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第一章
第42話:フランク王国派兵計画
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「エドアルド公子殿下、何事かございましたか」
俺の表情を読んで、公子侍従長のマッティーアが声をかけてきた。
相談して欲しいと言う事だろうが、特に相談すべき事ではない。
だが、それほど重大な秘密というわけでもない。
俺の留守の間は公王家を護る役目のあるマッティーアには、できるだけ多くの情報と指示を与えておかなければいけないので、手紙の内容を伝えておこう。
「フランク王国からマリアお嬢様を襲った件の賠償をすると言ってきた」
「エドアルド公子殿下が王国を統一された事で、全戦力を向けられる事を恐れたのでしょうか」
「そうだ、ネウストリア分王国のキルペリク一世とフレデグンドが、報復を恐れて夜も眠れない状態だそうだ」
「以前提案してきたとおり、割譲するのはブルターニュ地方なのでしょうか。
エドアルド公子殿下は、公国と地続きのプロヴァンス、アルプ、コート・ダジュールを要求なされたのですよね」
「ああ、かなり強く要求したのだが、プロヴァンス一帯はキルペリク一世と激しく対立している、アウストラシア分王国のキルデベルト二世が継ぐことになっている、ブルグント分王国の領地なのだ。
姉を殺されたアウストラシア分王国のブルンヒルド分王母が、断固として認めなかったようだ」
「それを口実にフランク王国に侵攻されるのですか」
「いや、それではキルペリク一世やフレデグンドの思う壺だ。
フランク王国を占領するのに、ブルグント分王国、アウストラシア分王国、ネウストリア分王国の全てを滅ぼし占領しなければならなくなる。
マリアお嬢様に許し難い無礼を働いたネウストリア分王国の敵を、我らが潰してやる必要など全くない。
それよりは、ブルターニュ地方に加えてネウストリア分王国のペイ・ド・ラ・ロワール地方を要求する。
キルペリク一世がそれを拒むようなら、キルデベルト二世とブルンヒルド分王母に領内を軍が通過する許可を要求する」
「軍の通過許可を認めるでしょうか」
「アウストラシア分王国とブルグント分王国の有力貴族令嬢と婚約している。
実家が説得してくれるだろう。
そのためにネウストリア分王国の貴族とは政略婚約をしていないのだ」
「余計な事を申しました」
「いや、どうせマッティーアには色々と説明して指示を出さなければいけなかったから、質問してくれてよかったよ」
「それで、わたくしは何をすればよろしいでしょうか」
「今回のフランク王国遠征に俺は同行しない。
マルコ伯爵を総指揮官に任命して、ソニア夫人を正式な軍師に任命する。
公国内の領地を召し上げて遠ざけたい貴族や騎士をフランク王国遠征軍に加える。
俺が公都に残っている間は、誰も反抗しないだろう。
だが、キルペリク一世とフレデグンドがローマ帝国やアヴァール可汗国と密約をしている場合、遠征軍がブルターニュ地方に到着したのを見計らって攻め込んで来る。
そして俺が迎撃に向かったら、公都に潜む連中が叛旗を翻すだろう。
その時の対応を任せたい」
「承りました」
俺の表情を読んで、公子侍従長のマッティーアが声をかけてきた。
相談して欲しいと言う事だろうが、特に相談すべき事ではない。
だが、それほど重大な秘密というわけでもない。
俺の留守の間は公王家を護る役目のあるマッティーアには、できるだけ多くの情報と指示を与えておかなければいけないので、手紙の内容を伝えておこう。
「フランク王国からマリアお嬢様を襲った件の賠償をすると言ってきた」
「エドアルド公子殿下が王国を統一された事で、全戦力を向けられる事を恐れたのでしょうか」
「そうだ、ネウストリア分王国のキルペリク一世とフレデグンドが、報復を恐れて夜も眠れない状態だそうだ」
「以前提案してきたとおり、割譲するのはブルターニュ地方なのでしょうか。
エドアルド公子殿下は、公国と地続きのプロヴァンス、アルプ、コート・ダジュールを要求なされたのですよね」
「ああ、かなり強く要求したのだが、プロヴァンス一帯はキルペリク一世と激しく対立している、アウストラシア分王国のキルデベルト二世が継ぐことになっている、ブルグント分王国の領地なのだ。
姉を殺されたアウストラシア分王国のブルンヒルド分王母が、断固として認めなかったようだ」
「それを口実にフランク王国に侵攻されるのですか」
「いや、それではキルペリク一世やフレデグンドの思う壺だ。
フランク王国を占領するのに、ブルグント分王国、アウストラシア分王国、ネウストリア分王国の全てを滅ぼし占領しなければならなくなる。
マリアお嬢様に許し難い無礼を働いたネウストリア分王国の敵を、我らが潰してやる必要など全くない。
それよりは、ブルターニュ地方に加えてネウストリア分王国のペイ・ド・ラ・ロワール地方を要求する。
キルペリク一世がそれを拒むようなら、キルデベルト二世とブルンヒルド分王母に領内を軍が通過する許可を要求する」
「軍の通過許可を認めるでしょうか」
「アウストラシア分王国とブルグント分王国の有力貴族令嬢と婚約している。
実家が説得してくれるだろう。
そのためにネウストリア分王国の貴族とは政略婚約をしていないのだ」
「余計な事を申しました」
「いや、どうせマッティーアには色々と説明して指示を出さなければいけなかったから、質問してくれてよかったよ」
「それで、わたくしは何をすればよろしいでしょうか」
「今回のフランク王国遠征に俺は同行しない。
マルコ伯爵を総指揮官に任命して、ソニア夫人を正式な軍師に任命する。
公国内の領地を召し上げて遠ざけたい貴族や騎士をフランク王国遠征軍に加える。
俺が公都に残っている間は、誰も反抗しないだろう。
だが、キルペリク一世とフレデグンドがローマ帝国やアヴァール可汗国と密約をしている場合、遠征軍がブルターニュ地方に到着したのを見計らって攻め込んで来る。
そして俺が迎撃に向かったら、公都に潜む連中が叛旗を翻すだろう。
その時の対応を任せたい」
「承りました」
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