88 / 89
第一章
第88話:聴診器
しおりを挟む
「あなた、動きましたわ、私達の子供が動きました。
蹴りました、今元気にお腹を蹴りましたわ。
触ってみてください、あなた」
リアナが慈母のような微笑を浮かべて話しかけてくる。
リアナの右手が俺の左手をとってお腹に触れさせようとする。
怖いような嬉しいいような不思議な感情になる。
俺は自分の子供を恐れてるのだろか。
それとも心から喜んでいるのだろうか。
まだ妊娠四カ月か五カ月だと思う。
だから俺には胎動が全く感じられなかった。
だがそんな事を口にするとリアナが傷つくかもしれない。
魔力を使えば感じ取れるが、魔力が胎児に悪影響を与えるかもしれない。
それにリアナが気にし過ぎているだけなのかもしれない。
「わずかに感じられるかな。
だけど俺の勘違いかもしれない、赤ちゃんの事が分かる道具を作るよ」
俺は急いで魔法袋から魔獣や魔蟲の素材を取り出した。
聴診器を作ろうと思ったのだ。
前世の聴診器をそのままを創り出す事はできない。
特にこの世界この時代の道具では不可能だ。
だが魔獣や魔蟲の素材と俺の前世知識を使えば再現可能だ。
おれはテキパキと素材を加工して組み合わせていった。
初期に開発された単耳型聴診器なら不器用な俺でも簡単に作れる。
だから最初は単耳型聴診器を作って聞いてみた。
確かに胎動を感じる事ができた。
湧き上がるような喜びが心を占めていく。
だが直ぐに新しい聴診器を作らなければいけなくなった。
「あなた、これでは私が聞けません。
私が聞けるようなモノを作ってください、お願いします」
リアナにそう言われては作れないとは言えない。
今更不器用だから作れないとも言えない。
頑張って双耳型の聴診器を作った。
チェストピースと呼ばれる皮膚に当てる部分。
ベルと呼ばれる集音部分。
ダイアフラムと呼ばれる集音のためにチェストピースに張られた膜。
耳管と呼ばれる左右の耳に当てる屈曲した前世では金属で作られていた管。
イヤピースと呼ばれる取り外して洗う事のできる耳管の先端で耳に挿入する部分。
ゴム管と呼ばれるチェストピースと耳管をつなぐ管。
最終目標はチェストピースが表裏二つあり、呼吸音が聴きやすい面と心音が聴きやすい面の両面を切り替えて使えるダブルの聴診器だ。
しかもゴムなどの素材がないから、魔獣や魔蟲、いや、あらゆる動物や植物で最適の材料を探し出さないといけない。
魔力や魔術に頼らない医療を広めるためには聴診器が絶対に必要だ。
デジタル聴診器と呼ばれる、アンプを使って音を十倍程度に増幅した聴診器もあるが、魔獣や魔蟲の素材を使えばアンプなどなくても音の増幅が可能かもしれない。
その為の実験を繰り返さなければいけない。
蹴りました、今元気にお腹を蹴りましたわ。
触ってみてください、あなた」
リアナが慈母のような微笑を浮かべて話しかけてくる。
リアナの右手が俺の左手をとってお腹に触れさせようとする。
怖いような嬉しいいような不思議な感情になる。
俺は自分の子供を恐れてるのだろか。
それとも心から喜んでいるのだろうか。
まだ妊娠四カ月か五カ月だと思う。
だから俺には胎動が全く感じられなかった。
だがそんな事を口にするとリアナが傷つくかもしれない。
魔力を使えば感じ取れるが、魔力が胎児に悪影響を与えるかもしれない。
それにリアナが気にし過ぎているだけなのかもしれない。
「わずかに感じられるかな。
だけど俺の勘違いかもしれない、赤ちゃんの事が分かる道具を作るよ」
俺は急いで魔法袋から魔獣や魔蟲の素材を取り出した。
聴診器を作ろうと思ったのだ。
前世の聴診器をそのままを創り出す事はできない。
特にこの世界この時代の道具では不可能だ。
だが魔獣や魔蟲の素材と俺の前世知識を使えば再現可能だ。
おれはテキパキと素材を加工して組み合わせていった。
初期に開発された単耳型聴診器なら不器用な俺でも簡単に作れる。
だから最初は単耳型聴診器を作って聞いてみた。
確かに胎動を感じる事ができた。
湧き上がるような喜びが心を占めていく。
だが直ぐに新しい聴診器を作らなければいけなくなった。
「あなた、これでは私が聞けません。
私が聞けるようなモノを作ってください、お願いします」
リアナにそう言われては作れないとは言えない。
今更不器用だから作れないとも言えない。
頑張って双耳型の聴診器を作った。
チェストピースと呼ばれる皮膚に当てる部分。
ベルと呼ばれる集音部分。
ダイアフラムと呼ばれる集音のためにチェストピースに張られた膜。
耳管と呼ばれる左右の耳に当てる屈曲した前世では金属で作られていた管。
イヤピースと呼ばれる取り外して洗う事のできる耳管の先端で耳に挿入する部分。
ゴム管と呼ばれるチェストピースと耳管をつなぐ管。
最終目標はチェストピースが表裏二つあり、呼吸音が聴きやすい面と心音が聴きやすい面の両面を切り替えて使えるダブルの聴診器だ。
しかもゴムなどの素材がないから、魔獣や魔蟲、いや、あらゆる動物や植物で最適の材料を探し出さないといけない。
魔力や魔術に頼らない医療を広めるためには聴診器が絶対に必要だ。
デジタル聴診器と呼ばれる、アンプを使って音を十倍程度に増幅した聴診器もあるが、魔獣や魔蟲の素材を使えばアンプなどなくても音の増幅が可能かもしれない。
その為の実験を繰り返さなければいけない。
0
お気に入りに追加
103
あなたにおすすめの小説
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
21時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

お姉さまが家を出て行き、婚約者を譲られました
さこの
恋愛
姉は優しく美しい。姉の名前はアリシア私の名前はフェリシア
姉の婚約者は第三王子
お茶会をすると一緒に来てと言われる
アリシアは何かとフェリシアと第三王子を二人にしたがる
ある日姉が父に言った。
アリシアでもフェリシアでも婚約者がクリスタル伯爵家の娘ならどちらでも良いですよね?
バカな事を言うなと怒る父、次の日に姉が家を、出た

父の大事な家族は、再婚相手と異母妹のみで、私は元より家族ではなかったようです
珠宮さくら
恋愛
フィロマという国で、母の病を治そうとした1人の少女がいた。母のみならず、その病に苦しむ者は、年々増えていたが、治せる薬はなく、進行を遅らせる薬しかなかった。
その病を色んな本を読んで調べあげた彼女の名前は、ヴァリャ・チャンダ。だが、それで病に効く特効薬が出来上がることになったが、母を救うことは叶わなかった。
そんな彼女が、楽しみにしていたのは隣国のラジェスへの留学だったのだが、そのために必死に貯めていた資金も父に取り上げられ、義母と異母妹の散財のために金を稼げとまで言われてしまう。
そこにヴァリャにとって救世主のように現れた令嬢がいたことで、彼女の人生は一変していくのだが、彼女らしさが消えることはなかった。

公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路
八代奏多
恋愛
公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。
王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……
……そんなこと、絶対にさせませんわよ?

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?
ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。
一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる