誇り高い義妹が悪役令嬢呼ばわりされて国外追放となった、俺が黙っているとでも思ったのか、糞王太子。

克全

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第一章

第18話:厳罰

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「よせ、何をする、俺様を誰だと思っている」

「何様ですかと問われれば、総指揮官の命令を無視して、味方の領地を荒らそうと抵抗できない女子供だけの村を襲った、誇り高いローマ帝国貴族様です。
 そのような事は承知しておりますよ、ご令息様」

「おのれ、新興公国の成り上がりが、由緒正しいローマ帝国貴族を捕らえてタダですむと思っているのか」

「いいえ、滅相もございません、ただで済むとは思っておりませんよ。
 貴男様と貴男様の配下が行った、指揮官に対する抗命と不服従、味方に対する略奪、無抵抗の女子供に対する暴行は、大陸中に通達させていただきました。
 ローマ帝国が正式な謝罪を行い、賠償金も支払い、貴男様に対する厳罰を約束しない限り、我々はローマ帝国の艦艇を襲い続けます」

「な、なんだと、そのような事をしてタダですむと思っているのか。
 ローマ帝国と戦争になるぞ、分かっていて言っているのか」

「はい、重々承知しておりますよ、ご令息様。
 貴男様のお陰で、開戦の大義名分を手に入れることができました。
 時代遅れのローマ帝国艦隊など、我がジェノバ公国艦隊の敵ではありません。
 ですが時代遅れのローマ帝国艦艇でも、近隣諸国の艦隊相手なら十分戦えますし、交易にも利用できます。
 全て拿捕させていただき、有効利用させていただきます。
 貴男様の愚かな行為を、心から感謝しております」

「馬鹿め、愚か者め、少々野蛮な戦いが得意だと思い上がりおって。
 お前らのような田舎新興小国の艦隊が、我ら大ローマ帝国の艦隊に勝てるはずがないであろう。
 直ぐに私を解放しろ、そうすれば少しは慈悲の心を加えてやる。
 凌遅刑にするところを、斬首に減刑してやる。
 公国を私に譲るのなら、マリアを私の妾に、グッギャ」

 汚物が、その汚い口からお嬢様の名を音にするな。

 グッチャ、グッチャ、グッチャ、グッチャ、グッチャ、

「エドアルド殿下、それ以上やると死んでしまいます」

「大丈夫だ、ちゃんと死なないように手加減している」

「両目を潰してしまったら、残虐な拷問をしたと殿下が誹られてしまいます」

「襲った女の反撃を受けて潰れたことにすればいい」

「この汚物が、殿下がやったと証言すると思われますが」

「言葉が発せられないように、全ての歯をへし折り、舌を切り取ればいい」

「それも女の反撃を受けたことになさるのですか」

「ああ、襲った女に舌を噛み切られた事にする」

「筆談という方法がございますが」

「指と手と腕の骨を粉々に砕けば何も書けない」

「配下の将兵が証言するのはどう防がれるのですか」

「こいつらが襲った領地の民に引き渡して復讐させてやればいい。
 自分達が命懸けで戦っている時に、味方であるはずの連中に妻子が襲われたのだ。
 一人残らず叩き殺してくれる事だろう」

「殿下に対するとんでもない悪評が、ローマ帝国内に広がると思われますが、それは計算の上なのですね」

「当然だ、敵国でどれほど悪評が流れようと構わない。
 それで領民を襲うモノを少しでも減らせるのなら、後世にどのような悪評が残ろうと望むところだ」
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