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第5章

第107話:食糧増産

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 多くの従魔士が集まって来たが、そう簡単に従魔は与えられない。
 彼らが弱い民を害することがあってはいけないからだ。
 熟考の末に出した結論がビックスライム代官の派遣だった。

 全てのスライムがサクラを通じて俺と同調している。
 俺が忙しい時は優秀なサクラが全てを管理してくれる。
 下手なスライム従魔士に任せるより心の負担が少ない。

 だからといって従魔士達の気持ちを踏み躙る気はない。
 彼らには新造している街道沿いで狩りをしてもらった。
 手持ちのスライム、ゴブリン、オークを従魔士に貸し与え、彼らに人跡未踏の地や僻地で食料を確保してもらった。

 当然だが、彼らが悪さをしないように目付け役のビックスライムを付けている。
 俺はとても心配症で人間不信なところがあるのだ。
 俺が無条件に信用できるのはサクラとカチュアだけだ。

 俺だって砦町のヒュージスライムだけでも十分だと分かっているのだ。
 分かっていても不安心配になってしまうのだ。
 街道造りに派遣したキングスライムと砦町のヒュージスライムが、周辺から魔獣や動物を生きたまま捕獲してくれた。

 牛や馬、犬や山猫、狐や狸、鳩や鴉などを従魔とする者達に貸し与えた。
 危険な未開地や魔境で狩りができない、普通の獣を従魔とする従魔士は、村や街の中で働いてもらった。

 魔獣や獣を狩って集めた素材は長期保存できるが、肉はあまり保存が利かない。
 狩りの途中で採集した果物や野菜も、数年単位の保存をするには塩が必要だ。
 冷害や日照りの事を考えると穀物を増産したかった。

 だからサクラと相談してスライムに未開地や僻地を開拓してもらった。
 優良な田畑を時間をかけて少し造るよりも、痩せた畑でもいいから早急に広大な耕作地を造りだした方がいいと考えたのだ。

 サクラの能力を持ったスライムなら、未開の森林の木々を根こそぎ活用できる。
 腐葉土だけを残して作物の害になる虫や獣だけを駆除する事もできる。

 だがそれよりは、荒地や草原を開墾して種を蒔いた方が早く広い畑を作れる。
 痩せた雨の少ない畑でも育つ大豆類、南瓜類、芋類を植えてもらった。
 日持ちはしないが、荒地でも育つトマトや茄子等の野菜も植えてもらった。

 スニルラ王国、ホーブル王国、ダンダス王国の三カ国で既に痩せた雨の少ない土地で育てられている食物を植えてもらった。

 三カ国で既に救荒食物として知られている物も植えてもらった。
 三カ国の魔境や未開拓地で集めた、痩せた雨の少ない土地でも育てられそうな、新しい果物や穀物や野菜を手あたり次第栽培して試してみた。

 今まで働く事もできなかった貧民が、毎日働いて食べられるようにした。
 今まで1の物を創り出していた者が、倍の2も3も生産できるようになった。

 彼らを喰わせて労働に見合う正当な代価を払うのは、王となった俺の責任だ。
 だがその全てをサクラがやってくれた。

 街道造りの副産物で金銀財宝と食料が沢山手に入るのだ。
 俺が新たな王朝を立てたダンダス王国は瞬く間に好景気となった。
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