3 / 6
土いじり
しおりを挟む
オリビアは今日も土にまみれて庭を整えていた。
後宮の庭を整える事、それがオリビアに与えられた仕事だった。
部屋子でも最下級のオリビアには、給与など与えられない。
後宮で出た残飯が与えられるだけだ。
それでも、家にいるよりは美味しいモノが食べられた。
満腹になるまで食べることができた。
なによりオリビアがうれしかったのは、珍しい草花があることだった。
王都よりも王城、王城よりも王宮、王宮よりも後宮の方が、珍しい草花がある。
王城の庭師である父も知らないような、とても珍しいい草花のお世話ができるので、オリビアはとても幸せだった。
オリビアの親身な世話がよかったのか、後宮の草花が珍しい色をまとうようになり、その事がとても評判になった。
第一王子のジェームスがその話を広めたため、表の貴族士族にもオリビアの名が知られるようになっていた。
ジェームスはまだ七歳だったので、後宮と表を自由に行き来できていた。
その評判を耳にした国王ジョージが、オリビアの世話をした花を見ていたく感心し、オリビアを部屋子に抱えていたお目見え以上の女官、グレースの部屋を度々訪れるようになり、ついにお手付きとなった。
グレースの実家であるメクスバラ伯爵家は狂喜乱舞した。
男の子が生まれ、疫病や事故の連続などがあれば、自分の娘が生んだ子、孫が王位を継ぐかもしれないのだ。
メクスバラ伯爵は庭づくりに力を入れることにした。
だが少々愚かだった。
珍し色合いの花を育てたオリビアを解雇して、王都で著名な庭師たちの娘を部屋子に送り込んだのだ。
まあこれには原因もあった。
今までは実家の伯爵家に相応しい程度の部屋だったのが、お手付きになったことで広く大きな部屋に移ったのだ。
庭も広く新しい場所になった。
後宮のしきたりとはいえ、愚かな事だった。
その時にオリビアが部屋を移ることを拒んだのだ。
自分が手塩にかけた草花から離れるのを嫌がったのだ。
ここでようやくジェームス第一王子の生母、王妃イザベラが動いた。
空いたグレースの部屋を手に入れたのだ。
自分の部屋から移ると言いだしたのだ。
だが王妃の部屋を、伯爵家女官程度の部屋にすることなどできない。
そこで表向きは、そろそろ独り立ちを迎える、ジェームス第一王子の部屋という事にしたのだが、これが王妃イザベラと国王ジョージの仲を修復することになった。
倦怠期のようになっていた二人が、共に珍しい花をめでる事で、再び親密な関係に戻ることができた。
間を取り持つことになったオリビアは、国王と王妃に強い印象を残すことになったのだ。
後宮の庭を整える事、それがオリビアに与えられた仕事だった。
部屋子でも最下級のオリビアには、給与など与えられない。
後宮で出た残飯が与えられるだけだ。
それでも、家にいるよりは美味しいモノが食べられた。
満腹になるまで食べることができた。
なによりオリビアがうれしかったのは、珍しい草花があることだった。
王都よりも王城、王城よりも王宮、王宮よりも後宮の方が、珍しい草花がある。
王城の庭師である父も知らないような、とても珍しいい草花のお世話ができるので、オリビアはとても幸せだった。
オリビアの親身な世話がよかったのか、後宮の草花が珍しい色をまとうようになり、その事がとても評判になった。
第一王子のジェームスがその話を広めたため、表の貴族士族にもオリビアの名が知られるようになっていた。
ジェームスはまだ七歳だったので、後宮と表を自由に行き来できていた。
その評判を耳にした国王ジョージが、オリビアの世話をした花を見ていたく感心し、オリビアを部屋子に抱えていたお目見え以上の女官、グレースの部屋を度々訪れるようになり、ついにお手付きとなった。
グレースの実家であるメクスバラ伯爵家は狂喜乱舞した。
男の子が生まれ、疫病や事故の連続などがあれば、自分の娘が生んだ子、孫が王位を継ぐかもしれないのだ。
