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第8話追放4日目1
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この期に及んで、生徒会の役員達は憎々しげにオリビアを睨みつけている。
それを見た親達は、溜息を飲み込み、教導する事を諦めた。
早々に処断しなければ、この国が崩壊すると本気で恐れていた。
そして同時に、子供達を陥れた者達を増悪した。
魔力を惜しまず、恥を晒して、近隣諸国に救援を要請した。
遠見の鏡に映るオリビアは、惑わされていない親達には神々しく見えた。
新たにできた魔窟に独力で挑み、見るもおぞましい魔を退治する。
澱んだ瘴気を祓い清めていく。
素材にできる魔や、食料にできる魔は回収し、魔力が補充できる魔核・魔石・魔晶石・魔宝石を次々と回収していく。
特に圧巻だったのは、魔窟の核となる大魔を滅ぼした時だった。
魔術師でも戦闘力に特化した者達が軍に入る。
その中でも特に力ある者が騎士団長や将軍位を授かる。
そんな団長や将軍でも、単独で魔窟を滅ぼすことはできない。
そんなことができるのなら、とうにこの大陸から魔窟はなくなっていた。
将軍や団長が将兵と協力して、命懸けの戦いを挑んで、ようやく瘴気を払い魔を間引くことができるのだ。
それを、誕生したばかりの魔窟とはいえ、独力で魔窟を浄化して滅ぼすなど、聖女以外の誰に成し遂げられるというのだ。
だがそんなオリビアの誇り高い行動を見ても、生徒会の役員達の増悪の眼は変わらなかった。
まるで同族の魔を滅ぼされたことを恨んでいるように。
わずか一日で、オリビアは魔窟を浄化して滅ぼした。
休むことなく移動していくのだが、その足取りに全く迷いがなかった。
自分が行くべき道を知っているようだった。
街道を通らず、荒れ地や獣の巣食う森を通り抜けるのだ。
そしてある村にたどりついた。
大人達は既視感に捕らえられていた。
ポウィス侯爵家のヘンリーが悪行を重ねていた村と重なってみえた。
そしてそれは間違いなかった。
その村の住人は、誰もが痩せ衰え、奴隷に売れそうな者は誰一人残っていない。
「助けに来ましたよ。
食べ物も薬もあります。
自分で食べられる者は取りに来てください。
家屋に病人がいる者は、私が治療しますから、案内してください」
オリビアはそう声をかけながら、魔法袋から大きな鍋を取り出し、水も取り出して注ぎ、魔石を燃やして鍋に火をかけた。
遠見の鏡で見ている者には理解できないだろうが、今の村人では、硬い食材を食べることが不可能だと、オリビアはひと目で見抜いていた。
オリビアは前もって作っていたスープを病人に口移しで与え、癒しの魔法をかけていった。
死ぬ寸前で、一度で食べられる量が限られるので、何度も口移しでスープを与え、その度に癒しの魔法をかけていく。
その周りに村人が集まり、自然と額づいて祈りを捧げていた。
それを見た親達は、溜息を飲み込み、教導する事を諦めた。
早々に処断しなければ、この国が崩壊すると本気で恐れていた。
そして同時に、子供達を陥れた者達を増悪した。
魔力を惜しまず、恥を晒して、近隣諸国に救援を要請した。
遠見の鏡に映るオリビアは、惑わされていない親達には神々しく見えた。
新たにできた魔窟に独力で挑み、見るもおぞましい魔を退治する。
澱んだ瘴気を祓い清めていく。
素材にできる魔や、食料にできる魔は回収し、魔力が補充できる魔核・魔石・魔晶石・魔宝石を次々と回収していく。
特に圧巻だったのは、魔窟の核となる大魔を滅ぼした時だった。
魔術師でも戦闘力に特化した者達が軍に入る。
その中でも特に力ある者が騎士団長や将軍位を授かる。
そんな団長や将軍でも、単独で魔窟を滅ぼすことはできない。
そんなことができるのなら、とうにこの大陸から魔窟はなくなっていた。
将軍や団長が将兵と協力して、命懸けの戦いを挑んで、ようやく瘴気を払い魔を間引くことができるのだ。
それを、誕生したばかりの魔窟とはいえ、独力で魔窟を浄化して滅ぼすなど、聖女以外の誰に成し遂げられるというのだ。
だがそんなオリビアの誇り高い行動を見ても、生徒会の役員達の増悪の眼は変わらなかった。
まるで同族の魔を滅ぼされたことを恨んでいるように。
わずか一日で、オリビアは魔窟を浄化して滅ぼした。
休むことなく移動していくのだが、その足取りに全く迷いがなかった。
自分が行くべき道を知っているようだった。
街道を通らず、荒れ地や獣の巣食う森を通り抜けるのだ。
そしてある村にたどりついた。
大人達は既視感に捕らえられていた。
ポウィス侯爵家のヘンリーが悪行を重ねていた村と重なってみえた。
そしてそれは間違いなかった。
その村の住人は、誰もが痩せ衰え、奴隷に売れそうな者は誰一人残っていない。
「助けに来ましたよ。
食べ物も薬もあります。
自分で食べられる者は取りに来てください。
家屋に病人がいる者は、私が治療しますから、案内してください」
オリビアはそう声をかけながら、魔法袋から大きな鍋を取り出し、水も取り出して注ぎ、魔石を燃やして鍋に火をかけた。
遠見の鏡で見ている者には理解できないだろうが、今の村人では、硬い食材を食べることが不可能だと、オリビアはひと目で見抜いていた。
オリビアは前もって作っていたスープを病人に口移しで与え、癒しの魔法をかけていった。
死ぬ寸前で、一度で食べられる量が限られるので、何度も口移しでスープを与え、その度に癒しの魔法をかけていく。
その周りに村人が集まり、自然と額づいて祈りを捧げていた。
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