか分かりません。
神々の世界が魔界や人界よりも遥かに魔力に溢れた世界なのかもしれません。
そんな世界を大魔王が手に入れてしまったら、人族を滅ぼそうと考えるかもしれませんから、ここは人族も神々の世界を手に入れなければいけないですね。
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