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第一章

第7話:護衛令嬢

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 まだまだリアナが断罪されるまでには時間がある。
 それまでにリアナ自身にも実力をつけてもらうが、王立学園内に剣となり盾となるべき令嬢を確保すべきだった。
 今までは没落した貴族家に支援を約束して、そこの令嬢を側近に育てようとしていたが、よく考えたら本当に血のつながった令嬢である必要などない。
 気に入った平民を正室にしたくて、貴族家の養女にした酔狂な貴族もいたのだ。
 今回は誰かの正室にするわけではなないから、もっと簡単だ。

「もっと早く、その程度では敵の心臓は貫けないぞ」

 まだ成人には程遠い私だが、身体強化魔術で並の騎士以上の力を持っている。
 その私が、力を引き出す事を目的に女達に稽古をつけているのだ。
 それも、突き一筋に決めて練習をさせているので、日に日に突きが鋭くなる。
 あらゆる場面に対応できる練達の騎士ではなく、リアナに危害を加えようとする者に、卑怯と謗られようと背後や側面から奇襲をかける。
 その事に特化した護衛を育てている。

「私やリアナの盾になる者は他に育てている。
 お前達は敵の隙を突いて殺す事だけを考えればいい。
 それだけで護衛騎士や戦闘侍女と同じ給与を与える。
 人数制限も設けない、私の認める実力に達した者は全員召し抱える」

 先日召し抱えた王都の貧民の中で、戦闘に適していそうな者は全員に武術の訓練をさせてている。
 女性に関しては、全員問答無用で武術訓練をさせている。
 普段リアナも盾に使えるくらいの実力がつけば、改めて行儀作法を学ばせて、ラゼル公爵家の侍女にしてリアナ付きにすればいい。
 非常時にリアナを護れるくらいの実力を得た者は、伯爵以上の貴族家に金を払って養女にしてもらえば、リアナと同じ教室に入れる事も可能だろう。

「キャメロン様、そろそろ王妃殿下に宝石を見ていただく時間です」

 私付きの従僕が時間を知らせてきた。
 せっかく宝石でサリー王妃の興味を引けたのだから、もっと強く味方に取り込むために、宝石を献上する決断をした。
 サリー王妃が前回見た宝石より好いモノを創り出すべき、前回よりも長く高圧高温の魔術で原材料となる鉱物を焼いたので、恐ろしいほど大きな原石ができた。
 リアナが身に着けられるのはネックレスや指輪やブレスレットだが、サリー王妃ならばティアラやサークレットを身に着けることができる。
 継ぎ目のない切り出しのティアラを献上できれば歓心を買えるだろう。

「分かった、直ぐに屋敷に戻って身嗜みを整えよう」

 苦々しい事だが、両親は貧民がラゼル公爵家の王都屋敷に入る事を許さなかった。
 仕方なく没落した貴族や商人が手放した屋敷を購入して、貧民の鍛錬兼寮としたが、これでは武術で合格した者に侍女や令嬢のマナーを学ばすことができない。
 ここはいっそ没落した貴族にこの屋敷を貸し出すべきか?
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