31 / 91
第一章
第31話:ルーパス、勇者、大魔王6
しおりを挟む
大魔王は余裕満々な態度でルーパスに条件を付きつけた。
「一つ目の条件は、オードリーの魔力を蓄えた魔晶石を渡すのだ。
あの魔晶石に蓄えられた魔力があれば、神々を押し返すことができる」
この条件は流石にルーパスも即答できなかった。
オードリーを護るためにどうしても必要なものだからだ。
だがそんな事は大魔王にも分かっていた。
「くっくっくっくっ、オードリーを危険にはできないか。
よき父親だな、ルーパス。
だったら代わりの守護石を作ればいい。
いや、難しい仕掛けなど不要だ。
守護石に蓄えられた魔力を移す魔宝石を作ればよい。
魔宝石に守護石の魔力を移して寄こせ」
だがその条件でもルーパスは即答できなかった。
守護石に蓄えられた全ての魔力を大魔王に渡してしまったら、大魔王が裏切ってオードリーを攻撃した時に助からない。
「くっくっくっくっ、全部は渡せないか。
だがその時にはルーパスがオードリーの側にいるのだぞ。
それでも余の攻撃からオードリーを護り切れないというのか。
まあ、よい、それも親心だな。
だったら半分だ、守護石半分の魔力を寄こせ、それで許してやる」
ルーパスは少し迷って決断した。
「分かった、守護石の魔力を半分渡そう。
それでミネルバを蘇らせてくれるのだな」
「まだだ、まだその程度では駄目だ。
もう幾つかやってもらわなければ蘇らす事はできん。
それとも術を教えてやるから自分でやるか」
大魔王はルーパスの弱みを十分に理解していた。
ルーパスが何を失ってもミネルバを蘇らせたいと思っている事。
オードリーを助けたいと思っている事。
できればミネルバにもオードリーにも嫌われなくないと思っている事。
だからギリギリまで利を得ようとしていた。
「……分かった、何が望みなのだ」
「ルーパスは気がついていないだろうが、守護石はいい仕事をしている。
オードリーを殺そうとした連中、オードリーを傷つけた連中をモンスターに変化させて、共喰いをさせている。
その連中を魔界に転移させろ。
別に難しい事ではないだろう。
さっき閉じた通路を開いてこちらに送り出せばいい。
ルーパスなら数日でその程度の魔力は回復するであろう」
ルーパスは大魔王の言葉に驚いていた。
守護石がそんな方法を使って復讐をしているとは思っていなかった。
ルーパスにはそんな能力を付与した覚えがなかったからだ。
そんな事ができるのなら、オードリーが自殺する前に助けろと思っていた。
だがもしそれが本当ならば、そんな連中がどうなろうと知った事ではなかった。
「分かった、そんな事なら何の問題もない。
他にも条件があるのだろう、さっさと言え大魔王」
「一つ目の条件は、オードリーの魔力を蓄えた魔晶石を渡すのだ。
あの魔晶石に蓄えられた魔力があれば、神々を押し返すことができる」
この条件は流石にルーパスも即答できなかった。
オードリーを護るためにどうしても必要なものだからだ。
だがそんな事は大魔王にも分かっていた。
「くっくっくっくっ、オードリーを危険にはできないか。
よき父親だな、ルーパス。
だったら代わりの守護石を作ればいい。
いや、難しい仕掛けなど不要だ。
守護石に蓄えられた魔力を移す魔宝石を作ればよい。
魔宝石に守護石の魔力を移して寄こせ」
だがその条件でもルーパスは即答できなかった。
守護石に蓄えられた全ての魔力を大魔王に渡してしまったら、大魔王が裏切ってオードリーを攻撃した時に助からない。
「くっくっくっくっ、全部は渡せないか。
だがその時にはルーパスがオードリーの側にいるのだぞ。
それでも余の攻撃からオードリーを護り切れないというのか。
まあ、よい、それも親心だな。
だったら半分だ、守護石半分の魔力を寄こせ、それで許してやる」
ルーパスは少し迷って決断した。
「分かった、守護石の魔力を半分渡そう。
それでミネルバを蘇らせてくれるのだな」
「まだだ、まだその程度では駄目だ。
もう幾つかやってもらわなければ蘇らす事はできん。
それとも術を教えてやるから自分でやるか」
大魔王はルーパスの弱みを十分に理解していた。
ルーパスが何を失ってもミネルバを蘇らせたいと思っている事。
オードリーを助けたいと思っている事。
できればミネルバにもオードリーにも嫌われなくないと思っている事。
だからギリギリまで利を得ようとしていた。
「……分かった、何が望みなのだ」
「ルーパスは気がついていないだろうが、守護石はいい仕事をしている。
オードリーを殺そうとした連中、オードリーを傷つけた連中をモンスターに変化させて、共喰いをさせている。
