13 / 26
12話
しおりを挟む
「なんて事なの!
こんな所に魔族がいるなんて信じられないわ。
でも現実を認めなければいけないわ。
なんとしてもたどり着いて、魔族を開放しなければいけないわ」
私は、希望を胸に抱いて魔族を探し回りました。
広大な未開地の隅々まで探すつもりでした。
魔族のアスキス家と出会えたことで、私の胸に勇気と希望が灯ったのです。
アスキス家が洞窟前を開拓開墾するのに必要な魔力以外、放っておいても雲散霧消してしまう魔力を、魔族捜索のための探査魔術に費やしました。
百日かかりました。
魔力が限られているのもありますし、見落としがないように、詳細丁寧に探査したという理由もありましたが、魔族を見つけるのに百日かかりました。
でも見つけることができました。
心の奥底に、アスキス家が最後の生き残りかもしれないという想いもあったのですが、それは杞憂に終わりました。
ですが問題もありました。
見つけた魔族は、未開地で代を重ねた魔族ではなかったのです。
遥か昔。
今ではどれくらい前だか分からない古代魔力時代に、魔力冬眠した魔族です。
とてもではありませんが、普通に会いに行ける相手ではありません。
温厚で心優しい魔族が襲ってくることはないでしょうが、人族は違います。
己の欲望を満たすためなら、どのような卑怯な手でも使うのが人族です。
その人族の襲撃を撃退する仕掛けを用意している事でしょう。
それは多分魔力を使ったものではありません。
魔力を失ってから、機械仕掛けの罠を開発したはずです。
その機械仕掛けの罠を突破するのは大変な事です。
「リリー、ついてきてくれますか?」
「はい、どこにでもついていかせていただきます」
私は新たに発見した魔族を目覚めさせるために、リリーに同行してもらいました。
相手は何千何万年眠り続けたか分からない魔族です。
自分の目覚める条件は厳格に規定している事でしょう。
相手が私のような人間では、絶対に目覚めてくれないはずです。
でも同じ魔族のリリーなら、目覚めの規定を満たすかもしれません。
それしても、凄まじい魔力量です。
何千何万年もの間、身体をおとろえさせることなく、生命を維持する魔道具を、稼働させ続ける魔力量です。
魔族の王族に匹敵する魔力量でしょう。
もしかしたら、古代竜や古竜の魔晶石を複数使っているのかもしれません。
欲しいですね、古代竜や古竜の魔晶石。
今の魔力を失った世界では、莫大な魔力を蓄えられる魔晶石の有用性は、魔力の溢れていた時代とは比較にならないほど重大です。
「さあ、行きますよ。
覚悟はいいですか、リリー」
「はい、大丈夫です!」
こんな所に魔族がいるなんて信じられないわ。
でも現実を認めなければいけないわ。
なんとしてもたどり着いて、魔族を開放しなければいけないわ」
私は、希望を胸に抱いて魔族を探し回りました。
広大な未開地の隅々まで探すつもりでした。
魔族のアスキス家と出会えたことで、私の胸に勇気と希望が灯ったのです。
アスキス家が洞窟前を開拓開墾するのに必要な魔力以外、放っておいても雲散霧消してしまう魔力を、魔族捜索のための探査魔術に費やしました。
百日かかりました。
魔力が限られているのもありますし、見落としがないように、詳細丁寧に探査したという理由もありましたが、魔族を見つけるのに百日かかりました。
でも見つけることができました。
心の奥底に、アスキス家が最後の生き残りかもしれないという想いもあったのですが、それは杞憂に終わりました。
ですが問題もありました。
見つけた魔族は、未開地で代を重ねた魔族ではなかったのです。
遥か昔。
今ではどれくらい前だか分からない古代魔力時代に、魔力冬眠した魔族です。
とてもではありませんが、普通に会いに行ける相手ではありません。
温厚で心優しい魔族が襲ってくることはないでしょうが、人族は違います。
己の欲望を満たすためなら、どのような卑怯な手でも使うのが人族です。
その人族の襲撃を撃退する仕掛けを用意している事でしょう。
それは多分魔力を使ったものではありません。
魔力を失ってから、機械仕掛けの罠を開発したはずです。
その機械仕掛けの罠を突破するのは大変な事です。
「リリー、ついてきてくれますか?」
「はい、どこにでもついていかせていただきます」
私は新たに発見した魔族を目覚めさせるために、リリーに同行してもらいました。
相手は何千何万年眠り続けたか分からない魔族です。
自分の目覚める条件は厳格に規定している事でしょう。
相手が私のような人間では、絶対に目覚めてくれないはずです。
でも同じ魔族のリリーなら、目覚めの規定を満たすかもしれません。
それしても、凄まじい魔力量です。
何千何万年もの間、身体をおとろえさせることなく、生命を維持する魔道具を、稼働させ続ける魔力量です。
魔族の王族に匹敵する魔力量でしょう。
もしかしたら、古代竜や古竜の魔晶石を複数使っているのかもしれません。
欲しいですね、古代竜や古竜の魔晶石。
今の魔力を失った世界では、莫大な魔力を蓄えられる魔晶石の有用性は、魔力の溢れていた時代とは比較にならないほど重大です。
「さあ、行きますよ。
覚悟はいいですか、リリー」
「はい、大丈夫です!」
88
お気に入りに追加
2,419
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
正妃である私を追い出し、王子は平民の女性と結婚してしまいました。…ですが、後になって後悔してももう遅いですよ?
久遠りも
恋愛
正妃である私を追い出し、王子は平民の女性と結婚してしまいました。…ですが、後になって後悔してももう遅いですよ?
※一話完結です。
ゆるゆる設定です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
リストラされた聖女 ~婚約破棄されたので結界維持を解除します
青の雀
恋愛
キャロラインは、王宮でのパーティで婚約者のジークフリク王太子殿下から婚約破棄されてしまい、王宮から追放されてしまう。
キャロラインは、国境を1歩でも出れば、自身が張っていた結界が消えてしまうのだ。
結界が消えた王国はいかに?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄 ~家名を名乗らなかっただけ
青の雀
恋愛
シルヴィアは、隣国での留学を終え5年ぶりに生まれ故郷の祖国へ帰ってきた。
今夜、王宮で開かれる自身の婚約披露パーティに出席するためである。
婚約者とは、一度も会っていない親同士が決めた婚約である。
その婚約者と会うなり「家名を名乗らない平民女とは、婚約破棄だ。」と言い渡されてしまう。
実は、シルヴィアは王女殿下であったのだ。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】最後に貴方と。
たろ
恋愛
わたしの余命はあと半年。
貴方のために出来ることをしてわたしは死んでいきたい。
ただそれだけ。
愛する婚約者には好きな人がいる。二人のためにわたしは悪女になりこの世を去ろうと思います。
◆病名がハッキリと出てしまいます。辛いと思われる方は読まないことをお勧めします
◆悲しい切ない話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】婚約破棄した王子と男爵令嬢のその後……は幸せ?……な訳ない!
たろ
恋愛
「エリザベス、君との婚約を破棄する」
「どうしてそんな事を言うのですか?わたしが何をしたと言うのでしょう」
「君は僕の愛するイライザに対して嫌がらせをしただろう、そんな意地の悪い君のことは愛せないし結婚など出来ない」
「……愛せない……わかりました。殿下……の言葉を……受け入れます」
なんで君がそんな悲しそうな顔をするんだ?
この話は婚約破棄をして、父親である陛下に嘘で固めて公爵令嬢のエリザベスを貶めたと怒られて
「そんなにその男爵令嬢が好きなら王族をやめて男爵に婿に行け」と言われ、廃嫡される王子のその後のお話です。
頭脳明晰、眉目秀麗、みんなが振り向くかっこいい殿下……なのにエリザベスの前では残念な男。
★軽い感じのお話です
そして、殿下がひたすら残念です
広ーい気持ちで読んでいただけたらと思います
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
妹から私の旦那様と結ばれたと手紙が来ましたが、人違いだったようです
今川幸乃
恋愛
ハワード公爵家の長女クララは半年ほど前にガイラー公爵家の長男アドルフと結婚した。
が、優しく穏やかな性格で領主としての才能もあるアドルフは女性から大人気でクララの妹レイチェルも彼と結ばれたクララをしきりにうらやんでいた。
アドルフが領地に次期当主としての勉強をしに帰ったとき、突然クララにレイチェルから「アドルフと結ばれた」と手紙が来る。
だが、レイチェルは知らなかった。
ガイラー公爵家には冷酷非道で女癖が悪く勘当された、アドルフと瓜二つの長男がいたことを。
※短め。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】内緒で死ぬことにした〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を、なぜわたしは生まれ変わったの?〜
たろ
恋愛
この話は
『内緒で死ぬことにした 〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を〜』
の続編です。
アイシャが亡くなった後、リサはルビラ王国の公爵の息子であるハイド・レオンバルドと結婚した。
そして、アイシャを産んだ。
父であるカイザも、リサとハイドも、アイシャが前世のそのままの姿で転生して、自分たちの娘として生まれてきたことを知っていた。
ただアイシャには昔の記憶がない。
だからそのことは触れず、新しいアイシャとして慈しみ愛情を与えて育ててきた。
アイシャが家族に似ていない、自分は一体誰の子供なのだろうと悩んでいることも知らない。
親戚にあたる王子や妹に、意地悪を言われていることも両親は気が付いていない。
アイシャの心は、少しずつ壊れていくことに……
明るく振る舞っているとは知らずに可愛いアイシャを心から愛している両親と祖父。
アイシャを助け出して心を救ってくれるのは誰?
◆ ◆ ◆
今回もまた辛く悲しい話しが出てきます。
無理!またなんで!
と思われるかもしれませんが、アイシャは必ず幸せになります。
もし読んでもいいなと思う方のみ、読んで頂けたら嬉しいです。
多分かなりイライラします。
すみません、よろしくお願いします
★内緒で死ぬことにした の最終話
キリアン君15歳から14歳
アイシャ11歳から10歳
に変更しました。
申し訳ありません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
義妹のせいで、婚約した相手に会う前にすっかり嫌われて婚約が白紙になったのになぜか私のことを探し回っていたようです
珠宮さくら
恋愛
サヴァスティンカ・メテリアは、ルーニア国の伯爵家に生まれた。母を亡くし、父は何を思ったのか再婚した。その再婚相手の連れ子は、義母と一緒で酷かった。いや、義母よりうんと酷かったかも知れない。
そんな義母と義妹によって、せっかく伯爵家に婿入りしてくれることになった子息に会う前にサヴァスティンカは嫌われることになり、婚約も白紙になってしまうのだが、義妹はその子息の兄と婚約することになったようで、義母と一緒になって大喜びしていた
。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる