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第一章
第5話:廃太子
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会場中は水を打ったように静まり返りました。
それはそうでしょう、一国の王太子が結婚前に子供を作る、これほど非常識かつ国を揺るがす事件はありません。
本来なら王太子と妃の家から立会人が出て、本当に王太子の子供かを確認するのが決まりなのですから。
「そ、それがどうした!
お前が婚約を解消したいというならすきにすればいい。
だが、ちゃんとライエン公爵家から妃を迎えるなら賠償する必要などない。
私は王太子だ、誰にも文句は言わせない!
それに相手は純真無垢なリナビアナ嬢だ、私が乙女である事を確かめたのだから、誰にも文句は言わせんぞ!」
リナビアナはよほど演技が上手なようですね。
ですが私は何としてでも賠償金が欲しいのですよ。
私は自分の手で未開地を開拓して、晴耕雨読したいのです。
いえ、創作活動に励みたいのです。
母から受け継いだ領地には、もう開拓の余地はありませんし、税も必要以上に取りたくないのです。
それに、私が安心して創作に集中するためには、飢えて死ぬような民がいてはむりですから、王都の貧民を助けなければいけません。
「いいえ、絶対に賠償していただきます。
王国の西に広がる広大な未開地を賠償金代わりに頂きます!」
私とブル―ノの睨み合っていると……
「話は聞いた、これは王国を揺るがす大事件だ。
近衛騎士、ブル―ノとリナビアナを拘束しろ。
近衛騎士団長、全てを徹底的に調べ上げろ。
もし万が一、王家簒奪を企んだ者がいるなら、一族一門皆殺しにしろ。
誰かに騙された者がいるのなら、今日中に自白する者だけを降格に止めてやれ」
「承りました」
「父上、何を申しておられるのですか?!
私は父上の子、王太子でございますぞ!」
「黙れ、愚か者!
お前のような馬鹿は余の息子ではない。
お前は少なくとも廃嫡だ、調べ次第では斬首だと心得よ!」
「陛下、父上、間違いでございます、何かの間違いでございます!」
ブル―ノが国王に縋りつこうとしましたが、近衛騎士団長が殴り倒しました。
流石に会場中に電流が走りました。
この一撃で、国王の言葉に嘘偽りがない事が、全貴族に分かったのです。
もうブルーノが王族に戻る事はない、全貴族がそう確信したのです。
最初はブルーノを恐れて動けなかった近衛騎士が、団長の視線を受けて飛び跳ねるように動きだしました。
「陛下、国王陛下、私は簒奪など考えておりません、私は騙されたのでございます、リナビアナに騙されたのでございます!」
「私もでございます、私も簒奪などしようとしてリナビアナを抱いたわけではありません、ただ性欲に任せて抱いただけでございます」
「私も、私もでございます」
ああ、ああ、ああ、リナビアナと肉体関係にあった者達が、真っ青な顔をして国王陛下の前で平身低頭しています。
中には単に片想いしてリナビアナの周りにいた者まで混じっています。
確かにそれだけでも疑われて一族一門皆殺しにされる可能性はありますからね。
さて、馬鹿と尻軽などどうでもいいですか、私はどうなるのでしょう?
それはそうでしょう、一国の王太子が結婚前に子供を作る、これほど非常識かつ国を揺るがす事件はありません。
本来なら王太子と妃の家から立会人が出て、本当に王太子の子供かを確認するのが決まりなのですから。
「そ、それがどうした!
お前が婚約を解消したいというならすきにすればいい。
だが、ちゃんとライエン公爵家から妃を迎えるなら賠償する必要などない。
私は王太子だ、誰にも文句は言わせない!
それに相手は純真無垢なリナビアナ嬢だ、私が乙女である事を確かめたのだから、誰にも文句は言わせんぞ!」
リナビアナはよほど演技が上手なようですね。
ですが私は何としてでも賠償金が欲しいのですよ。
私は自分の手で未開地を開拓して、晴耕雨読したいのです。
いえ、創作活動に励みたいのです。
母から受け継いだ領地には、もう開拓の余地はありませんし、税も必要以上に取りたくないのです。
それに、私が安心して創作に集中するためには、飢えて死ぬような民がいてはむりですから、王都の貧民を助けなければいけません。
「いいえ、絶対に賠償していただきます。
王国の西に広がる広大な未開地を賠償金代わりに頂きます!」
私とブル―ノの睨み合っていると……
「話は聞いた、これは王国を揺るがす大事件だ。
近衛騎士、ブル―ノとリナビアナを拘束しろ。
近衛騎士団長、全てを徹底的に調べ上げろ。
もし万が一、王家簒奪を企んだ者がいるなら、一族一門皆殺しにしろ。
誰かに騙された者がいるのなら、今日中に自白する者だけを降格に止めてやれ」
「承りました」
「父上、何を申しておられるのですか?!
私は父上の子、王太子でございますぞ!」
「黙れ、愚か者!
お前のような馬鹿は余の息子ではない。
お前は少なくとも廃嫡だ、調べ次第では斬首だと心得よ!」
「陛下、父上、間違いでございます、何かの間違いでございます!」
ブル―ノが国王に縋りつこうとしましたが、近衛騎士団長が殴り倒しました。
流石に会場中に電流が走りました。
この一撃で、国王の言葉に嘘偽りがない事が、全貴族に分かったのです。
もうブルーノが王族に戻る事はない、全貴族がそう確信したのです。
最初はブルーノを恐れて動けなかった近衛騎士が、団長の視線を受けて飛び跳ねるように動きだしました。
「陛下、国王陛下、私は簒奪など考えておりません、私は騙されたのでございます、リナビアナに騙されたのでございます!」
「私もでございます、私も簒奪などしようとしてリナビアナを抱いたわけではありません、ただ性欲に任せて抱いただけでございます」
「私も、私もでございます」
ああ、ああ、ああ、リナビアナと肉体関係にあった者達が、真っ青な顔をして国王陛下の前で平身低頭しています。
中には単に片想いしてリナビアナの周りにいた者まで混じっています。
確かにそれだけでも疑われて一族一門皆殺しにされる可能性はありますからね。
さて、馬鹿と尻軽などどうでもいいですか、私はどうなるのでしょう?
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