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第一章
第1話:浮気夫
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聖女で王太子妃のマリーナの目の前には、明らかに不審な動きをする夫がいます。
自分の浮気を隠そうとして、ついいつもと違う行動をしてしまいます。
ですが、聖女マリーナの目を誤魔化せるわけがないのです。
地に頭をつけるほど頼み込まれ、最後には王家の権力さえ使って、結婚を懇願したの王太子シャルルでした。
絶対に浮気はしないと神に誓う事で、仕方なくマリーナは結婚に応じました。
王家が管理していた、果てさえ分からない未開地を王太子妃領とする事を条件に。
「王太子殿下、大切な話がありますから、お話を聞いていただきます」
シャルルはついに浮気がバレたと思って、内心ギョッとした。
だが今まで数多くの浮気がバレていなかった事で、一つくらいバレても、また地に頭をつけて、真剣に謝るふりをすれば誤魔化せると考えていた。
結婚の時も、誠意を見せるフリで、地に頭をつけていた。
情欲を満たすためには、平気で地に頭をつけられる誇りのない男、それが王太子シャルルなのだ。
「何を改まっているんだい、我が愛する妃、マリーナ」
シャルルは、浮気性の貴婦人や娼婦に褒められる、にやけた笑いを浮かべて、マリーナを誤魔化そうとしたが、全く意味がなかった。
その笑いを褒めるのは、シャルルから利を引き出そうとする邪悪な女だけだ。
まったく誠意のない笑いで、聖女マリーナを騙せるはずがないのだ。
マリーナは仮面のように表情をなくして、氷のように冷たい平板な調子で、シャルルに言い放った。
「今から話す事は、とても大切な話ですので、国王陛下と王妃殿下にも一緒に聞いていただかねばなりません。
お前達、直ぐに陛下と殿下にここに来ていただいてください。
少しでも遅れると、王家が滅ぶどころか、この国が滅びますよ。
これは聖女としての言葉ですから、逆らう事は許しません」
結婚前から聖女としての名声を欲しいままにしていたマリーナに、ここまで厳しく言われては、一介の侍女が逆らえるはずもない。
それこそ死神に命と引き換えに伝言を命じられたように、王宮のマナーなど全く考えず、全速力で国王と王妃の所に走って行った。
それを見ていたシャルル、ここで初めてとんでもない事になったと恐怖した。
聖女相手に浮気をしないと神に誓ったのだ、約束を破った時の報復と天罰が、王家王国の滅亡なのだと、ようやく思い至ったのだ。
「お花畑のようにおめでたいアナタの頭も、ようやく現実が見えたようですね。
私と神の慈悲にも限界というものがあるのですよ。
アナタの浮気は王家を皆殺しにし、国を滅ぼすほど重いのです」
自分の浮気を隠そうとして、ついいつもと違う行動をしてしまいます。
ですが、聖女マリーナの目を誤魔化せるわけがないのです。
地に頭をつけるほど頼み込まれ、最後には王家の権力さえ使って、結婚を懇願したの王太子シャルルでした。
絶対に浮気はしないと神に誓う事で、仕方なくマリーナは結婚に応じました。
王家が管理していた、果てさえ分からない未開地を王太子妃領とする事を条件に。
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だが今まで数多くの浮気がバレていなかった事で、一つくらいバレても、また地に頭をつけて、真剣に謝るふりをすれば誤魔化せると考えていた。
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情欲を満たすためには、平気で地に頭をつけられる誇りのない男、それが王太子シャルルなのだ。
「何を改まっているんだい、我が愛する妃、マリーナ」
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その笑いを褒めるのは、シャルルから利を引き出そうとする邪悪な女だけだ。
まったく誠意のない笑いで、聖女マリーナを騙せるはずがないのだ。
マリーナは仮面のように表情をなくして、氷のように冷たい平板な調子で、シャルルに言い放った。
「今から話す事は、とても大切な話ですので、国王陛下と王妃殿下にも一緒に聞いていただかねばなりません。
お前達、直ぐに陛下と殿下にここに来ていただいてください。
少しでも遅れると、王家が滅ぶどころか、この国が滅びますよ。
これは聖女としての言葉ですから、逆らう事は許しません」
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それこそ死神に命と引き換えに伝言を命じられたように、王宮のマナーなど全く考えず、全速力で国王と王妃の所に走って行った。
それを見ていたシャルル、ここで初めてとんでもない事になったと恐怖した。
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「お花畑のようにおめでたいアナタの頭も、ようやく現実が見えたようですね。
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