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第一章
第13話:舞踏会
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「マリア公太女殿下、私と一曲踊っていただけないでしょうか」
ローマ帝国の有力貴族の令息がお嬢様にダンスを申し込んでいる。
「マリア公太女殿下、身分を弁えない傲慢な者と踊ると恥をかいてしまいます。
まずは王子である私と踊られた方がいいですよ」
今度はブルグンディア分王国の王子がお嬢様にダンスを申し込んだ。
「分王国の王子風情が何を言っている。
ローマ帝国の高位貴族は分王国の王子程度よりはるかに格上だ。
身分をひけらかしたいのなら、他の分王国を討伐して統一王国の王子になってからにしろ、愚か者が」
「おのれ、貴族風情が王族に対して無礼千万、手討ちにしてくれる」
馬鹿が場所柄も身分も弁えずにケンカを始めやがった。
このまま殺し合いをさせて、ローマ帝国とブルグンディア分王国の間で戦争を始めさせるのも面白いが、お嬢様が心を痛めておられるから、それはできないな。
そのように哀しそうな眼をして馬鹿どもを見る必要などありませんよ、お嬢様。
「御両所、お嬢様の前で醜い争いをするのは止めていただきたい。
そのような姿を見せられては、お嬢様の心が曇ってしまいます。
王侯貴族として、どうしても許せない事があるのなら、正々堂々と決闘を申し込まれて決着をつければいいではありませんか」
俺の言葉を聞いて、ようやくお嬢様が不安な表情を浮かべているのに気がついたのか、二人ともバツの悪そうな顔をした。
だが、そんな表情をしても遅いよ、二人とも。
お前達のような短気で愚かな者を、お嬢様の婿に迎えられるはずがないだろう。
まあ、最初から二人は婚約者候補の補欠にも入っていないがな。
マリアお嬢様、そのような目で俺を見ないでください。
まだ結婚する相手の決まっていない令嬢は、親兄弟にダンスのパートナーを務めてもらうのが常識とはいえ、俺は養嗣子だったのです。
血が繋がっていないから、結婚しようと思えばできてしまうのです。
そんな私がダンスパートナーを務めたら、邪推する者が出てきてしまいます。
公王陛下、助けてください、お願いします。
「このような醜態を見せられてはしかたがないな。
マリア、私と一曲踊ってもらおうか」
「……はい、お父様」
お嬢様、そのような目で見ないでください、胸が痛みます。
俺とお嬢様では生まれも育ちも違い過ぎるのです。
大恩を受けた家臣として、髪の毛一本ほどの痂疲であろうと、お嬢様の名声に傷をつける訳にはいかないのです。
お嬢様に相応しいと思える相手は、人品共に優れた高貴な漢です。
高貴さは多少目をつむりますが、才能と人格だけは譲れません。
俺という家宰がいて、俺が育て鍛えた家臣団がいます。
今はまだ未熟でも、将来性がある王侯貴族の令息を見つけてみせます。
お嬢様に相応しい令息を必ず見つけますから、そのような目で俺を見ないでください、お願いします。
ローマ帝国の有力貴族の令息がお嬢様にダンスを申し込んでいる。
「マリア公太女殿下、身分を弁えない傲慢な者と踊ると恥をかいてしまいます。
まずは王子である私と踊られた方がいいですよ」
今度はブルグンディア分王国の王子がお嬢様にダンスを申し込んだ。
「分王国の王子風情が何を言っている。
ローマ帝国の高位貴族は分王国の王子程度よりはるかに格上だ。
身分をひけらかしたいのなら、他の分王国を討伐して統一王国の王子になってからにしろ、愚か者が」
「おのれ、貴族風情が王族に対して無礼千万、手討ちにしてくれる」
馬鹿が場所柄も身分も弁えずにケンカを始めやがった。
このまま殺し合いをさせて、ローマ帝国とブルグンディア分王国の間で戦争を始めさせるのも面白いが、お嬢様が心を痛めておられるから、それはできないな。
そのように哀しそうな眼をして馬鹿どもを見る必要などありませんよ、お嬢様。
「御両所、お嬢様の前で醜い争いをするのは止めていただきたい。
そのような姿を見せられては、お嬢様の心が曇ってしまいます。
王侯貴族として、どうしても許せない事があるのなら、正々堂々と決闘を申し込まれて決着をつければいいではありませんか」
俺の言葉を聞いて、ようやくお嬢様が不安な表情を浮かべているのに気がついたのか、二人ともバツの悪そうな顔をした。
だが、そんな表情をしても遅いよ、二人とも。
お前達のような短気で愚かな者を、お嬢様の婿に迎えられるはずがないだろう。
まあ、最初から二人は婚約者候補の補欠にも入っていないがな。
マリアお嬢様、そのような目で俺を見ないでください。
まだ結婚する相手の決まっていない令嬢は、親兄弟にダンスのパートナーを務めてもらうのが常識とはいえ、俺は養嗣子だったのです。
血が繋がっていないから、結婚しようと思えばできてしまうのです。
そんな私がダンスパートナーを務めたら、邪推する者が出てきてしまいます。
公王陛下、助けてください、お願いします。
「このような醜態を見せられてはしかたがないな。
マリア、私と一曲踊ってもらおうか」
「……はい、お父様」
お嬢様、そのような目で見ないでください、胸が痛みます。
俺とお嬢様では生まれも育ちも違い過ぎるのです。
大恩を受けた家臣として、髪の毛一本ほどの痂疲であろうと、お嬢様の名声に傷をつける訳にはいかないのです。
お嬢様に相応しいと思える相手は、人品共に優れた高貴な漢です。
高貴さは多少目をつむりますが、才能と人格だけは譲れません。
俺という家宰がいて、俺が育て鍛えた家臣団がいます。
今はまだ未熟でも、将来性がある王侯貴族の令息を見つけてみせます。
お嬢様に相応しい令息を必ず見つけますから、そのような目で俺を見ないでください、お願いします。
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