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16話
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「アルフレット様。
ここに植えて構いませんか?」
「ああ、そこで大丈夫だよ。
ただ城壁と濠の位置には気をつけた方がいい。
魔獣の中には簡単に城壁と濠を超えてしまうモノがいるからね」
「はい、気をつけます」
アルフレット様と再会してからの日々は、私にとっては幸せの時間です。
一緒に果樹を植え、穀物に種を蒔きました。
後々の事を考えて、横穴洞窟の周囲に幾重にも城壁と濠をもうけ、魔獣も人間も近づけない大城塞を建築しました。
でもそれは、あくまでも菜園果樹園のついでです。
本当の目的は菜園と果樹園なのですが、魔力を失った魔族には、人や魔獣と戦う術がないのです。
それを前提に、防衛計画を作らなければいけません。
アルフレット様と私がいるところには、魔獣は近づきません。
ですがそれに頼り切る事はできません。
それではアルフレット様と私がここから離れられなくなります。
だからこその城壁であり濠なのです。
ただその規模が、私の想像を絶する大規模なモノでした。
今の世界の人間の王城など、足元にも及びません。
過去の時代の、魔族が一番繁栄していた時代の王城すら凌ぐ大城塞都市です。
内城内宮と呼ばれる、王族の住む私的な小城塞群が最内部にあり、その外側には外城外宮、単に城と呼ばれる公的な家臣が仕事をする城砦部があります。
その城砦部だけで、本城・南城・北城・東城があり、それぞれ本城・中城・外城と防衛のためも曲輪と城壁と濠がもうけられ、籠城用の菜園や果樹園まで備えていますが、それだけでは終わりません。
その外側に、王都といわれる平民が住む場所があるのです。
総構えと呼ばれる桁違いに高く厚く硬い城壁と、幅広く長く深い濠に囲まれているのです。
しかもその総構えの内部には、火事を防ぐために幅広い大通りに区割りされた坊城が百以上あります。
しかもその坊城には、普通の軍城に匹敵する坊壁と坊濠に護られています。
こんな大城塞、一朝一夕に造れるわけがありません。
内宮の部分から、それも菜園と果樹園を優先して造っています。
でもその長い時間も私には幸せです。
アルフレット様と一緒にモノ作りをする喜びに満ちています。
「アルフレット様。
それは何ですか?」
「これかい?
これは紙兵だよ。
城壁と濠を護って、内部に人間や魔獣を入らせないようにする兵士だよ」
「ゴーレムのようなモノですか?」
「そうだよ。
でもゴーレムほど素材と準備はいらないからね。
まあ、その分弱いけどね。
魔獣から魔晶石を取れない世界だから、これが限界だね」
ここに植えて構いませんか?」
「ああ、そこで大丈夫だよ。
ただ城壁と濠の位置には気をつけた方がいい。
魔獣の中には簡単に城壁と濠を超えてしまうモノがいるからね」
「はい、気をつけます」
アルフレット様と再会してからの日々は、私にとっては幸せの時間です。
一緒に果樹を植え、穀物に種を蒔きました。
後々の事を考えて、横穴洞窟の周囲に幾重にも城壁と濠をもうけ、魔獣も人間も近づけない大城塞を建築しました。
でもそれは、あくまでも菜園果樹園のついでです。
本当の目的は菜園と果樹園なのですが、魔力を失った魔族には、人や魔獣と戦う術がないのです。
それを前提に、防衛計画を作らなければいけません。
アルフレット様と私がいるところには、魔獣は近づきません。
ですがそれに頼り切る事はできません。
それではアルフレット様と私がここから離れられなくなります。
だからこその城壁であり濠なのです。
ただその規模が、私の想像を絶する大規模なモノでした。
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過去の時代の、魔族が一番繁栄していた時代の王城すら凌ぐ大城塞都市です。
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その城砦部だけで、本城・南城・北城・東城があり、それぞれ本城・中城・外城と防衛のためも曲輪と城壁と濠がもうけられ、籠城用の菜園や果樹園まで備えていますが、それだけでは終わりません。
その外側に、王都といわれる平民が住む場所があるのです。
総構えと呼ばれる桁違いに高く厚く硬い城壁と、幅広く長く深い濠に囲まれているのです。
しかもその総構えの内部には、火事を防ぐために幅広い大通りに区割りされた坊城が百以上あります。
しかもその坊城には、普通の軍城に匹敵する坊壁と坊濠に護られています。
こんな大城塞、一朝一夕に造れるわけがありません。
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でもその長い時間も私には幸せです。
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「アルフレット様。
それは何ですか?」
「これかい?
これは紙兵だよ。
城壁と濠を護って、内部に人間や魔獣を入らせないようにする兵士だよ」
「ゴーレムのようなモノですか?」
「そうだよ。
でもゴーレムほど素材と準備はいらないからね。
まあ、その分弱いけどね。
魔獣から魔晶石を取れない世界だから、これが限界だね」
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