72 / 238
征夷副大将軍
第72話一八二七年、水戸徳川家
しおりを挟む
紀伊徳川家に圧力をかけるのは、最良の機会を待つことにしたが、水戸徳川家の後継者については、父上と御爺様の思惑を無視して、徳川家斉の第二十一男を養嗣子に押し込んだ。
史実の徳川斉彊の事だが、俺の影響で家斉の隠居が早まり、家慶が将軍となったので、諱を貰う相手が父親から兄に代わり、史実では紀伊徳川家を継いで徳川斉彊を名乗るはずだったのが、水戸徳川家を継いで徳川慶彊を名乗っている。
確かに史実でも水戸徳川家の後継者候補になった事実はある。
水戸徳川家八代当主の徳川斉脩は、第十一代将軍徳川家斉の七女峰姫を正室に迎えていたが、二人は子供を授からなかった。
徳川斉脩は正室が将軍の娘のため、側室を置く事ができず庶子もいないので、正式な後継者を決める事ができないでいた。
徳川斉脩の本心は、弟の松平紀教を後継者にしたかったが、莫大な支援を受けている幕府の意向を無視することができないでいた。
将軍と幕閣は、恒之丞(徳川慶彊)を徳川斉脩の次弟松平紀教の長女と結婚させて、水戸徳川家を継がせたいと思っていた。
家斉将軍と幕閣は、この日の為に水戸徳川家を支援し、水戸徳川家の付家老と上級藩士との関係を好くしていた。
文政二年には幕府が貸していた九万二千両の返済を免除した。
翌文政三年には残る貸金十万両の返済も全て免除した。
それどころか、十年間九千五百両の助成金を与えることにした。
文政七年には、九千五百両の助成金を翌年から一万両の永続金に切り替えた。
ここまでやって関係を強化してきたのも、有り余る子供を養嗣子に送りたかったからだが、それが徳川家基公殺しで崩壊してしまった。
水戸徳川家では、徳川家基公殺しを知っても、これからも幕府の支援を受けたい門閥上級藩士が恒之丞(徳川慶彊)を後継者に望んでいた。
特に独立した大名同等に扱われたい付家老の中山信情は、父親の代から他の御三家付家老と連携して運動していた。
その為にも将軍家と幕閣の心証をよくしようとしていた。
一方下級藩士達は、藩主就任から一度も水戸入りしていない徳川斉脩の事をよく思っていなかった。
尊王の教えを守らず、幕府の支援を当てにする徳川斉脩を嫌っていた。
いや、水戸領に上陸した異国船に対処するために負担が増えたことを恨んでいた。
だから彼らは松平紀教を次期当主に望んでいた。
俺としては、江戸に近い水戸徳川家が尊王に染まり、帝を擁した欧米列強の手先に操られ、幕府軍を牽制して足を引っ張るような事には絶対にさせたくなかった。
だから松前藩に仕官した水戸系若党を使って、水戸家の流れを操ろうとした。
だが水戸徳川家の下級藩士達は頑迷で、上手く操れなかった。
そこで直接松平紀教を操ることにした。
史実の徳川斉彊の事だが、俺の影響で家斉の隠居が早まり、家慶が将軍となったので、諱を貰う相手が父親から兄に代わり、史実では紀伊徳川家を継いで徳川斉彊を名乗るはずだったのが、水戸徳川家を継いで徳川慶彊を名乗っている。
確かに史実でも水戸徳川家の後継者候補になった事実はある。
水戸徳川家八代当主の徳川斉脩は、第十一代将軍徳川家斉の七女峰姫を正室に迎えていたが、二人は子供を授からなかった。
徳川斉脩は正室が将軍の娘のため、側室を置く事ができず庶子もいないので、正式な後継者を決める事ができないでいた。
徳川斉脩の本心は、弟の松平紀教を後継者にしたかったが、莫大な支援を受けている幕府の意向を無視することができないでいた。
将軍と幕閣は、恒之丞(徳川慶彊)を徳川斉脩の次弟松平紀教の長女と結婚させて、水戸徳川家を継がせたいと思っていた。
家斉将軍と幕閣は、この日の為に水戸徳川家を支援し、水戸徳川家の付家老と上級藩士との関係を好くしていた。
文政二年には幕府が貸していた九万二千両の返済を免除した。
翌文政三年には残る貸金十万両の返済も全て免除した。
それどころか、十年間九千五百両の助成金を与えることにした。
文政七年には、九千五百両の助成金を翌年から一万両の永続金に切り替えた。
ここまでやって関係を強化してきたのも、有り余る子供を養嗣子に送りたかったからだが、それが徳川家基公殺しで崩壊してしまった。
水戸徳川家では、徳川家基公殺しを知っても、これからも幕府の支援を受けたい門閥上級藩士が恒之丞(徳川慶彊)を後継者に望んでいた。
特に独立した大名同等に扱われたい付家老の中山信情は、父親の代から他の御三家付家老と連携して運動していた。
その為にも将軍家と幕閣の心証をよくしようとしていた。
一方下級藩士達は、藩主就任から一度も水戸入りしていない徳川斉脩の事をよく思っていなかった。
尊王の教えを守らず、幕府の支援を当てにする徳川斉脩を嫌っていた。
いや、水戸領に上陸した異国船に対処するために負担が増えたことを恨んでいた。
だから彼らは松平紀教を次期当主に望んでいた。
俺としては、江戸に近い水戸徳川家が尊王に染まり、帝を擁した欧米列強の手先に操られ、幕府軍を牽制して足を引っ張るような事には絶対にさせたくなかった。
だから松前藩に仕官した水戸系若党を使って、水戸家の流れを操ろうとした。
だが水戸徳川家の下級藩士達は頑迷で、上手く操れなかった。
そこで直接松平紀教を操ることにした。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
【完結】彼女以外、みんな思い出す。
❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。
幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。
うちの娘が悪役令嬢って、どういうことですか?
プラネットプラント
ファンタジー
全寮制の高等教育機関で行われている卒業式で、ある令嬢が糾弾されていた。そこに令嬢の父親が割り込んできて・・・。乙女ゲームの強制力に抗う令嬢の父親(前世、彼女いない歴=年齢のフリーター)と従者(身内には優しい鬼畜)と異母兄(当て馬/噛ませ犬な攻略対象)。2016.09.08 07:00に完結します。
小説家になろうでも公開している短編集です。
聖女の姉が行方不明になりました
蓮沼ナノ
ファンタジー
8年前、姉が聖女の力に目覚め無理矢理王宮に連れて行かれた。取り残された家族は泣きながらも姉の幸せを願っていたが、8年後、王宮から姉が行方不明になったと聞かされる。妹のバリーは姉を探しに王都へと向かうが、王宮では元平民の姉は虐げられていたようで…聖女になった姉と田舎に残された家族の話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる