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6話王太子アイディン視点
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「なにをしていたのだ?!
このような失態を犯しておいて、よく余の前に顔を見せられたな!
叩き殺せ!
見せしめに殺してしまえ!」
「殿下!
さすがにそれは大事になります!
事が露見したら、自由戦士ギルドも面目のために戦わねばなりません。
自由戦士ギルドの団員は、ここにいるクズばかりではないのですぞ!
誇り高い良識派の自由戦士との戦いになれば、勝てたとしても大損害です。
そこを隣国に突かれたら、我が国は滅びてしまいます!」
忌々しい!
本当に忌々しい!
ファリスは次期宰相として有能だが、聖女ラミアの心を射止めるには敵だ。
いや、ここに集まっている者すべてが敵だ!
そう簡単に心を許すわけにはいかん。
正しい献策をしているように見えて、聖女ラミアを手に入れるための謀略であるかもしれないと、常に疑ってかからねばならん!
「ふん!
だったらどうしろというのだ?
ファリスが直々に兵を率いてアジュナを殺すというのか?」
「残念ながらそれは不可能です。
全ての役職を失ったとはいえ、サザーランド公爵は人望があります。
ここで殿下や私がアジュナを殺したら、前回の裁判に不正があって、我々がそれを隠蔽しようとしたと疑われます。
今でさえ平民どもの間では、我らが劣情からアジュナを陥れたと言う噂が広まっているのです」
「なにを申すか!
アジュナが聖女の名を騙っていたことも、本当の聖女ラミアを殺そうとしたことも、すべて真実ではないか!
それを我らの悪行のように噂しおって!
そのような偽りの噂を流す平民は皆殺しにしてしまえ!」
「落ち着いでください、殿下。
平民の噂に右往左往するなど、貴族の矜持にかかわりますぞ!
それよりも問題なのは、その噂を利用して、我らを失脚させようとしている貴族たちがいるという事です。
我がツィードデール公爵家の世襲宰相の座。
タリック殿の世襲左大臣の座。
ヴェダド殿の世襲右大臣の座。
ハムザ殿の世襲騎士団長の座。
なにより殿下の王太子の座を狙う者がいるのです。
我々が表に出るわけにはいかないのです!」
忌々しい!
本当に忌々しい!
この国のことを想い、偽聖女を追放し、真の聖女を王妃に迎えようとする余の英断を邪魔するなど、忠誠心にかける。
いや、謀叛人を言っていい。
余が王位に就いたら、そのような者どもは皆殺しにしてくれる!
だがそれは後の事だ。
今は偽聖女を殺す事が最優先だ!
「だったらどうしようと言うのだ?
我らが動けず、この馬鹿も役に立たん。
偽聖女が逆恨みして、聖女ラミアを襲うかもしれんのだぞ!
聖女ラミアの不安を取り除くことこそ大切なのではないのか?!」
このような失態を犯しておいて、よく余の前に顔を見せられたな!
叩き殺せ!
見せしめに殺してしまえ!」
「殿下!
さすがにそれは大事になります!
事が露見したら、自由戦士ギルドも面目のために戦わねばなりません。
自由戦士ギルドの団員は、ここにいるクズばかりではないのですぞ!
誇り高い良識派の自由戦士との戦いになれば、勝てたとしても大損害です。
そこを隣国に突かれたら、我が国は滅びてしまいます!」
忌々しい!
本当に忌々しい!
ファリスは次期宰相として有能だが、聖女ラミアの心を射止めるには敵だ。
いや、ここに集まっている者すべてが敵だ!
そう簡単に心を許すわけにはいかん。
正しい献策をしているように見えて、聖女ラミアを手に入れるための謀略であるかもしれないと、常に疑ってかからねばならん!
「ふん!
だったらどうしろというのだ?
ファリスが直々に兵を率いてアジュナを殺すというのか?」
「残念ながらそれは不可能です。
全ての役職を失ったとはいえ、サザーランド公爵は人望があります。
ここで殿下や私がアジュナを殺したら、前回の裁判に不正があって、我々がそれを隠蔽しようとしたと疑われます。
今でさえ平民どもの間では、我らが劣情からアジュナを陥れたと言う噂が広まっているのです」
「なにを申すか!
アジュナが聖女の名を騙っていたことも、本当の聖女ラミアを殺そうとしたことも、すべて真実ではないか!
それを我らの悪行のように噂しおって!
そのような偽りの噂を流す平民は皆殺しにしてしまえ!」
「落ち着いでください、殿下。
平民の噂に右往左往するなど、貴族の矜持にかかわりますぞ!
それよりも問題なのは、その噂を利用して、我らを失脚させようとしている貴族たちがいるという事です。
我がツィードデール公爵家の世襲宰相の座。
タリック殿の世襲左大臣の座。
ヴェダド殿の世襲右大臣の座。
ハムザ殿の世襲騎士団長の座。
なにより殿下の王太子の座を狙う者がいるのです。
我々が表に出るわけにはいかないのです!」
忌々しい!
本当に忌々しい!
この国のことを想い、偽聖女を追放し、真の聖女を王妃に迎えようとする余の英断を邪魔するなど、忠誠心にかける。
いや、謀叛人を言っていい。
余が王位に就いたら、そのような者どもは皆殺しにしてくれる!
だがそれは後の事だ。
今は偽聖女を殺す事が最優先だ!
「だったらどうしようと言うのだ?
我らが動けず、この馬鹿も役に立たん。
偽聖女が逆恨みして、聖女ラミアを襲うかもしれんのだぞ!
聖女ラミアの不安を取り除くことこそ大切なのではないのか?!」
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