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第一章
第74話:転戦
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中々遺伝子治療をする決断ができなかった。
緊急で治療しなければいけない患者がいない事も理由の一つだ。
それよりも大陸中の王家からくる治療依頼を優先した。
本当に緊急で治療して欲しい王家もいた。
だが中には俺に頭を下げる言い訳として治療依頼をする王家もあった。
俺が転移魔術を使って一瞬で移動できる事も大きかった。
転移魔術を使える者はこの世界に誰一人いないのだ。
俺を神や精霊の子だと思う事ができる。
本心から思っていなくても、思っていると自分を騙せれば頭を下げられる。
王であろうと臣下の礼を取る事ができる。
まして自分や一族を治療してくれた聖者の頭を下げるのは簡単だ。
「キャメロン陛下、私も御一緒させていただきます。
別に各国の王に臣下の礼を取らせたい訳ではありません。
ですがキャメロン陛下の事が心配なのです。
キャメロン陛下を誘惑して取り込みたい。
キャメロン陛下に一族を嫁がせて子供を手に入れたい。
大陸の王家の中で頭一つ飛び抜けたい。
そう考えている者がいるに違いありません。
ですが私がついて行けばそれを防ぐことができます」
リアナが一緒について行くと言い張る。
俺一人なら屈辱感を抑えられる各国の王も、リアナにまで頭を下げなければいけないとなると、流石に腹に据えるモノがある。
本当なら即座に拒否しなければいけない。
だが拒否できない自分がいる。
ここで拒否してしまったら、リアナが疑念を抱いてしまう。
女性は月の周期で心理的に不安定な日がある。
その時に疑念が心を蝕んでしまったら大変だ。
根本的にリアナは真面目過ぎる所があるのだ。
ゲームの設定のどこかに悪役令嬢になる所があるはずだ。
それが愛する者が心変わりする設定だったら最悪だ。
もちろん俺が妹リアナを嫌いになるわけがない。
だが一人の女性として恋い焦がれているかと言われればそうではない。
しかし他に好きな女性がいるかと言えばだれもいない。
あえていればリアナが一番大切な女性だ。
リアナのためなら大陸中の王侯貴族を敵に回してもいい。
リアナと一緒に大陸中を治療に転戦すれば、そうなる確率は高い。
それでもリアナの心を壊すよりはずっといい。
リアナを悪役令嬢にはしない、助けると誓ったのは俺だ。
だが同時にリアナを亡国の悪女にするわけにもいかない。
リアナが憎まれないようにしつつ、各国を周らなければいけない。
その為の方法手段を考えるのが兄である俺の務めだ。
さて、だがどうやるべきだろうか、なかなか策が思い浮かばない。
「分かった、だが既に訪問を約束した各国には通告できていない。
これから訪問を約束する国には一緒に行くと伝えよう」
緊急で治療しなければいけない患者がいない事も理由の一つだ。
それよりも大陸中の王家からくる治療依頼を優先した。
本当に緊急で治療して欲しい王家もいた。
だが中には俺に頭を下げる言い訳として治療依頼をする王家もあった。
俺が転移魔術を使って一瞬で移動できる事も大きかった。
転移魔術を使える者はこの世界に誰一人いないのだ。
俺を神や精霊の子だと思う事ができる。
本心から思っていなくても、思っていると自分を騙せれば頭を下げられる。
王であろうと臣下の礼を取る事ができる。
まして自分や一族を治療してくれた聖者の頭を下げるのは簡単だ。
「キャメロン陛下、私も御一緒させていただきます。
別に各国の王に臣下の礼を取らせたい訳ではありません。
ですがキャメロン陛下の事が心配なのです。
キャメロン陛下を誘惑して取り込みたい。
キャメロン陛下に一族を嫁がせて子供を手に入れたい。
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そう考えている者がいるに違いありません。
ですが私がついて行けばそれを防ぐことができます」
リアナが一緒について行くと言い張る。
俺一人なら屈辱感を抑えられる各国の王も、リアナにまで頭を下げなければいけないとなると、流石に腹に据えるモノがある。
本当なら即座に拒否しなければいけない。
だが拒否できない自分がいる。
ここで拒否してしまったら、リアナが疑念を抱いてしまう。
女性は月の周期で心理的に不安定な日がある。
その時に疑念が心を蝕んでしまったら大変だ。
根本的にリアナは真面目過ぎる所があるのだ。
ゲームの設定のどこかに悪役令嬢になる所があるはずだ。
それが愛する者が心変わりする設定だったら最悪だ。
もちろん俺が妹リアナを嫌いになるわけがない。
だが一人の女性として恋い焦がれているかと言われればそうではない。
しかし他に好きな女性がいるかと言えばだれもいない。
あえていればリアナが一番大切な女性だ。
リアナのためなら大陸中の王侯貴族を敵に回してもいい。
リアナと一緒に大陸中を治療に転戦すれば、そうなる確率は高い。
それでもリアナの心を壊すよりはずっといい。
リアナを悪役令嬢にはしない、助けると誓ったのは俺だ。
だが同時にリアナを亡国の悪女にするわけにもいかない。
リアナが憎まれないようにしつつ、各国を周らなければいけない。
その為の方法手段を考えるのが兄である俺の務めだ。
さて、だがどうやるべきだろうか、なかなか策が思い浮かばない。
「分かった、だが既に訪問を約束した各国には通告できていない。
これから訪問を約束する国には一緒に行くと伝えよう」
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