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征東大将軍

第166話:一八三七年、収支と現状

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 旗本御家人の幕臣だけでなく、三百諸侯の家臣にも転身を望む者がいた。
 藩財政が逼迫している大名家が家臣整理を行ったのだ。
 だが大名家の中には、一家あげで移籍転封をする家もあった。
 他にも一万石で新田藩を設けて参陣を打診する大名家もあった。
 石高は一万石だが兵力は五万石十万石を用意していた。
 彼らは徳川幕府で家を残しつつ、松平幕府で分家を立てたいのだ。

 俺が嬉しかったのは、会津松平家がその方法を使ってくれたことだ。
 明治維新で汚名を着せられた会津松平家。
 叔父や弟が当主になっていたとても近しい親戚だ。
 薩長の穢い罠で陥れられ辛酸を舐めさせられた彼らに活躍の機会を与えたい。
 命令するのではなく進んで参陣してくれたのがとてもうれしい。
 俺ができる助力は惜しまない。
 寄騎同心は惜しまず付けるし、軍師もできるだけ付ける。

 艦艇をもっと増産したいのだが、今はそれよりもスクリュープロペラ式の蒸気船への改装を優先した。
 火縄銃は清国出身の兵士や他家に貸し与えるための倍以上発注した。
 鉄銅鉛の輸入量も増やしたし、占領併合地の鉱山開発も行った。

 領主権のない領主格家臣や扶持家臣が功名をあげて領主権を持った家臣となった。
 特に騎馬隊の者達が領主権持ちとなった。
 彼らが抜けた騎馬隊の再編に多くの家臣を召し抱えた。
 その為に徒士の雑兵として清国の貧民や奴隷が必要だった。
 騎馬隊には武家出身の徒士を抜擢して訓練している。
 訓練中の二百石騎士家と百石騎士家が早く戦力ができればいいのだが。

「一八三七年の松前松平家収支と軍事力」

備蓄金 :△一億五千五百十八万五千七百六十両

直轄領 :六百万石(六百万両だが今まで通り交易に使用)
家臣領 :五十万石(代官支配ではなく領主権を行使できる家臣領)
北前船 :△百七十四万両(百七十四隻は船団を組み清国や東南アジア)
北前船 :△八十一万九千二百両(自家以外の二千四十八隻運上金)
快速丸 :△七百二十万両(三百六十隻)
迅速丸 :△千四百四十万両(三百六十隻)
ジャンク:△六百四十万両(八隻)
商場運上:△六十万両
試合興行:△十八万両
小計  :△三千七百三十三万九千二百両

藩士扶持:▲三十二万八千四百両(六万五千兵)
藩士領地:▲二百石騎士家:二百万石(二万騎)
藩士領地:▲百石騎士家 :五百万石(五万騎)
陪臣大名:五十万石(二百四十九家)
食費役費:▲六十万両
機密軍費:▲九十万両
小銃生産:▲三十一万両(ドライゼ銃三万千丁)
(鉄砲部品外注:三万千丁分▲十二万四千両)
火縄銃 :▲一万六千両(一万丁)
玉薬代 :▲九十五万両
鉄銅鉛代:▲二百十万両
鍛冶職 :▲二万両(日本刀、槍、鏃)
練炭  :▲二万両
豆炭  :▲二万両
七輪  :▲一万両
陶磁器 :▲五万両
艦艇修理:▲一万七千四百両(百七十四隻)
快速丸 :▲三万両(五十トン六十隻×五百両)
迅速丸 :▲六万両(百トン六十隻×千両)
三十六門フリゲート艦:▲三万五千両(三百五十トン十艦×三千五百両)
五十二門フリゲート艦:▲二十万両(十艦×二万両)
二千トンジャンク船 :▲四万両(二隻×二万両)
農耕牛 :▲六十万両(二十万頭×三両)
軍馬駄馬:▲四十万両(二十万頭×二両)
小計  :▲千三百七十万六千八百両

総計  :△二千三百六十三万二千四百両

「現有戦力」
反射高炉:高須藩・独立四炉を四基
反射高炉:江戸韮山二炉一基を二基
反射高炉:松前藩函館二炉一基を六基
反射高炉:松前藩福山館二炉一基を六基
反射高炉:松前藩小樽二炉一基を八基
反射高炉:松前藩室蘭二炉一基を六基
反射高炉:松前藩釧路二炉一基を二基
反射高炉:松前藩網走二炉一基を二基
反射高炉:松前藩石狩二炉一基を二基
三十六門フリゲート艦:三五〇トン=九十艦
五十二門フリゲート艦:一五七六トン=五十艦
ジャンク船:二〇〇〇トン=八隻
快速丸 :五十トン=三百六十隻
迅速丸 :百トン=三百六十隻
合の子船:百七十四隻
火縄銃 :七万二千丁
後装火縄銃:三千丁
ドライゼ銃:十三万七千丁
農耕牛 :百五十万頭
軍馬駄馬:百五十万頭
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