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第一章
第11話:政略婚約
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「お義兄様、どうしてもあの方々から婚約者を選ばなければいけないのでしょうか。
こう言う事を申すのはとても失礼な事だと分かってはいるのですが、どなたも我が家の一員に迎えたいとは思えないのです」
「お嬢様に人を見る眼があると再確認できたこと、婿を選ばなければいけない状態でも、妥協されない強い意思がお有りなる事が分かって安心いたしました。
お嬢様が申される通り、公爵家に相応しいご令息は一人もおられません。
やんわりとお断りになって頂ければ、後は臣が話しをいたします。
ご安心くださいませ」
「ありがとうございます、エドアルドお義兄様」
我がアウレリウス・ジェノバ公爵家と王家は睨み合いとなっていた。
愚かなフラヴィオ王太子が貴族を招集して公爵家に攻め込もうとした事で、公爵家は王家王国と戦う大義名分を手に入れられそうだった。
だが、王妃や王太子が専横をしても放置して後宮から出て来なかったルーカ王が、ついに後宮から出て王権を行使した。
王がお嬢様に恥をかかせた王太子を塔に幽閉するという罰を与えた事で、公爵家から王家直轄領に攻め込む大義名分を失ってしまった。
名誉を汚された事を理由に王家から離脱する事や、王太子個人に決闘を申し込むことはできても、王国に戦争を仕掛ける事も国王を殺す事もできなくなった。
それに、実際には王太子に決闘を申し込むこともできなくなってしまった。
王太子に決闘を申し込んでしまったら、王や王国の支配下で決闘をしなければいけなくなる。
だから俺は、お嬢様と公爵閣下の許可を取って名誉よりも実利をとることにした。
以前から公爵家を王国から独立させたいと思っていたので、王太子を殺す事よりも公爵家の独立を優先させた。
公爵閣下に独立を宣言していただき、公王として戴冠していただいた。
初代からの帝王教育がよく、代々の当主は王家に忠誠を持ちつつも、領主としても騎士としても理想的な方だったという。
そして公爵閣下も、戦いを嫌い平和と領民を愛する忠誠心豊かな方だ。
そんな公爵閣下に王国からの独立を決心していただくのは骨が折れたが、このままでは再びお嬢様がフラヴィオ王太子と結婚させられると言ったら、お嬢様をあのような下劣な男と結婚させるのが嫌だったのだろう、認めてくださった。
公爵閣下が独立や戴冠を行わなかったら、独立や戴冠の決断と責任をお嬢様がしなければいけないと思われたのもあるだろう。
公爵家を継ぐお嬢様の負担をできるだけ少なくしようとすれば、公爵閣下にできる限りの事を前もってやってもらうしかなかった。
誹られて不忠者の汚名を着る事になろうと、やっていただくしかなかった。
俺が直接口にしなくても、閣下は全てを悟ってくださった。
だがその事が、お嬢様の元に求婚者を殺到させる事になってしまった。
俺が予測していた想定の中で一番確率が高かったのは、王が王宮から出る事なく、王国軍が公爵家に攻め込んで来る事だった。
攻め込んできた王国軍を俺が寝返らせて公爵軍に組み入れ、その戦力で王家を滅ぼしてフェデリコ閣下に国王に戴冠していただく予定だった。
絶対的な権力と戦力を手に入れた状態でお嬢様に王太女になっていただき、こちらが望む婿を探すつもりだった。
だが現実は、確率が低いと思っていた状況になってしまっている。
この状況に合わせて、こちらの打つ手を変えていかなければいけない。
公王の公太女となられたお嬢様の立場で、最もふさわしい婿を探し出す。
公国の利になる婿ではなく、お嬢様を幸せにできる婿だ。
フェデリコ閣下のお言葉に逆らうのは心苦しいが、その婿は断じて俺ではない。
こう言う事を申すのはとても失礼な事だと分かってはいるのですが、どなたも我が家の一員に迎えたいとは思えないのです」
「お嬢様に人を見る眼があると再確認できたこと、婿を選ばなければいけない状態でも、妥協されない強い意思がお有りなる事が分かって安心いたしました。
お嬢様が申される通り、公爵家に相応しいご令息は一人もおられません。
やんわりとお断りになって頂ければ、後は臣が話しをいたします。
ご安心くださいませ」
「ありがとうございます、エドアルドお義兄様」
我がアウレリウス・ジェノバ公爵家と王家は睨み合いとなっていた。
愚かなフラヴィオ王太子が貴族を招集して公爵家に攻め込もうとした事で、公爵家は王家王国と戦う大義名分を手に入れられそうだった。
だが、王妃や王太子が専横をしても放置して後宮から出て来なかったルーカ王が、ついに後宮から出て王権を行使した。
王がお嬢様に恥をかかせた王太子を塔に幽閉するという罰を与えた事で、公爵家から王家直轄領に攻め込む大義名分を失ってしまった。
名誉を汚された事を理由に王家から離脱する事や、王太子個人に決闘を申し込むことはできても、王国に戦争を仕掛ける事も国王を殺す事もできなくなった。
それに、実際には王太子に決闘を申し込むこともできなくなってしまった。
王太子に決闘を申し込んでしまったら、王や王国の支配下で決闘をしなければいけなくなる。
だから俺は、お嬢様と公爵閣下の許可を取って名誉よりも実利をとることにした。
以前から公爵家を王国から独立させたいと思っていたので、王太子を殺す事よりも公爵家の独立を優先させた。
公爵閣下に独立を宣言していただき、公王として戴冠していただいた。
初代からの帝王教育がよく、代々の当主は王家に忠誠を持ちつつも、領主としても騎士としても理想的な方だったという。
そして公爵閣下も、戦いを嫌い平和と領民を愛する忠誠心豊かな方だ。
そんな公爵閣下に王国からの独立を決心していただくのは骨が折れたが、このままでは再びお嬢様がフラヴィオ王太子と結婚させられると言ったら、お嬢様をあのような下劣な男と結婚させるのが嫌だったのだろう、認めてくださった。
公爵閣下が独立や戴冠を行わなかったら、独立や戴冠の決断と責任をお嬢様がしなければいけないと思われたのもあるだろう。
公爵家を継ぐお嬢様の負担をできるだけ少なくしようとすれば、公爵閣下にできる限りの事を前もってやってもらうしかなかった。
誹られて不忠者の汚名を着る事になろうと、やっていただくしかなかった。
俺が直接口にしなくても、閣下は全てを悟ってくださった。
だがその事が、お嬢様の元に求婚者を殺到させる事になってしまった。
俺が予測していた想定の中で一番確率が高かったのは、王が王宮から出る事なく、王国軍が公爵家に攻め込んで来る事だった。
攻め込んできた王国軍を俺が寝返らせて公爵軍に組み入れ、その戦力で王家を滅ぼしてフェデリコ閣下に国王に戴冠していただく予定だった。
絶対的な権力と戦力を手に入れた状態でお嬢様に王太女になっていただき、こちらが望む婿を探すつもりだった。
だが現実は、確率が低いと思っていた状況になってしまっている。
この状況に合わせて、こちらの打つ手を変えていかなければいけない。
公王の公太女となられたお嬢様の立場で、最もふさわしい婿を探し出す。
公国の利になる婿ではなく、お嬢様を幸せにできる婿だ。
フェデリコ閣下のお言葉に逆らうのは心苦しいが、その婿は断じて俺ではない。
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