メクスバラ伯爵は庭づくりに力を入れることにした。
だが少々愚かだった。
珍し色合いの花を育てたオリビアを解雇して、王都で著名な庭師たちの娘を部屋子に送り込んだのだ。
まあこれには原因もあった。
今までは実家の伯爵家に相応しい程度の部屋だったのが、お手付きになったことで広く大きな部屋に移ったのだ。
庭も広く新しい場所になった。
後宮のしきたりとはいえ、愚かな事だった。
その時にオリビアが部屋を移ることを拒んだのだ。
自分が手塩にかけた草花から離れるのを嫌がったのだ。
ここでようやくジェームス第一王子の生母、王妃イザベラが動いた。
空いたグレースの部屋を手に入れたのだ。
自分の部屋から移ると言いだしたのだ。
だが王妃の部屋を、伯爵家女官程度の部屋にすることなどできない。
そこで表向きは、そろそろ独り立ちを迎える、ジェームス第一王子の部屋という事にしたのだが、これが王妃イザベラと国王ジョージの仲を修復することになった。
倦怠期のようになっていた二人が、共に珍しい花をめでる事で、再び親密な関係に戻ることができた。
間を取り持つことになったオリビアは、国王と王妃に強い印象を残すことになったのだ。
1
お気に入りに追加
86
あなたにおすすめの小説
逆行令嬢は聖女を辞退します
仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。
死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって?
聖女なんてお断りです!
モブの私がなぜかヒロインを押し退けて王太子殿下に選ばれました
みゅー
恋愛
その国では婚約者候補を集め、その中から王太子殿下が自分の婚約者を選ぶ。
ケイトは自分がそんな乙女ゲームの世界に、転生してしまったことを知った。
だが、ケイトはそのゲームには登場しておらず、気にせずそのままその世界で自分の身の丈にあった普通の生活をするつもりでいた。だが、ある日宮廷から使者が訪れ、婚約者候補となってしまい……
そんなお話です。
ゆるふわな可愛い系男子の旦那様は怒らせてはいけません
下菊みこと
恋愛
年下のゆるふわ可愛い系男子な旦那様と、そんな旦那様に愛されて心を癒した奥様のイチャイチャのお話。
旦那様はちょっとだけ裏表が激しいけど愛情は本物です。
ご都合主義の短いSSで、ちょっとだけざまぁもあるかも?
小説家になろう様でも投稿しています。
氷のメイドが辞職を伝えたらご主人様が何度も一緒にお出かけするようになりました
まさかの
恋愛
「結婚しようかと思います」
あまり表情に出ない氷のメイドとして噂されるサラサの一言が家族団欒としていた空気をぶち壊した。
ただそれは田舎に戻って結婚相手を探すというだけのことだった。
それに安心した伯爵の奥様が伯爵家の一人息子のオックスが成人するまでの一年間は残ってほしいという頼みを受け、いつものようにオックスのお世話をするサラサ。
するとどうしてかオックスは真面目に勉強を始め、社会勉強と評してサラサと一緒に何度もお出かけをするようになった。
好みの宝石を聞かれたり、ドレスを着せられたり、さらには何度も自分の好きな料理を食べさせてもらったりしながらも、あくまでも社会勉強と言い続けるオックス。
二人の甘酸っぱい日々と夫婦になるまでの物語。
自己肯定感の低い令嬢が策士な騎士の溺愛に絡め取られるまで
嘉月
恋愛
平凡より少し劣る頭の出来と、ぱっとしない容姿。
誰にも望まれず、夜会ではいつも壁の花になる。
でもそんな事、気にしたこともなかった。だって、人と話すのも目立つのも好きではないのだもの。
このまま実家でのんびりと一生を生きていくのだと信じていた。
そんな拗らせ内気令嬢が策士な騎士の罠に掛かるまでの恋物語
執筆済みで完結確約です。
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる