58 / 89
第一章
第58話:脅迫・リアナ視点
しおりを挟む
「女王陛下、ミネバ様が本当に不義密通されていたようでございます」
クレマンからその言葉を聞かされた時は、天にも昇る思いでした。
これで兄上様と結婚できるかもしれないと思うと、身体が上気してしまいました。
しばらく何も返事ができずにいる私を、クレマンは辛抱強く待ってくれました。
「それを私に報告するという事は、助力が必要という事ですか」
「はい、女王陛下。
ミネバ様の不義密通の相手が、母国のゴドルフィン王国に戻っているため、やれることに限りがございます。
女王陛下のお力で不義密通相手を召喚していただきたいのです」
クレマンから詳しく聞きましたが、母は本当に不義密通して私を生んだようです。
よくやったものだと正直心から驚いてしまいました。
これが私でなければ、いえ、今の私でも兄上様の庇護がなければ、自殺を選ばなければいけないくらいの迫害を受けた事でしょう。
不義密通の子供として里子に出したり修道院に預けたりする事は、王侯貴族なら普通にあることですから、殺されるほどの扱いは受けません。
陽の当たる場所には出られず、日陰者として生きていくことはできます。
しかし政略結婚相手の子供と偽った場合は、王侯貴族がおこなう政略結婚の約束事を破っているので、絶対に許されません。
これがカミーユ王太子との結婚後に露見していたら、私はきっと密かに殺されていたでしょう。
まあ、兄上様なら何があっても私を護ってくださったでしょう。
本当に兄上様の妹でよかったと思います。
「分かりました、ゴドルフィン王国の駐在大使に圧力をかけます。
それできっと引き渡してくれるくれるでしょう。
もし抵抗するようなら、バロンとズメイを派遣して攫います。
絶対に失敗する事はないでしょう」
「早速許可してくださってありがとうございます、女王陛下。
きっと許可してくださると思い、駐在大使を呼び出しております。
今直ぐ謁見なされますか」
クレマンが随分急いでしますね。
ですがそれも仕方がない事でしょう。
母の実家、ホープ公爵家としたら、絶対に認められない悪事です。
証拠を隠滅するためなら、どのような相手であろうと、どんな手段を使ってでも殺すでしょう。
家臣に過ぎない母の不義密通相手など、いとも簡単に殺す事でしょう。
ここで証人を殺されてしまったら、兄上様と結婚できなくなってしまいます。
そうだ、母が不義密通相手の子供を家に入れられたのは、兄上様が父と侍女の不義の子だという事にしましょう。
兄上様を家に入れたかった父が、母の不義の子を家に入れる事を認めたことにしましょう。
ですがその為には、父と母の間に生まれていた子を死んだことにする必要がありますね。
そこまで話を創り出して通じるでしょうか。
兄上様に相談したいところですが、流石にそれは無理ですね。
それとなくクレマンに聞いてみましょう。
クレマンから兄上様に話を通してくれるかもしれません。
クレマンからその言葉を聞かされた時は、天にも昇る思いでした。
これで兄上様と結婚できるかもしれないと思うと、身体が上気してしまいました。
しばらく何も返事ができずにいる私を、クレマンは辛抱強く待ってくれました。
「それを私に報告するという事は、助力が必要という事ですか」
「はい、女王陛下。
ミネバ様の不義密通の相手が、母国のゴドルフィン王国に戻っているため、やれることに限りがございます。
女王陛下のお力で不義密通相手を召喚していただきたいのです」
クレマンから詳しく聞きましたが、母は本当に不義密通して私を生んだようです。
よくやったものだと正直心から驚いてしまいました。
これが私でなければ、いえ、今の私でも兄上様の庇護がなければ、自殺を選ばなければいけないくらいの迫害を受けた事でしょう。
不義密通の子供として里子に出したり修道院に預けたりする事は、王侯貴族なら普通にあることですから、殺されるほどの扱いは受けません。
陽の当たる場所には出られず、日陰者として生きていくことはできます。
しかし政略結婚相手の子供と偽った場合は、王侯貴族がおこなう政略結婚の約束事を破っているので、絶対に許されません。
これがカミーユ王太子との結婚後に露見していたら、私はきっと密かに殺されていたでしょう。
まあ、兄上様なら何があっても私を護ってくださったでしょう。
本当に兄上様の妹でよかったと思います。
「分かりました、ゴドルフィン王国の駐在大使に圧力をかけます。
それできっと引き渡してくれるくれるでしょう。
もし抵抗するようなら、バロンとズメイを派遣して攫います。
絶対に失敗する事はないでしょう」
「早速許可してくださってありがとうございます、女王陛下。
きっと許可してくださると思い、駐在大使を呼び出しております。
今直ぐ謁見なされますか」
クレマンが随分急いでしますね。
ですがそれも仕方がない事でしょう。
母の実家、ホープ公爵家としたら、絶対に認められない悪事です。
証拠を隠滅するためなら、どのような相手であろうと、どんな手段を使ってでも殺すでしょう。
家臣に過ぎない母の不義密通相手など、いとも簡単に殺す事でしょう。
ここで証人を殺されてしまったら、兄上様と結婚できなくなってしまいます。
そうだ、母が不義密通相手の子供を家に入れられたのは、兄上様が父と侍女の不義の子だという事にしましょう。
兄上様を家に入れたかった父が、母の不義の子を家に入れる事を認めたことにしましょう。
ですがその為には、父と母の間に生まれていた子を死んだことにする必要がありますね。
そこまで話を創り出して通じるでしょうか。
兄上様に相談したいところですが、流石にそれは無理ですね。
それとなくクレマンに聞いてみましょう。
クレマンから兄上様に話を通してくれるかもしれません。
0
お気に入りに追加
103
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
離婚した彼女は死ぬことにした
まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。
-----------------
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
-----------------
とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。
まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。
書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。
作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
悪役令嬢アンジェリカの最後の悪あがき
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【追放決定の悪役令嬢に転生したので、最後に悪あがきをしてみよう】
乙女ゲームのシナリオライターとして活躍していた私。ハードワークで意識を失い、次に目覚めた場所は自分のシナリオの乙女ゲームの世界の中。しかも悪役令嬢アンジェリカ・デーゼナーとして断罪されている真っ最中だった。そして下された罰は爵位を取られ、へき地への追放。けれど、ここは私の書き上げたシナリオのゲーム世界。なので作者として、最後の悪あがきをしてみることにした――。
※他サイトでも投稿中
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。

悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない
おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。
どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに!
あれ、でも意外と悪くないかも!
断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。
※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる