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4話
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「命が惜しかったら馬も荷物も女も置いていきな」
「そうだ、そうだ。
騎士のような恰好をしても、恐れる俺達じゃないぞ!」
「女は俺達で可愛がってから、売春宿に売ってやるよ。
子供は俺達が流してやるから心配するな」
「そう、ぎゃあ!」
続いて何か言おうとしていた山賊が、首を刎ね飛ばされました。
私達を貶め怖がらせ精神的な愉悦にしたろうとしたのでしょうが、馬鹿ですね。
騎士装備をした相手に喧嘩を売るなんて、命知らずにもほどがあります。
ましてケヴィンは八虎騎士とまで称された勇士です。
山賊ごときが何百襲ってきても撃退してくれます。
普通ならお腹の子に悪い惨状なのでしょうが、私には見慣れた光景です。
三年前、追放刑を受けて、安住の地を求めて彷徨う間に、何度もあったのです。
その度にケヴィンと軍馬達が、山賊盗賊を軽く撃退してくれました。
その時の賞金と分捕り品があったからこそ、市民権を買うことができたのです。
そうでなければ、追放刑を受けた私が都市内に住むことなどできません。
私は一歳馬のバイアリとハーゲンが引いてくれる荷車の上にいます。
ろくに整備されていないガタガタの道なので、振動でお腹の子に悪影響が出ないように、たくさんのクッションを敷いています。
一歳馬が引いてくれているのも、お腹の子の事を考えて急がないからです。
それに、今年も妊娠しているバビエカとタトゥスに荷車を引かせるのは、とても心配だったのです。
でもさすが軍馬のバビエカとタトゥスです。
三年前と同じように、獅子奮迅の活躍をしてくれています。
鈍らとはいえ、剣や槍を振り回す山賊を蹴り殺してくれています。
後ろ脚の蹴りだけでなく前脚の蹴りでも、山賊の腹部や胸部を陥没させています。
バビエカとタトゥスはとても賢いのです。
一度教えたら、その通りに動き働いてくれます。
山賊盗賊の討伐賞金を多めにもらうためには、別枠で付加賞金がかけられている、特に残虐な山賊盗賊を見分けなければいけないのです。
そのためには、顔の判別ができるように、顔を粉砕するわけにはいかないのです。
三年前に教えたことを、今も覚えてくれているのです。
まだ幼い当歳馬のハーゲンとマレンゴは、こういう修羅場には慣れていないので、雰囲気に圧倒されて私の乗る荷車の周りをウロウロしています。
「逃亡資金が必要だから、さっき通り過ぎた都市に戻ろう。
小さい都市だが、役所の対応もしっかりしていた。
賞金を横取りしたり誤魔化したりはしないだろう」
私達はできるだけ都市に入って宿に泊まっています。
これもお腹の子供の事を考えてです。
その度に市民権を持っている証拠を提示して、役所に滞在の許可をもらいます。
そうしなければ、盗賊や山賊の仲間を簡単に城壁内にいれてしまうからです。
その時の役所の対応で、信頼できるかできないかが分かるのです。
「そうだ、そうだ。
騎士のような恰好をしても、恐れる俺達じゃないぞ!」
「女は俺達で可愛がってから、売春宿に売ってやるよ。
子供は俺達が流してやるから心配するな」
「そう、ぎゃあ!」
続いて何か言おうとしていた山賊が、首を刎ね飛ばされました。
私達を貶め怖がらせ精神的な愉悦にしたろうとしたのでしょうが、馬鹿ですね。
騎士装備をした相手に喧嘩を売るなんて、命知らずにもほどがあります。
ましてケヴィンは八虎騎士とまで称された勇士です。
山賊ごときが何百襲ってきても撃退してくれます。
普通ならお腹の子に悪い惨状なのでしょうが、私には見慣れた光景です。
三年前、追放刑を受けて、安住の地を求めて彷徨う間に、何度もあったのです。
その度にケヴィンと軍馬達が、山賊盗賊を軽く撃退してくれました。
その時の賞金と分捕り品があったからこそ、市民権を買うことができたのです。
そうでなければ、追放刑を受けた私が都市内に住むことなどできません。
私は一歳馬のバイアリとハーゲンが引いてくれる荷車の上にいます。
ろくに整備されていないガタガタの道なので、振動でお腹の子に悪影響が出ないように、たくさんのクッションを敷いています。
一歳馬が引いてくれているのも、お腹の子の事を考えて急がないからです。
それに、今年も妊娠しているバビエカとタトゥスに荷車を引かせるのは、とても心配だったのです。
でもさすが軍馬のバビエカとタトゥスです。
三年前と同じように、獅子奮迅の活躍をしてくれています。
鈍らとはいえ、剣や槍を振り回す山賊を蹴り殺してくれています。
後ろ脚の蹴りだけでなく前脚の蹴りでも、山賊の腹部や胸部を陥没させています。
バビエカとタトゥスはとても賢いのです。
一度教えたら、その通りに動き働いてくれます。
山賊盗賊の討伐賞金を多めにもらうためには、別枠で付加賞金がかけられている、特に残虐な山賊盗賊を見分けなければいけないのです。
そのためには、顔の判別ができるように、顔を粉砕するわけにはいかないのです。
三年前に教えたことを、今も覚えてくれているのです。
まだ幼い当歳馬のハーゲンとマレンゴは、こういう修羅場には慣れていないので、雰囲気に圧倒されて私の乗る荷車の周りをウロウロしています。
「逃亡資金が必要だから、さっき通り過ぎた都市に戻ろう。
小さい都市だが、役所の対応もしっかりしていた。
賞金を横取りしたり誤魔化したりはしないだろう」
私達はできるだけ都市に入って宿に泊まっています。
これもお腹の子供の事を考えてです。
その度に市民権を持っている証拠を提示して、役所に滞在の許可をもらいます。
そうしなければ、盗賊や山賊の仲間を簡単に城壁内にいれてしまうからです。
その時の役所の対応で、信頼できるかできないかが分かるのです。
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