その連中を魔界に転移させろ。
別に難しい事ではないだろう。
さっき閉じた通路を開いてこちらに送り出せばいい。
ルーパスなら数日でその程度の魔力は回復するであろう」
ルーパスは大魔王の言葉に驚いていた。
守護石がそんな方法を使って復讐をしているとは思っていなかった。
ルーパスにはそんな能力を付与した覚えがなかったからだ。
そんな事ができるのなら、オードリーが自殺する前に助けろと思っていた。
だがもしそれが本当ならば、そんな連中がどうなろうと知った事ではなかった。
「分かった、そんな事なら何の問題もない。
他にも条件があるのだろう、さっさと言え大魔王」
238
お気に入りに追加
4,741
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄は別にいいですけど、優秀な姉と無能な妹なんて噂、本気で信じてるんですか?
リオール
恋愛
侯爵家の執務を汗水流してこなしていた私──バルバラ。
だがある日突然、婚約者に婚約破棄を告げられ、父に次期当主は姉だと宣言され。出て行けと言われるのだった。
世間では姉が優秀、妹は駄目だと思われてるようですが、だから何?
せいぜい束の間の贅沢を楽しめばいいです。
貴方達が遊んでる間に、私は──侯爵家、乗っ取らせていただきます!
=====
いつもの勢いで書いた小説です。
前作とは逆に妹が主人公。優秀では無いけど努力する人。
妹、頑張ります!
※全41話完結。短編としておきながら読みの甘さが露呈…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄された公爵令嬢は本当はその王国にとってなくてはならない存在でしたけど、もう遅いです
神崎 ルナ
恋愛
ロザンナ・ブリオッシュ公爵令嬢は美形揃いの公爵家の中でも比較的地味な部類に入る。茶色の髪にこげ茶の瞳はおとなしめな外見に拍車をかけて見えた。そのせいか、婚約者のこのトレント王国の王太子クルクスル殿下には最初から塩対応されていた。
そんな折り、王太子に近付く女性がいるという。
アリサ・タンザイト子爵令嬢は、貴族令嬢とは思えないほどその親しみやすさで王太子の心を捕らえてしまったようなのだ。
仲がよさげな二人の様子を見たロザンナは少しばかり不安を感じたが。
(まさか、ね)
だが、その不安は的中し、ロザンナは王太子に婚約破棄を告げられてしまう。
――実は、婚約破棄され追放された地味な令嬢はとても重要な役目をになっていたのに。
(※誤字報告ありがとうございます)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣国へ行きますね
ルーシャオ
恋愛
アンカーソン伯爵家令嬢メリッサはテイト公爵家後継のヒューバートから婚約破棄を言い渡される。幼い頃妹ライラをかばってできたあざを指して「失せろ、その顔が治ってから出直してこい」と言い放たれ、挙句にはヒューバートはライラと婚約することに。
失意のメリッサは王立寄宿学校の教師マギニスの言葉に支えられ、一人で生きていくことを決断。エミーと名前を変え、隣国アスタニア帝国に渡って書籍商になる。するとあるとき、ジーベルン子爵アレクシスと出会う。ひょんなことでアレクシスに顔のあざを見られ——。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
真実の愛がどうなろうと関係ありません。
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。
婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。
「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」
サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。
それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。
サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。
一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。
若きバラクロフ侯爵レジナルド。
「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」
フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。
「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」
互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。
その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは……
(予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
そちらから縁を切ったのですから、今更頼らないでください。
木山楽斗
恋愛
伯爵家の令嬢であるアルシエラは、高慢な妹とそんな妹ばかり溺愛する両親に嫌気が差していた。
ある時、彼女は父親から縁を切ることを言い渡される。アルシエラのとある行動が気に食わなかった妹が、父親にそう進言したのだ。
不安はあったが、アルシエラはそれを受け入れた。
ある程度の年齢に達した時から、彼女は実家に見切りをつけるべきだと思っていた。丁度いい機会だったので、それを実行することにしたのだ。
伯爵家を追い出された彼女は、商人としての生活を送っていた。
偶然にも人脈に恵まれた彼女は、着々と力を付けていき、見事成功を収めたのである。
そんな彼女の元に、実家から申し出があった。
事情があって窮地に立たされた伯爵家が、支援を求めてきたのだ。
しかしながら、そんな義理がある訳がなかった。
アルシエラは、両親や妹からの申し出をきっぱりと断ったのである。
※8話からの登場人物の名前を変更しました。1話の登場人物とは別人です。(バーキントン→ラナキンス)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
父の大事な家族は、再婚相手と異母妹のみで、私は元より家族ではなかったようです
珠宮さくら
恋愛
フィロマという国で、母の病を治そうとした1人の少女がいた。母のみならず、その病に苦しむ者は、年々増えていたが、治せる薬はなく、進行を遅らせる薬しかなかった。
その病を色んな本を読んで調べあげた彼女の名前は、ヴァリャ・チャンダ。だが、それで病に効く特効薬が出来上がることになったが、母を救うことは叶わなかった。
そんな彼女が、楽しみにしていたのは隣国のラジェスへの留学だったのだが、そのために必死に貯めていた資金も父に取り上げられ、義母と異母妹の散財のために金を稼げとまで言われてしまう。
そこにヴァリャにとって救世主のように現れた令嬢がいたことで、彼女の人生は一変していくのだが、彼女らしさが消えることはなかった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】断罪された悪役令嬢は、全てを捨てる事にした
miniko
恋愛
悪役令嬢に生まれ変わったのだと気付いた時、私は既に王太子の婚約者になった後だった。
婚約回避は手遅れだったが、思いの外、彼と円満な関係を築く。
(ゲーム通りになるとは限らないのかも)
・・・とか思ってたら、学園入学後に状況は激変。
周囲に疎まれる様になり、まんまと卒業パーティーで断罪&婚約破棄のテンプレ展開。
馬鹿馬鹿しい。こんな国、こっちから捨ててやろう。
冤罪を晴らして、意気揚々と単身で出国しようとするのだが、ある人物に捕まって・・・。
強制力と言う名の運命に翻弄される私は、幸せになれるのか!?
※感想欄はネタバレあり/なし の振り分けをしていません。本編より先にお読みになる場合はご注意ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
捨てた私をもう一度拾うおつもりですか?
ミィタソ
恋愛
「みんな聞いてくれ! 今日をもって、エルザ・ローグアシュタルとの婚約を破棄する! そして、その妹——アイリス・ローグアシュタルと正式に婚約することを決めた! 今日という祝いの日に、みんなに伝えることができ、嬉しく思う……」
ローグアシュタル公爵家の長女――エルザは、マクーン・ザルカンド王子の誕生日記念パーティーで婚約破棄を言い渡される。
それどころか、王子の横には舌を出して笑うエルザの妹――アイリスの姿が。
傷心を癒すため、父親の勧めで隣国へ行くのだが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる