38 / 71
37話
しおりを挟む
私はアーレンに、屋敷の出入り禁止を言い渡しました。
薬の入札も禁止しました。
素材の購入も断りました。
激しく交渉すると思ったのですが、予想外に簡単に引き下がりました。
正直最初は凄く警戒しました。
報復の襲撃をしてくると思ったのです。
「意外でしたね、こんなに素直に引き下がるとは思いませんでした」
「閣下、私もそう思いました。
色々探ってはいるのですが、全く動きがありません。
ノドン男爵家が断ったら、シャノン公爵家と交渉すると思ったのですが、そのようなようすもありませんので、正直不気味です」
私の言葉に、オウエンが答えてくれます。
最近は私とオウエンの、二人きりの時間が増えました。
私達の雰囲気を察して、オリビアが席を外してくれることが増えたのです。
そのかいもあって、私は子供を授かることができました。
とても幸せです。
この幸せは、何が何でも護りたいと思っています。
「購入した農地の作物も順調に育っていると聞きます。
新たに畑を開墾して、薬の素材を育てる話もしています。
問題はアーレンの襲撃です。
忸怩たる想いはありますが、この子のためならしかたりません。
どこかの派閥に入って、そこから家臣を紹介してもらおうと思います」
私がお腹をさすりながら話すと、オウエンも満面の笑みを浮かべて、私の手に自分の手を添えて、一緒にさすってくれます。
オウエンも私の妊娠を心から喜んでくれています。
私と同じように、この子を護ろうと思ってくれています。
「そうですね。
今一番に大切すべきなのは、閣下や私の誇りではなくこの子の命であり将来です。
地に頭をつけてでも、戦闘力のある家臣を手に入れる必要があります。
閣下は誰の派閥に入るおつもりですか?」
「頭を下げるのは嫌ですが、兄レイズ卿が一番無難だと思っています。
レイズ卿に問題があるのなら、ロバーツ第二王子を考えています」
レイズ卿は、ゴードン公爵家を継ぐのにふさわしい武勇と知略を備えています。
公爵に必要な冷酷なところもあります。
少なくとも冷酷に見せかけるだけの演技力があります。
戦闘力はオウエンと同じく、六竜騎士と称される実力で、時に聖騎士とまで称されています。
個人の戦闘力だけでなく、近衛騎士団長として近衛騎士を率い、ゴードン公爵家長子として諸侯軍を率い、王国第一騎士団にも大きな影響力があります。
ロバーツ第二王子は次期摂政になるのが決まっていますし、軟禁されているイーサン王太子が死ねば、ロバーツ第二王子の子供が王位に就きます。
個人の武勇も、オウエンやレイズ卿と同じ六竜騎士と称され、第五騎士団長でバーンズ伯爵家令息のアシェル卿とは、親友だと聞いています。
どちらについても強力な武力支援が受けられるでしょう。
問題はどちらについた方がお腹の子の安全と幸福が保たれるかです!
薬の入札も禁止しました。
素材の購入も断りました。
激しく交渉すると思ったのですが、予想外に簡単に引き下がりました。
正直最初は凄く警戒しました。
報復の襲撃をしてくると思ったのです。
「意外でしたね、こんなに素直に引き下がるとは思いませんでした」
「閣下、私もそう思いました。
色々探ってはいるのですが、全く動きがありません。
ノドン男爵家が断ったら、シャノン公爵家と交渉すると思ったのですが、そのようなようすもありませんので、正直不気味です」
私の言葉に、オウエンが答えてくれます。
最近は私とオウエンの、二人きりの時間が増えました。
私達の雰囲気を察して、オリビアが席を外してくれることが増えたのです。
そのかいもあって、私は子供を授かることができました。
とても幸せです。
この幸せは、何が何でも護りたいと思っています。
「購入した農地の作物も順調に育っていると聞きます。
新たに畑を開墾して、薬の素材を育てる話もしています。
問題はアーレンの襲撃です。
忸怩たる想いはありますが、この子のためならしかたりません。
どこかの派閥に入って、そこから家臣を紹介してもらおうと思います」
私がお腹をさすりながら話すと、オウエンも満面の笑みを浮かべて、私の手に自分の手を添えて、一緒にさすってくれます。
オウエンも私の妊娠を心から喜んでくれています。
私と同じように、この子を護ろうと思ってくれています。
「そうですね。
今一番に大切すべきなのは、閣下や私の誇りではなくこの子の命であり将来です。
地に頭をつけてでも、戦闘力のある家臣を手に入れる必要があります。
閣下は誰の派閥に入るおつもりですか?」
「頭を下げるのは嫌ですが、兄レイズ卿が一番無難だと思っています。
レイズ卿に問題があるのなら、ロバーツ第二王子を考えています」
レイズ卿は、ゴードン公爵家を継ぐのにふさわしい武勇と知略を備えています。
公爵に必要な冷酷なところもあります。
少なくとも冷酷に見せかけるだけの演技力があります。
戦闘力はオウエンと同じく、六竜騎士と称される実力で、時に聖騎士とまで称されています。
個人の戦闘力だけでなく、近衛騎士団長として近衛騎士を率い、ゴードン公爵家長子として諸侯軍を率い、王国第一騎士団にも大きな影響力があります。
ロバーツ第二王子は次期摂政になるのが決まっていますし、軟禁されているイーサン王太子が死ねば、ロバーツ第二王子の子供が王位に就きます。
個人の武勇も、オウエンやレイズ卿と同じ六竜騎士と称され、第五騎士団長でバーンズ伯爵家令息のアシェル卿とは、親友だと聞いています。
どちらについても強力な武力支援が受けられるでしょう。
問題はどちらについた方がお腹の子の安全と幸福が保たれるかです!
27
お気に入りに追加
2,413
あなたにおすすめの小説
婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜
平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。
だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。
流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!?
魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。
そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…?
完結済全6話
忘れられた幼な妻は泣くことを止めました
帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。
そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。
もちろん返済する目処もない。
「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」
フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。
嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。
「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」
そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。
厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。
それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。
「お幸せですか?」
アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。
世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。
古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。
ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。
※小説家になろう様にも投稿させていただいております。
【完結】キズモノになった私と婚約破棄ですか?別に構いませんがあなたが大丈夫ですか?
なか
恋愛
「キズモノのお前とは婚約破棄する」
顔にできた顔の傷も治らぬうちに第二王子のアルベルト様にそう宣告される
大きな傷跡は残るだろう
キズモノのとなった私はもう要らないようだ
そして彼が持ち出した条件は婚約破棄しても身体を寄越せと下卑た笑いで告げるのだ
そんな彼を殴りつけたのはとある人物だった
このキズの謎を知ったとき
アルベルト王子は永遠に後悔する事となる
永遠の後悔と
永遠の愛が生まれた日の物語
毒家族から逃亡、のち側妃
チャイムン
恋愛
四歳下の妹ばかり可愛がる両親に「あなたにかけるお金はないから働きなさい」
十二歳で告げられたベルナデットは、自立と家族からの脱却を夢見る。
まずは王立学院に奨学生として入学して、文官を目指す。
夢は自分で叶えなきゃ。
ところが妹への縁談話がきっかけで、バシュロ第一王子が動き出す。
やり直し?毒殺した王太子も一緒なんて聞いてません。
ありま氷炎
恋愛
マノン・サザリア 16歳。惚れた第一王子アダンのために王太子ユーゴを毒殺する。アダンが王太子になった暁には王太子妃になれると約束されたけれども、それは甘言であり、アダンに糾弾され斬首刑。
目覚めると12歳に戻っていて、王族とは関係ない平和な人生を送ろうとするのだが、災難は向こうからやってくる。
不定期更新。
そんなに優しいメイドが恋しいなら、どうぞ彼女の元に行ってください。私は、弟達と幸せに暮らしますので。
木山楽斗
恋愛
アルムナ・メルスードは、レバデイン王国に暮らす公爵令嬢である。
彼女は、王国の第三王子であるスルーガと婚約していた。しかし、彼は自身に仕えているメイドに思いを寄せていた。
スルーガは、ことあるごとにメイドと比較して、アルムナを罵倒してくる。そんな日々に耐えられなくなったアルムナは、彼と婚約破棄することにした。
婚約破棄したアルムナは、義弟達の誰かと婚約することになった。新しい婚約者が見つからなかったため、身内と結ばれることになったのである。
父親の計らいで、選択権はアルムナに与えられた。こうして、アルムナは弟の内誰と婚約するか、悩むことになるのだった。
※下記の関連作品を読むと、より楽しめると思います。
あなたは愛さなくていい
cyaru
恋愛
全てを奪われた女、ファティーナ。
冤罪で裁かれ、国外追放された日から13年。
幾つかの思惑が重なり、第1王子暗殺未遂事件の主犯として裁かれたファティーナ。
ファティーナの言葉を聞き入れてくれる者は誰もいなかった。
ファティーナを嵌めたのは婚約者のアロンツォ、そして従妹のマリア。その2人とは別枠でマリアの父、アロンツォの両親も明確な意図をもってファティーナを嵌めた。
全てをつまびらかにするには証拠が足らず、第1王子はファティーナの極刑だけは回避できたが当時は力もなく出来るのはそこまでだった。
稀有な力を持つ魔導士でもあるファティーナは追放された先で誰かを妬み、恨み、憎む気持ちも13年の時間をかけて鎮め、森の中にある小さな家で魔力を込めた薬を作り倹しく生きていた。
そんなファティーナを探して1人の青年シルヴェリオが森にやって来た。
運命は静かに暮らす事は許してくれないらしい。
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★8月2日投稿開始、完結は8月4日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
悪役令嬢ですが私のことは放っておいて下さい、私が欲しいのはマヨネーズどっぷりの料理なんですから
ミドリ
恋愛
公爵令嬢ナタ・スチュワートは、とある小説に前世の記憶を持って転生した異世界転生者。前世でハマりにハマったマヨネーズがこの世界にはないことから、王太子アルフレッドからの婚約破棄をキッカケにマヨネーズ求道へと突き進む。
イケメンな従兄弟や街で偶然助けてくれたイケメンの卵の攪拌能力を利用し、マヨネーズをこの世界に広めるべく奮闘するナタに忍び寄る不穏な影とは。
なろうにも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる