85 / 91
第一章
第85話:遊撃・オードリー視点
しおりを挟む
大魔王と父上が魔界の周辺に配置した索敵用の守護石使い魔が、魔族軍が神々の住処を攻撃しようと布陣している反対側に強力な魔力反応を探知しました。
魔界に直接転移門を開くのではなく、防御結界から離れた場所に転移門を開くことで、魔族の迎撃を逃れようとしたのです。
「最後まで想定通りに行ってくれればいいのだが」
父上がつぶやかれます。
内心不安に思っておられるのかもしれません。
できれば神々には魔族との戦いで滅んでもらいたいです。
ここで魔族が滅べば次に狙われるのは人族になりますから。
理想はこのまま予想通り戦況が動いてくれて、魔族も神々も人族と争えないくらい激しく損耗してくれればいいのですが、そう上手くはいかないでしょうね。
「神々がこちらに現れてきたぞ」
父上が人界を見守っている母上とグレアムに状況を伝えています。
母上とグレアムは人族の神々が攻撃してきた時に備えてくれています。
家族会議では、人族の神々が攻撃して可能性は低いという結論になりましたが、絶対ではありません。
「百、いや、二百はいるぞ」
神々を迎撃する方法は意見が分かれました。
安全を優先する人は転移門が開かれたらすぐに攻撃魔術を打ち込むべきだと言い、確実に神々を斃していきたい人は、こちらに世界に引きずりこんでから攻撃魔術を打ち込むべきだと言いました。
「よし、包囲攻撃が始まったぞ」
最終的には包囲殲滅作戦が採用されました。
それが可能なだけの莫大な魔力を私達が集め魔族に供与することができたので、魔族の慎重派を説得できました。
アラステアが信じられないくらい多く魔力豊富な世界を発見してくれた事で、今回の作戦が採用できたのです。
ギャアアアアア
などという断末魔は一切聞こえてきません。
全ては音のない世界で行われている攻防です。
いえ、一方的な虐殺といえるほど圧倒的な勝利です。
守護石で創り出した戦闘用使い魔が神々よりも強いという事が確認できたことは、人界を護るという意味で安心材料です。
「グレアム、守護石でも十分神々と戦えるわ。
だから絶対に最前線にはでないでね。
私や子供達を残して死んでは駄目よ」
グレアムにはちゃんと言っておかなければいけません。
正義感や騎士道精神が強すぎて死に急いでしまう可能性が高いのです。
私としては民を見捨ててでも生き延びて欲しいと思っています。
本当に身勝手ですよね。
グレアムの無償の愛情に惹かれて夫婦に成ったのに、その無償の愛を捨てて家族のために生きて欲しいと願っているのです。
アラステアの言う通り、人族は身勝手な生き物ですね。
さて、魔界に攻め込んできた神々を殲滅したら、今度はこちらが神々の世界に攻め込む番です。
魔界に直接転移門を開くのではなく、防御結界から離れた場所に転移門を開くことで、魔族の迎撃を逃れようとしたのです。
「最後まで想定通りに行ってくれればいいのだが」
父上がつぶやかれます。
内心不安に思っておられるのかもしれません。
できれば神々には魔族との戦いで滅んでもらいたいです。
ここで魔族が滅べば次に狙われるのは人族になりますから。
理想はこのまま予想通り戦況が動いてくれて、魔族も神々も人族と争えないくらい激しく損耗してくれればいいのですが、そう上手くはいかないでしょうね。
「神々がこちらに現れてきたぞ」
父上が人界を見守っている母上とグレアムに状況を伝えています。
母上とグレアムは人族の神々が攻撃してきた時に備えてくれています。
家族会議では、人族の神々が攻撃して可能性は低いという結論になりましたが、絶対ではありません。
「百、いや、二百はいるぞ」
神々を迎撃する方法は意見が分かれました。
安全を優先する人は転移門が開かれたらすぐに攻撃魔術を打ち込むべきだと言い、確実に神々を斃していきたい人は、こちらに世界に引きずりこんでから攻撃魔術を打ち込むべきだと言いました。
「よし、包囲攻撃が始まったぞ」
最終的には包囲殲滅作戦が採用されました。
それが可能なだけの莫大な魔力を私達が集め魔族に供与することができたので、魔族の慎重派を説得できました。
アラステアが信じられないくらい多く魔力豊富な世界を発見してくれた事で、今回の作戦が採用できたのです。
ギャアアアアア
などという断末魔は一切聞こえてきません。
全ては音のない世界で行われている攻防です。
いえ、一方的な虐殺といえるほど圧倒的な勝利です。
守護石で創り出した戦闘用使い魔が神々よりも強いという事が確認できたことは、人界を護るという意味で安心材料です。
「グレアム、守護石でも十分神々と戦えるわ。
だから絶対に最前線にはでないでね。
私や子供達を残して死んでは駄目よ」
グレアムにはちゃんと言っておかなければいけません。
正義感や騎士道精神が強すぎて死に急いでしまう可能性が高いのです。
私としては民を見捨ててでも生き延びて欲しいと思っています。
本当に身勝手ですよね。
グレアムの無償の愛情に惹かれて夫婦に成ったのに、その無償の愛を捨てて家族のために生きて欲しいと願っているのです。
アラステアの言う通り、人族は身勝手な生き物ですね。
さて、魔界に攻め込んできた神々を殲滅したら、今度はこちらが神々の世界に攻め込む番です。
49
お気に入りに追加
4,741
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣国へ行きますね
ルーシャオ
恋愛
アンカーソン伯爵家令嬢メリッサはテイト公爵家後継のヒューバートから婚約破棄を言い渡される。幼い頃妹ライラをかばってできたあざを指して「失せろ、その顔が治ってから出直してこい」と言い放たれ、挙句にはヒューバートはライラと婚約することに。
失意のメリッサは王立寄宿学校の教師マギニスの言葉に支えられ、一人で生きていくことを決断。エミーと名前を変え、隣国アスタニア帝国に渡って書籍商になる。するとあるとき、ジーベルン子爵アレクシスと出会う。ひょんなことでアレクシスに顔のあざを見られ——。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄は別にいいですけど、優秀な姉と無能な妹なんて噂、本気で信じてるんですか?
リオール
恋愛
侯爵家の執務を汗水流してこなしていた私──バルバラ。
だがある日突然、婚約者に婚約破棄を告げられ、父に次期当主は姉だと宣言され。出て行けと言われるのだった。
世間では姉が優秀、妹は駄目だと思われてるようですが、だから何?
せいぜい束の間の贅沢を楽しめばいいです。
貴方達が遊んでる間に、私は──侯爵家、乗っ取らせていただきます!
=====
いつもの勢いで書いた小説です。
前作とは逆に妹が主人公。優秀では無いけど努力する人。
妹、頑張ります!
※全41話完結。短編としておきながら読みの甘さが露呈…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
幼馴染と仲良くし過ぎている婚約者とは婚約破棄したい!
ルイス
恋愛
ダイダロス王国の侯爵令嬢であるエレナは、リグリット公爵令息と婚約をしていた。
同じ18歳ということで話も合い、仲睦まじいカップルだったが……。
そこに現れたリグリットの幼馴染の伯爵令嬢の存在。リグリットは幼馴染を優先し始める。
あまりにも度が過ぎるので、エレナは不満を口にするが……リグリットは今までの優しい彼からは豹変し、権力にものを言わせ、エレナを束縛し始めた。
「婚約破棄なんてしたら、どうなるか分かっているな?」
その時、エレナは分かってしまったのだ。リグリットは自分の侯爵令嬢の地位だけにしか興味がないことを……。
そんな彼女の前に現れたのは、幼馴染のヨハン王子殿下だった。エレナの状況を理解し、ヨハンは動いてくれることを約束してくれる。
正式な婚約破棄の申し出をするエレナに対し、激怒するリグリットだったが……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄された公爵令嬢は本当はその王国にとってなくてはならない存在でしたけど、もう遅いです
神崎 ルナ
恋愛
ロザンナ・ブリオッシュ公爵令嬢は美形揃いの公爵家の中でも比較的地味な部類に入る。茶色の髪にこげ茶の瞳はおとなしめな外見に拍車をかけて見えた。そのせいか、婚約者のこのトレント王国の王太子クルクスル殿下には最初から塩対応されていた。
そんな折り、王太子に近付く女性がいるという。
アリサ・タンザイト子爵令嬢は、貴族令嬢とは思えないほどその親しみやすさで王太子の心を捕らえてしまったようなのだ。
仲がよさげな二人の様子を見たロザンナは少しばかり不安を感じたが。
(まさか、ね)
だが、その不安は的中し、ロザンナは王太子に婚約破棄を告げられてしまう。
――実は、婚約破棄され追放された地味な令嬢はとても重要な役目をになっていたのに。
(※誤字報告ありがとうございます)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
真実の愛がどうなろうと関係ありません。
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。
婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。
「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」
サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。
それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。
サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。
一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。
若きバラクロフ侯爵レジナルド。
「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」
フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。
「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」
互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。
その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは……
(予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
そちらから縁を切ったのですから、今更頼らないでください。
木山楽斗
恋愛
伯爵家の令嬢であるアルシエラは、高慢な妹とそんな妹ばかり溺愛する両親に嫌気が差していた。
ある時、彼女は父親から縁を切ることを言い渡される。アルシエラのとある行動が気に食わなかった妹が、父親にそう進言したのだ。
不安はあったが、アルシエラはそれを受け入れた。
ある程度の年齢に達した時から、彼女は実家に見切りをつけるべきだと思っていた。丁度いい機会だったので、それを実行することにしたのだ。
伯爵家を追い出された彼女は、商人としての生活を送っていた。
偶然にも人脈に恵まれた彼女は、着々と力を付けていき、見事成功を収めたのである。
そんな彼女の元に、実家から申し出があった。
事情があって窮地に立たされた伯爵家が、支援を求めてきたのだ。
しかしながら、そんな義理がある訳がなかった。
アルシエラは、両親や妹からの申し出をきっぱりと断ったのである。
※8話からの登場人物の名前を変更しました。1話の登場人物とは別人です。(バーキントン→ラナキンス)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
父の大事な家族は、再婚相手と異母妹のみで、私は元より家族ではなかったようです
珠宮さくら
恋愛
フィロマという国で、母の病を治そうとした1人の少女がいた。母のみならず、その病に苦しむ者は、年々増えていたが、治せる薬はなく、進行を遅らせる薬しかなかった。
その病を色んな本を読んで調べあげた彼女の名前は、ヴァリャ・チャンダ。だが、それで病に効く特効薬が出来上がることになったが、母を救うことは叶わなかった。
そんな彼女が、楽しみにしていたのは隣国のラジェスへの留学だったのだが、そのために必死に貯めていた資金も父に取り上げられ、義母と異母妹の散財のために金を稼げとまで言われてしまう。
そこにヴァリャにとって救世主のように現れた令嬢がいたことで、彼女の人生は一変していくのだが、彼女らしさが消えることはなかった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】断罪された悪役令嬢は、全てを捨てる事にした
miniko
恋愛
悪役令嬢に生まれ変わったのだと気付いた時、私は既に王太子の婚約者になった後だった。
婚約回避は手遅れだったが、思いの外、彼と円満な関係を築く。
(ゲーム通りになるとは限らないのかも)
・・・とか思ってたら、学園入学後に状況は激変。
周囲に疎まれる様になり、まんまと卒業パーティーで断罪&婚約破棄のテンプレ展開。
馬鹿馬鹿しい。こんな国、こっちから捨ててやろう。
冤罪を晴らして、意気揚々と単身で出国しようとするのだが、ある人物に捕まって・・・。
強制力と言う名の運命に翻弄される私は、幸せになれるのか!?
※感想欄はネタバレあり/なし の振り分けをしていません。本編より先にお読みになる場合はご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる