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第一章

第58話:脅迫・リアナ視点

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「女王陛下、ミネバ様が本当に不義密通されていたようでございます」

 クレマンからその言葉を聞かされた時は、天にも昇る思いでした。
 これで兄上様と結婚できるかもしれないと思うと、身体が上気してしまいました。
 しばらく何も返事ができずにいる私を、クレマンは辛抱強く待ってくれました。

「それを私に報告するという事は、助力が必要という事ですか」

「はい、女王陛下。
 ミネバ様の不義密通の相手が、母国のゴドルフィン王国に戻っているため、やれることに限りがございます。
 女王陛下のお力で不義密通相手を召喚していただきたいのです」
 
 クレマンから詳しく聞きましたが、母は本当に不義密通して私を生んだようです。
 よくやったものだと正直心から驚いてしまいました。
 これが私でなければ、いえ、今の私でも兄上様の庇護がなければ、自殺を選ばなければいけないくらいの迫害を受けた事でしょう。
 
 不義密通の子供として里子に出したり修道院に預けたりする事は、王侯貴族なら普通にあることですから、殺されるほどの扱いは受けません。
 陽の当たる場所には出られず、日陰者として生きていくことはできます。
 しかし政略結婚相手の子供と偽った場合は、王侯貴族がおこなう政略結婚の約束事を破っているので、絶対に許されません。

 これがカミーユ王太子との結婚後に露見していたら、私はきっと密かに殺されていたでしょう。
 まあ、兄上様なら何があっても私を護ってくださったでしょう。
 本当に兄上様の妹でよかったと思います。
 
「分かりました、ゴドルフィン王国の駐在大使に圧力をかけます。
 それできっと引き渡してくれるくれるでしょう。
 もし抵抗するようなら、バロンとズメイを派遣して攫います。
 絶対に失敗する事はないでしょう」

「早速許可してくださってありがとうございます、女王陛下。
 きっと許可してくださると思い、駐在大使を呼び出しております。
 今直ぐ謁見なされますか」

 クレマンが随分急いでしますね。
 ですがそれも仕方がない事でしょう。
 母の実家、ホープ公爵家としたら、絶対に認められない悪事です。
 証拠を隠滅するためなら、どのような相手であろうと、どんな手段を使ってでも殺すでしょう。

 家臣に過ぎない母の不義密通相手など、いとも簡単に殺す事でしょう。
 ここで証人を殺されてしまったら、兄上様と結婚できなくなってしまいます。
 そうだ、母が不義密通相手の子供を家に入れられたのは、兄上様が父と侍女の不義の子だという事にしましょう。

 兄上様を家に入れたかった父が、母の不義の子を家に入れる事を認めたことにしましょう。
 ですがその為には、父と母の間に生まれていた子を死んだことにする必要がありますね。

 そこまで話を創り出して通じるでしょうか。
 兄上様に相談したいところですが、流石にそれは無理ですね。
 それとなくクレマンに聞いてみましょう。
 クレマンから兄上様に話を通してくれるかもしれません。
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