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第一章
第20話:職人育成
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ロスリンの爵位は伯爵から侯爵になったが、領地が増えた訳でも収入が増えたわけでもないので、これから侯爵に相応しい領地にしなければいけない。
その為には、一番堅実なのが農業生産力の増大だ。
領内には未開の大森林が広がっているから、そこから始めるのが順当だ。
「井戸からでございますか、兄上様」
リアナが不思議そうにしているが、それも当然だろう。
この世界の基準では十分に発達した、王都と領都でずっと暮らしていたのだ。
この国に飲料に適した水が乏しいとは思ってもいないだろう。
そのそも王都や領都に選ばれた場所は、人の住み易い場所なのだ。
その逆で、未開の場所というのは人が住み難い何かの理由があるのだ。
その大きな原因の一つが、飲料水がない事だ。
「そうだ、リアナ。
これから領主として領内開発を行うのなら、未開になっている場所がなぜ今まで放置されていたかを、それを一番に知らなければいけないのだよ」
「ロスリン侯爵領が未開のままだったのは飲料水が原因なのですか。
そんな事は全く知りませんでした、王家の役人も教えてくれませんでした」
リアナだけでなく、王家の役人も貴族や士族がほとんどだ。
当然だが、危険で疲れて汚れるような仕事はしない。
従者を派遣したり現地の人間を呼びつけて原因を聞く者すら珍しいのだ。
普通は現地の平民が怠惰だから開発に失敗したと報告するだけだ。
役人がリアナにも同じように話していたのを横で聞いていたから知っている。
俺はそんな役人の話を信じたりしないから、直接足を運んで自分で調べた。
「他人を無暗に信用してはいけないよ、特に貴族や家臣を信用してはいけない。
人柄に身分は関係ないのだ、自分の目で確かめた相手だけを信じなさい」
「はい、自分で確かめた人だけを信じます、兄上様」
「では話を戻すが、私が魔力を使って井戸を掘るのは簡単だが、それでは私が死んだ後、民だけで井戸を掘り開拓を進めることができなくなる。
だから井戸を掘る道具や技術から教えなければいけない。
リアナにも覚えておいて欲しいから、一緒についてきなさい」
「はい、兄上様」
俺は前世の知識にある深井戸掘り技術、上総掘りを教えた。
同時にそれに必要な細長い鉄管を作る技術も教えた。
つまりは鍛冶職人と井戸職人を育成することになる。
同時に戦闘工兵を育てることを急いだ。
王家と戦う気など毛頭ないが、向こうから戦いを挑んできた時に黙って殺される気もないから、兵力を保持するのは当然だ。
それに、俺とリアナの領地が豊かになれば、盗賊はもちろん盗賊に偽装した貴族の私兵が略奪にやってくるのが当たり前の世界だ。
哀しい事だが、転生して今日まで学んできたこの国のありようがそうなのだ。
力のない正義など何の役にも立たない。
領地の豊かさに見合うだけの戦力を持ち、領民を護るのは領主の責務なのだ。
その為には、一番堅実なのが農業生産力の増大だ。
領内には未開の大森林が広がっているから、そこから始めるのが順当だ。
「井戸からでございますか、兄上様」
リアナが不思議そうにしているが、それも当然だろう。
この世界の基準では十分に発達した、王都と領都でずっと暮らしていたのだ。
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そのそも王都や領都に選ばれた場所は、人の住み易い場所なのだ。
その逆で、未開の場所というのは人が住み難い何かの理由があるのだ。
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「そうだ、リアナ。
これから領主として領内開発を行うのなら、未開になっている場所がなぜ今まで放置されていたかを、それを一番に知らなければいけないのだよ」
「ロスリン侯爵領が未開のままだったのは飲料水が原因なのですか。
そんな事は全く知りませんでした、王家の役人も教えてくれませんでした」
リアナだけでなく、王家の役人も貴族や士族がほとんどだ。
当然だが、危険で疲れて汚れるような仕事はしない。
従者を派遣したり現地の人間を呼びつけて原因を聞く者すら珍しいのだ。
普通は現地の平民が怠惰だから開発に失敗したと報告するだけだ。
役人がリアナにも同じように話していたのを横で聞いていたから知っている。
俺はそんな役人の話を信じたりしないから、直接足を運んで自分で調べた。
「他人を無暗に信用してはいけないよ、特に貴族や家臣を信用してはいけない。
人柄に身分は関係ないのだ、自分の目で確かめた相手だけを信じなさい」
「はい、自分で確かめた人だけを信じます、兄上様」
「では話を戻すが、私が魔力を使って井戸を掘るのは簡単だが、それでは私が死んだ後、民だけで井戸を掘り開拓を進めることができなくなる。
だから井戸を掘る道具や技術から教えなければいけない。
リアナにも覚えておいて欲しいから、一緒についてきなさい」
「はい、兄上様」
俺は前世の知識にある深井戸掘り技術、上総掘りを教えた。
同時にそれに必要な細長い鉄管を作る技術も教えた。
つまりは鍛冶職人と井戸職人を育成することになる。
同時に戦闘工兵を育てることを急いだ。
王家と戦う気など毛頭ないが、向こうから戦いを挑んできた時に黙って殺される気もないから、兵力を保持するのは当然だ。
それに、俺とリアナの領地が豊かになれば、盗賊はもちろん盗賊に偽装した貴族の私兵が略奪にやってくるのが当たり前の世界だ。
哀しい事だが、転生して今日まで学んできたこの国のありようがそうなのだ。
力のない正義など何の役にも立たない。
領地の豊かさに見合うだけの戦力を持ち、領民を護るのは領主の責務なのだ。
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