6 / 11
第一章
第6話:挑発
しおりを挟む
「くっくっくっく、ワッハハハハ、アッハッハッハ。
これはいい、それは最高だ、フレン王家も可哀想なものだ。
聖女マリーナは最初からフレン王国を乗っ取る心算だったか」
黄金龍は心から愉快になって大笑いしていた。
「失礼な事を言わないで、龍、最初からではないわよ。
そうなる可能性は高いとは思っていたけれど、絶対ではなかったわ。
人は心弱いモノだけれど、一晩一瞬で豹変する事もできるのよ。
本当に少しの可能性だけど、それに賭けて負けた、それだけの事よ。
ま、負けることを大前提に準備を整えていたのは間違いなけれどね」
「それが国を乗っ取る気満々だと言うのだよ、聖女マリーナ。
ふう、久しぶりに笑わしてもらったよ。
よかろう、退屈な隠居生活は今日で終わりだ。
我と神が戦えば、この世界がひっくり返るほどの被害が出るだろうが、その事を承知で助太刀を頼みに来るお前の身勝手さが面白い。
お前に力を貸して神と戦ってやろうではないかい」
実は黄金龍は結構優しい性格になっていた。
若く血気盛んな時には、大陸の、いや、この星の生物全てを滅ぼしかねない喧嘩を繰り返してきたが、徐々に弱い生き物にも配慮するようになり、鼻息ひとつで山脈を破壊しないように、別次元に空間を創ってそこで隠居していたのだ。
だが、人間の代表と言っていい聖女が、人間だけでなく星々の生命全てを巻き込む神との戦いを覚悟していると聞き、聖女の責任で暇つぶしができるのなら最高だと、聖女の味方をして神と戦う気になっていた。
「馬鹿な事を言わないでよ、なんで私が、可愛いアンリが継ぐべき国を滅ぼしたり、アンリが住む世界を破壊したりするのよ。
そんな事は絶対にやらないわよ」
黄金龍は珍しく虚を突かれて驚てしまった。
黄金龍は、過去に神と戦ったことが何度かある
天罰を下そうとこの世界にやって来た神と腕試しをするためだった。
ほぼ互角、勝つこともあれば負けることもあったが、どちらかを滅ぼしてしまう前に、神が自分達の世界に逃げ帰っていた。
どうやら神には、この世界に留まれる時間に限りがあるようだった。
だからこそ、この世界に大きな被害を及ぼすが、最低でも神と引き分けに持ち込める、この世界で戦うと思っていたのだが……
「龍は自分に有利なこの世界でしか戦った事がないみたいだけど、それは情けなさ過ぎるんじゃなくて?
本気で戦うのなら、自分の家や家族を巻き込まないように、敵の本拠に乗り込んで戦ってこそ漢というものよ。
それとも龍は神の世界に乗り込むのが怖いの?」
これはいい、それは最高だ、フレン王家も可哀想なものだ。
聖女マリーナは最初からフレン王国を乗っ取る心算だったか」
黄金龍は心から愉快になって大笑いしていた。
「失礼な事を言わないで、龍、最初からではないわよ。
そうなる可能性は高いとは思っていたけれど、絶対ではなかったわ。
人は心弱いモノだけれど、一晩一瞬で豹変する事もできるのよ。
本当に少しの可能性だけど、それに賭けて負けた、それだけの事よ。
ま、負けることを大前提に準備を整えていたのは間違いなけれどね」
「それが国を乗っ取る気満々だと言うのだよ、聖女マリーナ。
ふう、久しぶりに笑わしてもらったよ。
よかろう、退屈な隠居生活は今日で終わりだ。
我と神が戦えば、この世界がひっくり返るほどの被害が出るだろうが、その事を承知で助太刀を頼みに来るお前の身勝手さが面白い。
お前に力を貸して神と戦ってやろうではないかい」
実は黄金龍は結構優しい性格になっていた。
若く血気盛んな時には、大陸の、いや、この星の生物全てを滅ぼしかねない喧嘩を繰り返してきたが、徐々に弱い生き物にも配慮するようになり、鼻息ひとつで山脈を破壊しないように、別次元に空間を創ってそこで隠居していたのだ。
だが、人間の代表と言っていい聖女が、人間だけでなく星々の生命全てを巻き込む神との戦いを覚悟していると聞き、聖女の責任で暇つぶしができるのなら最高だと、聖女の味方をして神と戦う気になっていた。
「馬鹿な事を言わないでよ、なんで私が、可愛いアンリが継ぐべき国を滅ぼしたり、アンリが住む世界を破壊したりするのよ。
そんな事は絶対にやらないわよ」
黄金龍は珍しく虚を突かれて驚てしまった。
黄金龍は、過去に神と戦ったことが何度かある
天罰を下そうとこの世界にやって来た神と腕試しをするためだった。
ほぼ互角、勝つこともあれば負けることもあったが、どちらかを滅ぼしてしまう前に、神が自分達の世界に逃げ帰っていた。
どうやら神には、この世界に留まれる時間に限りがあるようだった。
だからこそ、この世界に大きな被害を及ぼすが、最低でも神と引き分けに持ち込める、この世界で戦うと思っていたのだが……
「龍は自分に有利なこの世界でしか戦った事がないみたいだけど、それは情けなさ過ぎるんじゃなくて?
本気で戦うのなら、自分の家や家族を巻き込まないように、敵の本拠に乗り込んで戦ってこそ漢というものよ。
それとも龍は神の世界に乗り込むのが怖いの?」
1
お気に入りに追加
673
あなたにおすすめの小説

虐げられた第一王女は隣国王室の至宝となる
珊瑚
恋愛
王族女性に聖なる力を持って産まれる者がいるイングステン王国。『聖女』と呼ばれるその王族女性は、『神獣』を操る事が出来るという。生まれた時から可愛がられる双子の妹とは違い、忌み嫌われてきた王女・セレナが追放された先は隣国・アバーヴェルド帝国。そこで彼女は才能を開花させ、大切に庇護される。一方、セレナを追放した後のイングステン王国では国土が荒れ始めて……
ゆっくり更新になるかと思います。
ですが、最後までプロットを完成させておりますので意地でも完結させますのでそこについては御安心下さいm(_ _)m

妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~
岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。
本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。
別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい!
そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。

私は聖女(ヒロイン)のおまけ
音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女
100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女
しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。
聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~
白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。
王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。
彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。
#表紙絵は、もふ様に描いていただきました。
#エブリスタにて連載しました。

【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。
藍生蕗
恋愛
かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。
そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……
偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。
※ 設定は甘めです
※ 他のサイトにも投稿しています
この野菜は悪役令嬢がつくりました!
真鳥カノ
ファンタジー
幼い頃から聖女候補として育った公爵令嬢レティシアは、婚約者である王子から突然、婚約破棄を宣言される。
花や植物に『恵み』を与えるはずの聖女なのに、何故か花を枯らしてしまったレティシアは「偽聖女」とまで呼ばれ、どん底に落ちる。
だけどレティシアの力には秘密があって……?
せっかくだからのんびり花や野菜でも育てようとするレティシアは、どこでもやらかす……!
レティシアの力を巡って動き出す陰謀……?
色々起こっているけれど、私は今日も野菜を作ったり食べたり忙しい!
毎日2〜3回更新予定
だいたい6時30分、昼12時頃、18時頃のどこかで更新します!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる