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第一章
第12話:早期出現
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ゲームでは、ヒロインのルナネ聖女が治癒魔術の力を発揮するのは十四歳からだ。
それがリアナの活躍に危機感を感じたのか、十三歳で治癒魔術が使いだした。
ゲームでは金持ちを治癒魔術で癒して資金集め、それで食糧を購入して王都の貧民に施しを行い、聖女の評判を手に入れていた。
だが今の王都にいる貧民は、働く気のない自堕落の者だけだ。
自立心や克己心のある者は、俺の立ち上げた傭兵団や冒険者クランに所属したり、開拓地に行って農地を手に入れようとしている。
「兄上様、聖魔術の使い手が現れたというのは本当でございますか」
リアナが歓喜の表情を浮かべて俺の部屋にやって来た。
自分を陥れる敵だと知らずに、称えるような表情も浮かべている。
ゲームでは、単なる治癒魔術が奇跡の行いだと設定されている。
先の聖魔術の使い手が死んでから、もう数十年も新たな聖魔術の使い手が生まれていないから、病気やけがを恐れる権力者は誕生を待ちわびていた。
どの国も聖魔術の使い手を必死で探していたのだ。
そういう意味では、マライーニ王家がリアナを陥れてでもルナネを取り込もうとしても、おかしな話ではない。
「ああ、本当だよリアナ、これは早々に手を打たないといけないね」
よく考えれば、リアナを助ける方法など簡単な事だったのだ。
両親を説得して、いや、脅迫してでもリアナと王太子の婚約を解消させればいい。
代償に貴重な宝石をくれてやれば、欲深な両親も認めるだろう。
どうしても欲深く王家との縁を続けようとするのなら、領地に幽閉してもいい。
ゲームでのかりそめの関係とは言え、親殺しはやりたくないからな。
「何かあるのですか、兄上様」
賢いリアナでも自分に関係する事は思い浮かばないのかな。
ここでリアナ自身が気がつくように誘導する方が、今後のためかもしれない。
「聖魔術の使い手が国内に現れた時に、王家がどう考えるとリアナは思うかい」
「それは、王家は聖魔術の使い手を取り込んで最大の利を得ようと考えます」
リアナは真剣考えているが、俺と同じ考えに辿り着いてくれるだろうか。
最初は単純に聖魔術の使い手の出現に喜んでいたが、今は真剣に考えている。
徐々に顔色が悪くなっているから、俺と同じ考えに辿り着いたのだろう。
「兄上様、私は自分からカミーユ王太子殿下との婚約を辞退すべきなのですか。
そんな事をして、ラゼル公爵家の利益を損なってしまわないですか。
由緒正しいラゼル公爵家の恥にならないでしょうか。
私がどうする事が、ラゼル公爵家のためなのでしょうか、お教えください」
それがリアナの活躍に危機感を感じたのか、十三歳で治癒魔術が使いだした。
ゲームでは金持ちを治癒魔術で癒して資金集め、それで食糧を購入して王都の貧民に施しを行い、聖女の評判を手に入れていた。
だが今の王都にいる貧民は、働く気のない自堕落の者だけだ。
自立心や克己心のある者は、俺の立ち上げた傭兵団や冒険者クランに所属したり、開拓地に行って農地を手に入れようとしている。
「兄上様、聖魔術の使い手が現れたというのは本当でございますか」
リアナが歓喜の表情を浮かべて俺の部屋にやって来た。
自分を陥れる敵だと知らずに、称えるような表情も浮かべている。
ゲームでは、単なる治癒魔術が奇跡の行いだと設定されている。
先の聖魔術の使い手が死んでから、もう数十年も新たな聖魔術の使い手が生まれていないから、病気やけがを恐れる権力者は誕生を待ちわびていた。
どの国も聖魔術の使い手を必死で探していたのだ。
そういう意味では、マライーニ王家がリアナを陥れてでもルナネを取り込もうとしても、おかしな話ではない。
「ああ、本当だよリアナ、これは早々に手を打たないといけないね」
よく考えれば、リアナを助ける方法など簡単な事だったのだ。
両親を説得して、いや、脅迫してでもリアナと王太子の婚約を解消させればいい。
代償に貴重な宝石をくれてやれば、欲深な両親も認めるだろう。
どうしても欲深く王家との縁を続けようとするのなら、領地に幽閉してもいい。
ゲームでのかりそめの関係とは言え、親殺しはやりたくないからな。
「何かあるのですか、兄上様」
賢いリアナでも自分に関係する事は思い浮かばないのかな。
ここでリアナ自身が気がつくように誘導する方が、今後のためかもしれない。
「聖魔術の使い手が国内に現れた時に、王家がどう考えるとリアナは思うかい」
「それは、王家は聖魔術の使い手を取り込んで最大の利を得ようと考えます」
リアナは真剣考えているが、俺と同じ考えに辿り着いてくれるだろうか。
最初は単純に聖魔術の使い手の出現に喜んでいたが、今は真剣に考えている。
徐々に顔色が悪くなっているから、俺と同じ考えに辿り着いたのだろう。
「兄上様、私は自分からカミーユ王太子殿下との婚約を辞退すべきなのですか。
そんな事をして、ラゼル公爵家の利益を損なってしまわないですか。
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