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第一章
第56話:失敗・マリア視点
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「ソフィア、エドアルドお義兄様の側室が次々と母国に戻されているのだけれど、その理由を知っているかしら」
「マリア王太女殿下の安全を確保するためだと思われます」
「今までと特に変わりはないと思うのだけれど、いえ、ローマ帝国が攻めて来て、国内貴族が謀叛を引き起こしていた時よりは、ずっと安全だと思うのだけれど」
「それは、マリア王太女殿下が、エドアルド公王陛下の出陣式で、祖霊にまで愛情を誓われたせいでございます」
「あれが、それほどの危険を呼び寄せてしまったというの」
「お気付きの上で、お覚悟を持って、祖霊に誓われたのではないのですか。
エドアルド公王陛下に、少しでも多くの側室を排除していただくために、祖霊に誓われたのではないのですか」
「いいえ、全くそんな事は考えていませんでした。
単に今まで通りエドアルドお義兄様への愛情を口にしただけです。
これはフラヴィオと婚約しなければいけなかった反動ですね。
やっと誰憚る事なく、エドアルドお義兄様への愛情を、心の中だけでなく、口にする事ができるようになったのですもの」
「これは、私の失敗でございます。
マリア王太女殿下が王国の将来を思い、将来危険な芽になりそうな、エドアルド公王陛下の側室と実子を減らそうとされていると思いました」
「ソフィア、確かにお義兄様が他の女性を愛する事は不愉快です。
しかしながら、わたくしが妊娠している間は、お義兄様がお辛くなると言う事も、父上様から聞いています。
ある程度の側室を設ける事は、仕方のない事だと思っています。
それに、わたくしの血は流れていなくても、お義兄様の血が流れた子です。
何より、わたくしが産む子供達とは兄弟姉妹になるのです。
大切にしなければいけないと思っています」
「申し訳ありませんでした、マリア王太女殿下。
私の浅慮から、お止めすべきところを見落としておりました」
「いいえ、構いませんよ、ソフィア。
ソフィア達がお義兄様の事を慕っている事は、以前から分かっておりました。
お義兄様の戦略に問題がなければ、無用な側室の方々には母国に去っていただいて、ソフィア達が新たな側室になってくれた方が、わたくしも安心です」
「マリア王太女殿下、そのような恐れ多い事は考えておりません」
「ソフィア達が考えていなくても、わたくしは考えていますよ。
お義兄様の事ですから、寝室でも油断されるような事はないと思います。
ですが、お義兄様も寝室くらい安心して過ごしたいでしょう。
少しでも危険な側室は排除するように動いてください。
その代わり、お義兄様が寝室で心から寛げる新たな側室を選んでください。
ただし、お義兄様の戦略の邪魔にならないようにしてくださいね」
「マリア王太女殿下の安全を確保するためだと思われます」
「今までと特に変わりはないと思うのだけれど、いえ、ローマ帝国が攻めて来て、国内貴族が謀叛を引き起こしていた時よりは、ずっと安全だと思うのだけれど」
「それは、マリア王太女殿下が、エドアルド公王陛下の出陣式で、祖霊にまで愛情を誓われたせいでございます」
「あれが、それほどの危険を呼び寄せてしまったというの」
「お気付きの上で、お覚悟を持って、祖霊に誓われたのではないのですか。
エドアルド公王陛下に、少しでも多くの側室を排除していただくために、祖霊に誓われたのではないのですか」
「いいえ、全くそんな事は考えていませんでした。
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それに、わたくしの血は流れていなくても、お義兄様の血が流れた子です。
何より、わたくしが産む子供達とは兄弟姉妹になるのです。
大切にしなければいけないと思っています」
「申し訳ありませんでした、マリア王太女殿下。
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「いいえ、構いませんよ、ソフィア。
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「ソフィア達が考えていなくても、わたくしは考えていますよ。
お義兄様の事ですから、寝室でも油断されるような事はないと思います。
ですが、お義兄様も寝室くらい安心して過ごしたいでしょう。
少しでも危険な側室は排除するように動いてください。
その代わり、お義兄様が寝室で心から寛げる新たな側室を選んでください。
ただし、お義兄様の戦略の邪魔にならないようにしてくださいね」
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