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第一章
第55話:捏造・セザール
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王都にいるクレマンから無理難題を押し付けられて半年、痩せ細る思いで捏造の準備をしてきた。
幾ら愚かなモーガン公とミネバ様でも、不義密通相手の子供をラゼル公爵家の血筋に入れる事など普通は絶対に考えられない。
ありもしない事の証拠を集めろと言われても、不可能なのだ。
やれる事といえば、罪を捏造する事だけだ。
普通ならリアナ女王陛下をお諫めするのだが、今回ばかりはそうもいかない。
キャメロン陛下は近親婚に乗り気ではないようで、盛んに結婚相手を探す舞踏会や晩餐会を開いておられるが、直接中止の命令をされないのだ。
本当にやらせる気がないのなら、断固として止められるのがキャメロン陛下だ。
止められないという事は、気が進まなくても近親婚をする可能性が残っているという事だ。
普通なら命懸けでお止めするのだが、掛かっているのは私一人の命ではない。
もしキャメロン陛下がリアナ女王陛下と近親婚をすると決断されたら、この件に係わった者全員が殺されるだろう。
直接かかわった者だけではすまず、わずかでもリアナ女王陛下が捏造を命じたことを知りえる可能性もある者は、一族一門友人知人皆殺しにされるだろう。
普段はお優しく慈悲深いキャメロン陛下だが、リアナ女王陛下に係わることでは常軌を逸した決断をされることがある。
リアナ女王陛下の命に背き不利益を与えた相手に対しては、どのような残虐非道な真似でも断固として行われる。
だが逆に、リアナ女王陛下の無理な命に従おうとして失敗した分には、寛大な心で許してくださる。
我らを罰すれば、リアナ女王陛下まで罰しなければいけないし、リアナ女王陛下が我らが処分されたとを知れば、深く反省して心を痛められる。
キャメロン陛下はそのような事は絶対になされない。
長年の同輩や部下の命を守りたければ、捏造してでも不義密通の証拠を手に入れるしかないのだ。
「セザール様、ミネバ様の不義密通相手ですが、処分されて実家に帰されていた侍女から、今まで知られていなかった相手を聞きだす事ができました」
半年の間に調べた不義密通相手は、リアナ女王陛下がお生まれになってからの者ばかりで、捏造相手としては時期が合わない若すぎる者が多かった。
一番古い不義密通相手に罪を着せる準備はしていたが、できる事ならもっと年長の、欲を言えばもう死んでしまっている相手がいい。
理想を言えばミネバ様の実家から付いてきた護衛騎士の一人で、問題を起こして実家に戻された物故者がいいのだ。
ただその場合は、キャメロン陛下まで不義の子と疑われてしまい、結局は両親ともに同じ兄妹になってしまう。
どうせ捏造するのなら思いっきり捏造して、キャメロン陛下を妖精の取り違え子、チェンジリング にしてしまおうか。
幾ら愚かなモーガン公とミネバ様でも、不義密通相手の子供をラゼル公爵家の血筋に入れる事など普通は絶対に考えられない。
ありもしない事の証拠を集めろと言われても、不可能なのだ。
やれる事といえば、罪を捏造する事だけだ。
普通ならリアナ女王陛下をお諫めするのだが、今回ばかりはそうもいかない。
キャメロン陛下は近親婚に乗り気ではないようで、盛んに結婚相手を探す舞踏会や晩餐会を開いておられるが、直接中止の命令をされないのだ。
本当にやらせる気がないのなら、断固として止められるのがキャメロン陛下だ。
止められないという事は、気が進まなくても近親婚をする可能性が残っているという事だ。
普通なら命懸けでお止めするのだが、掛かっているのは私一人の命ではない。
もしキャメロン陛下がリアナ女王陛下と近親婚をすると決断されたら、この件に係わった者全員が殺されるだろう。
直接かかわった者だけではすまず、わずかでもリアナ女王陛下が捏造を命じたことを知りえる可能性もある者は、一族一門友人知人皆殺しにされるだろう。
普段はお優しく慈悲深いキャメロン陛下だが、リアナ女王陛下に係わることでは常軌を逸した決断をされることがある。
リアナ女王陛下の命に背き不利益を与えた相手に対しては、どのような残虐非道な真似でも断固として行われる。
だが逆に、リアナ女王陛下の無理な命に従おうとして失敗した分には、寛大な心で許してくださる。
我らを罰すれば、リアナ女王陛下まで罰しなければいけないし、リアナ女王陛下が我らが処分されたとを知れば、深く反省して心を痛められる。
キャメロン陛下はそのような事は絶対になされない。
長年の同輩や部下の命を守りたければ、捏造してでも不義密通の証拠を手に入れるしかないのだ。
「セザール様、ミネバ様の不義密通相手ですが、処分されて実家に帰されていた侍女から、今まで知られていなかった相手を聞きだす事ができました」
半年の間に調べた不義密通相手は、リアナ女王陛下がお生まれになってからの者ばかりで、捏造相手としては時期が合わない若すぎる者が多かった。
一番古い不義密通相手に罪を着せる準備はしていたが、できる事ならもっと年長の、欲を言えばもう死んでしまっている相手がいい。
理想を言えばミネバ様の実家から付いてきた護衛騎士の一人で、問題を起こして実家に戻された物故者がいいのだ。
ただその場合は、キャメロン陛下まで不義の子と疑われてしまい、結局は両親ともに同じ兄妹になってしまう。
どうせ捏造するのなら思いっきり捏造して、キャメロン陛下を妖精の取り違え子、チェンジリング にしてしまおうか。
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