上 下
3 / 8

第2話幽閉初日1

しおりを挟む
「くっくっくっく。
 いいざまだな、ダイアナ。
 それが私に逆らった報いだ。
 私の言う事を聞いて、身を任せればよかったのだ。
 そうすればこんなみじめな事にはならなかったのだ。
 どうだ?
 今からでも遅くはないぞ。
 この場で私に抱かれるか?
 こいつらの見ている前で、大人しく私に抱かれるのなら、塔から出してやるぞ」

 色情狂の王太子が、腐りきった性根がよくわかる戯言を口にしています。
 どうやらカミラの眼を盗んで、私を抱こうというのでしょう。
 しかも、下種な取り巻きの前で抱いて、私を貶めるつもりのようです。
 本当に馬鹿です。
 私がそのような恥知らずだと、本気で思っているのでしょうか?

「私を貴男やカミラと同等の屑だと思わないで。
 私には貴族の誇りがあります。
 貴男のような獣とは違うのです。
 守護神様の聖女を犯すなど、国を滅ぼす大罪です。
 そのような悪鬼の所業を平気でおこうなど、愚者か狂人でしょう。
 狂人が人の前に立つのではありません。
 とっとと立ち去りなさい!」

 わずかな期待を込めて、無駄なのは頭では分かっているのですが、それでも期待してしてしまうのです。
 色情狂の取り巻きはしていても、どこかに貴族の誇りが残っていると。
 この国を滅ぼさないように、色情狂を諫める者が現れるかもしれないと。
 ですが、やはり、そんな者はいませんでした。
 そんな誇りを持っている者が、色情狂の取り巻きになるはずがなかったのです。

「おのれ、おのれ、おのれ!
 私を狂人の愚者だと言うか!
 ならば狂人の愚者がどのようなモノか、その身体に思い知らせてやる。
 お前達はこの雌が動けないようにしておけ。
 私が終わった後にやらせてやる。
 聖女を務めた公爵令嬢を抱ける機会など、もう二度とないぞ」

「「「「「うへへへへ」」」」」

 このようなモノたちに、僅かでも期待した私が愚かでした。
 下衆はどこまで行っても下衆です。
 屑はどうやっても屑のままです。
 ならば手加減する必要など全くありません。
 叩きのめすだけです!

 色情狂で愚者で狂人の王太子と婚約した時から、色情狂を御してこの国を護らなければいけないと、深く心に決めて自分を鍛えてきました。
 生れや家柄を誇るだけで全く努力せず、ブクブクと肥え太っている色情狂と取り巻きなど、片手でぶちのめせるだけの鍛錬を重ねてきたのです。
 もう一切の容赦をしません。
 この事が国王や重臣に届くように、半殺しにしてやります。

 取り巻きなど無視して、最初に色情狂を叩きのめします。
 右手で二本貫手を放ち、色情狂の両眼を潰して失明させます。
 ですがそれだけでは済ませません。
 左手の正拳突きで喉を潰します。
 これで死ぬようならば死ねばいいのです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】妹のせいで貧乏くじを引いてますが、幸せになります

恋愛
 妹が関わるとロクなことがないアリーシャ。そのため、学校生活も後ろ指をさされる生活。  せめて普通に許嫁と結婚を……と思っていたら、父の失態で祖父より年上の男爵と結婚させられることに。そして、許嫁はふわカワな妹を選ぶ始末。  普通に幸せになりたかっただけなのに、どうしてこんなことに……  唯一の味方は学友のシーナのみ。  アリーシャは幸せをつかめるのか。 ※小説家になろうにも投稿中

妹が寝取った婚約者が実は影武者だった件について 〜本当の婚約者は私を溺愛してやみません〜

葉柚
恋愛
妹のアルフォネアは姉であるステファニーの物を奪うことが生きがいを感じている。 小さい頃はお気に入りの洋服やぬいぐるみを取られた。 18歳になり婚約者が出来たら、今度は私の婚約者に色目を使ってきた。 でも、ちょっと待って。 アルフォネアが色目を使っているのは、婚約者であるルーンファクト王子の影武者なんだけど……。

聖女はただ微笑む ~聖女が嫌がらせをしていると言われたが、本物の聖女には絶対にそれができなかった~

アキナヌカ
恋愛
私はシュタルクという大神官で聖女ユエ様にお仕えしていた、だがある日聖女ユエ様は婚約者である第一王子から、本物の聖女に嫌がらせをする偽物だと言われて国外追放されることになった。私は聖女ユエ様が嫌がらせなどするお方でないと知っていた、彼女が潔白であり真の聖女であることを誰よりもよく分かっていた。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

義母の秘密、ばらしてしまいます!

四季
恋愛
私の母は、私がまだ小さい頃に、病気によって亡くなってしまった。 それによって落ち込んでいた父の前に現れた一人の女性は、父を励まし、いつしか親しくなっていて。気づけば彼女は、私の義母になっていた。 けれど、彼女には、秘密があって……?

まったく心当たりのない理由で婚約破棄されるのはいいのですが、私は『精霊のいとし子』ですよ……?【カイン王子視点】

空月
恋愛
精霊信仰の盛んなクレセント王国。 身に覚えのない罪状をつらつらと挙げ連ねられて、第一王子に婚約破棄された『精霊のいとし子』アリシア・デ・メルシスは、第二王子であるカイン王子に求婚された。 そこに至るまでのカイン王子の話。 『まったく心当たりのない理由で婚約破棄されるのはいいのですが、私は『精霊のいとし子』ですよ……?』(https://www.alphapolis.co.jp/novel/368147631/886540222)のカイン王子視点です。 + + + + + + この話の本編と続編(書き下ろし)を収録予定(この別視点は入れるか迷い中)の同人誌(短編集)発行予定です。 購入希望アンケートをとっているので、ご興味ある方は回答してやってください。 https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScCXESJ67aAygKASKjiLIz3aEvXb0eN9FzwHQuxXavT6uiuwg/viewform?usp=sf_link

婚約者を妹に奪われました。気分が悪いので二人を見なくて良い場所へ行って生きようと思います。

四季
恋愛
婚約者を妹に奪われました。気分が悪いので二人を見なくて良い場所へ行って生きようと思います。

婚約破棄されてしまいました。別にかまいませんけれども。

ココちゃん
恋愛
よくある婚約破棄モノです。 ざまぁあり、ピンク色のふわふわの髪の男爵令嬢ありなやつです。 短編ですので、サクッと読んでいただけると嬉しいです。 なろうに投稿したものを、少しだけ改稿して再投稿しています。  なろうでのタイトルは、「婚約破棄されました〜本当に宜しいのですね?」です。 どうぞよろしくお願いしますm(._.)m

処理中です...