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征夷副大将軍
第93話一八三〇年、志願者
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「殿、それほどの馬を購入されては、値がつり上がってしまいます。
それでなくても火縄銃の増産で費用が増えております。
本当にそれほどの軍馬と火縄銃が必要なのですか」
「ああ、必要だ、今から乗馬と射撃を訓練をさせておかなければ、南蛮列強国との開戦には間に合わないのだ」
俺は今迄から武器や艦艇の生産には力を入れていたが、購入価格が高騰しないように気をつけてはいたのだ。
だが今は、そんな事を言っていられなくなった。
火縄銃の購入費や艦艇建造費用が高騰しようとも、平民に武器を与え訓練を始めなければいけないのだ。
まあ、牛馬の購入費は、繁殖育成数が増えすぎて暴落傾向だったので、買い支えるという意味では丁度いいのだ。
前世で俺が調べた範囲では、江戸時代に飼育されていた馬の数は、一〇〇万頭を越えていたという。
半数が繁殖可能な牝馬と考えるわけにはいかないが、一〇頭に一頭が繁殖可能だと考えれば、一年で一〇万頭が生産される。
日本中の藩が借金で苦しんでいるから、俺が全てを買い取ると言ったら、藩を上げて生産に力を入れるから、不可能な生産数ではないと思う。
牛も同じで、農耕用として飼育されている牛の数が一〇〇万頭程度と言われていたから、一〇万頭は売りに出される。
そして実際にそれだけの牛馬が松前藩に売られたのだ。
江戸から東や北にある諸藩は、元無宿人の野非人が陸路で津軽まで行く途中を待って、牛馬を売りきた。
江戸から西や南にある諸藩は、参勤交代の時に連れてこれるだけの牛馬を供ぞろえの中にいれ、江戸の松前藩に売りに来ていた。
お陰で松前藩士は急速に乗馬が得意になっていった。
津軽から松前に渡る元無宿人の野非人も、牛馬に大八車に積み上げた穀物や家財道具を曳かせて、蝦夷に渡ってから必要になる物資を十分持って移動できた。
中には津軽に行く途中で牛馬に曳かせた物資を売り、金を儲ける者もいたが、蝦夷に渡ってからの方が穀物は高値で売れると教えていたので、藩の穀物を売るような馬鹿はいなかった。
同時に莫大な数の牛馬を手に入れられたことで、当初想定していた、千騎で三〇〇〇頭の軍馬と、一二六六〇両と三一六五〇俵の知行扶持が必要と考えていた北米派遣部隊が、千騎で三〇〇〇頭の軍馬が必要なのは同じだが、三三六〇両と千人扶持(五〇〇〇俵)ですむ「若党鉄砲組」一〇組で編制できることになった。
武士の身分を手に入れて、穢多非人の身分から抜け出したい人たちが、「若党鉄砲組」の給与基準で構わないからと、北米派遣を志願してきたのだ。
俺は、経費が五分の一近くですむので、その志願を受け入れることにした。
彼らなら牛馬の扱いに慣れているし、少なくとも、同じ経費で四倍の兵力を北米に派遣できるのだ。
それに、開拓の努力では穢多非人の身分開放は難しくても、合戦の功名でなら開放しても文句が出にくいと考えたのだ。
それでなくても火縄銃の増産で費用が増えております。
本当にそれほどの軍馬と火縄銃が必要なのですか」
「ああ、必要だ、今から乗馬と射撃を訓練をさせておかなければ、南蛮列強国との開戦には間に合わないのだ」
俺は今迄から武器や艦艇の生産には力を入れていたが、購入価格が高騰しないように気をつけてはいたのだ。
だが今は、そんな事を言っていられなくなった。
火縄銃の購入費や艦艇建造費用が高騰しようとも、平民に武器を与え訓練を始めなければいけないのだ。
まあ、牛馬の購入費は、繁殖育成数が増えすぎて暴落傾向だったので、買い支えるという意味では丁度いいのだ。
前世で俺が調べた範囲では、江戸時代に飼育されていた馬の数は、一〇〇万頭を越えていたという。
半数が繁殖可能な牝馬と考えるわけにはいかないが、一〇頭に一頭が繁殖可能だと考えれば、一年で一〇万頭が生産される。
日本中の藩が借金で苦しんでいるから、俺が全てを買い取ると言ったら、藩を上げて生産に力を入れるから、不可能な生産数ではないと思う。
牛も同じで、農耕用として飼育されている牛の数が一〇〇万頭程度と言われていたから、一〇万頭は売りに出される。
そして実際にそれだけの牛馬が松前藩に売られたのだ。
江戸から東や北にある諸藩は、元無宿人の野非人が陸路で津軽まで行く途中を待って、牛馬を売りきた。
江戸から西や南にある諸藩は、参勤交代の時に連れてこれるだけの牛馬を供ぞろえの中にいれ、江戸の松前藩に売りに来ていた。
お陰で松前藩士は急速に乗馬が得意になっていった。
津軽から松前に渡る元無宿人の野非人も、牛馬に大八車に積み上げた穀物や家財道具を曳かせて、蝦夷に渡ってから必要になる物資を十分持って移動できた。
中には津軽に行く途中で牛馬に曳かせた物資を売り、金を儲ける者もいたが、蝦夷に渡ってからの方が穀物は高値で売れると教えていたので、藩の穀物を売るような馬鹿はいなかった。
同時に莫大な数の牛馬を手に入れられたことで、当初想定していた、千騎で三〇〇〇頭の軍馬と、一二六六〇両と三一六五〇俵の知行扶持が必要と考えていた北米派遣部隊が、千騎で三〇〇〇頭の軍馬が必要なのは同じだが、三三六〇両と千人扶持(五〇〇〇俵)ですむ「若党鉄砲組」一〇組で編制できることになった。
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