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14話

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「六竜騎士が二人と、第一騎士団の手練れが相手か。
 ここで王国の戦力を磨り潰しては陛下に対する不忠。
 事が露見すればグラント公爵も無事ではすまん。
 ここは引かせてもらう。
 頑張れよ、オウエン」

 タッカー男爵が引いてくれるようです。
 表向きは国王とグラント公爵のためだと口にしています。
 ですが本心は違うようですね。
 それを隠すのではなく、私達に伝えようとして、オウエンの名前を呼んでいます。
 タッカー男爵も色情狂を殺せばいいと考えているようです。

 ハワード王国の守護神ともいえる六竜騎士のうち、三人が王太子を殺す派です。
 残る三人のうち一人は兄上です。
 武闘派ではありますが、ゴードン公爵家の後継者として父に厳しく鍛えれれているので、色情狂を殺す決断はできないかもしれません。
 残る二人のうち一人は第二王子のロバーツ殿下。
 内心では殺すべきだと思っていても、王位欲しさに弑逆したと言われるのが嫌で、殺すに殺せない可能性が高いです。
 最後に一人はバーンズ伯爵家令息アシェル、彼がどうするかは分かりませんね。

「お嬢様。
 出てきてください。
 申し訳ありませんが、王都に戻っていただくことになりました」

「いいえ、構わないわ。
 オウエンが一人で頑張ってくれたのはよく分かっているわ。
 オウエンを信じて王都に戻ります。
 これからもよろしくね」

「過分なお言葉を賜り、恐悦至極でございます」

 私達はそのまま王都に向かう事にしたのですが、手荷物の少なさにハンター男爵が異議を唱えました。
 ゴードン公爵家令嬢として荷物が少なすぎるというのです。
 威厳を整えるために、もっと荷物が必要だというのです。
 そう言われても、いつでも逃げ出せるように、必要のないモノは買わないようにしていたのです。

「では商品の薬草や薬を持っていきましょう。
 結構価値のあるモノですから、捨てていくのはもったいないです」

 ハンター男爵の提案で、各種の薬を王都に持っていくことにしましたが、そもそも薬も素材も価格の割にかさばらないのです。
 威厳を見せるための大荷物にはなりません。
 そう言うと、何を思ったか、ハンター男爵が配下を率いて狩りを始めました。
 手当たり次第に魔獣や獣を狩り、毛皮や素材を積み上げていきます。
 傷みやすい肉は、私が魔法袋に保管することにしました。
 オウエンが私を護るために側を離れらえないので、大量の肉は助かります。

 王都に戻る途中で、グラント公爵から受け取ったお金の事を思い出しました。
 今のままでは嘘をついて盗ったことになります。
 それとダグラスです。
 タッカー男爵が引くときに連れて行ってくれたのですね。
 色々とあと腐れが残ってしまったようです。
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