上 下
77 / 116
第4章

第77話:街道づくり・カチュア王太女視点

しおりを挟む
「サクラ、聞いていますか、サクラ」

「はい、聞いております、カチュア王太女殿下」

「私はリドワーン様のお役に立ちたいのです。
 今回の街道づくりでも、何かお役に立ちたいと思っています。
 ですが今のところ全く何もお役に立てていません。
 サクラは何かリドワーン様のお役に立てることを思いつきませんか。
 手柄を奪うようで悪いのですが、思いつくのなら、それを私に譲ってくれませんか、お願いしますサクラ」

「大丈夫でございますよ、カチュア王太女殿下。
 私が献策しても受け入れてもらえないですが、カチュア王太女殿下が口にされたら、リドワーン様が認められる案がございます。
 それを提案されれば、カチュア王太女殿下の望みはかないます」

「まあ、それはよかったわ。
 どうかその案を教えてくださいサクラ」

「街道に旅人が休める宿や休憩所を一定距離ごとに設けるのです。
 ですが設備の整った宿や休憩所を無人にしておくと、盗賊などの悪人が拠点にしてしまい、旅人が襲われてしまう可能性があります。
 宿と休憩所を管理運営し、街道を巡回するビッグスライムを駐屯させるのです」

「まあ、それはとてもいい案だと思いますが、他国にビッグスライムを駐屯させるのは国際問題になるのではありませんか」

「はい、国や貴族として兵力を置くといえば、国際問題になります。
 ですが、道をつくった権利者として、宿や休憩所を設けて道づくりの費用を回収する事は、普通の事だと思います。
 まして宿と休憩所で得た利益からちゃんと税を納めるのなら、王家や国も面目が潰れる事を最小限に抑えることができると思います。
 ただ他国との交渉は一筋縄ではいきませんから、カチュア王太女殿下の力量が問われることになります。
 カチュア王太女殿下の名声を高めるためなら、リドワーン様は協力されます」

「リドワーン様なら私のために協力してくださるでしょうね。
 私だけの名声が上がるのならお断わりしますが、リドワーン様の名声も一緒に上がるのなら、よろこんでやらせていただきますわ。
 ただ、リドワーン様の名声を高めるためなら、どんな困難にも怯む私ではありませんが、自分の能力を過信して失敗するわけにはいきません。
 手を貸してもらえますか、サクラ」

「お任せください、カチュア王太女殿下。
 ここまでくる間に急いで成長させたスライムが数多くいます。
 道づくりの間に得た獲物が予想以上に多かったので、余裕を持ってレベル1のロードスライムに合体統合させることができます。
 カチュア王太女殿下がロードスライムに包まれて交渉されれば、この国の国王も重臣も唯々諾々と認める事でしょう。
 何よりリドワーン様だけでなく、クラリス王太女殿下もロードスライムを従魔にできると勘違いする事でしょう」

「いいのですか、サクラ、主人でもない私のためにそこまでして」

「大丈夫でございますとも、カチュア王太女殿下。
 カチュア王太女殿下は主人であるリドワーン様の大切な妻ではありませんか。
 リドワーン様と全く同じとはいきませんが、できる限りの協力をさせていただきます、どうかご安心ください」

「ありがとうサクラ、これでリドワーン様の役にたてます」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

奴隷勇者の転生物語

KeyBow
ファンタジー
 主人公は異世界召喚直後に奴隷にされた後に命じられて魔王を討伐した。 その時に奴隷から逃れる為に転生術を発動するも、不完全で記憶を無くしての転生になった。  本来ありえない2つのギフトを得られており、同郷の者と冒険者をするも、リーダーがその可能性に気が付き、嫉妬により腐らせた挙げ句に暗殺に失敗する。  そして追放された。  絶望の最中一人の女性と出会い、その後多くの仲間を得る。しかし、初めて彼女ができるも、他の少女を救った事から慕われ、思い悩む事になる。  だが、転生前と違い、追放後はハッピーに生きようとするが、そうは問屋が・・・  次から次に襲ってくる女難?と悪意から乗り切れるか?

猟師異世界冒険記

PM11:00
ファンタジー
 日本で猟師をしていた昌彦(75歳)は老衰によって亡くなってしまう。  昌彦は、長年害獣を駆除し続けた功績とその腕前を神に買われ、強大で凶暴な"モンスター"が暴れている世界、エイリエナへと送られた。  神によって若返らせてもらったその身体と、神から狩猟用に授かった猟銃を持って、昌彦(40歳)いざ異世界を冒険!  しかし、転生先の山には、人っこ1人見当たらなかった。山の頂上から周りを見渡しても、見えるのは、どこまでも連なる雄大な山々だけだった。 「…どこに行けば人里なのかも分からないな…そもそもこの世界に人って居るのか? まあ、どうしようもないか…あきらめて、この山で狩りをして暮らしていくしかないな」  昌彦の異世界サバイバル生活が、今始まった。

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

ごめんみんな先に異世界行ってるよ1年後また会おう

味噌汁食べれる
ファンタジー
主人公佐藤 翔太はクラスみんなより1年も早く異世界に、行ってしまう。みんなよりも1年早く異世界に行ってしまうそして転移場所は、世界樹で最強スキルを実でゲット?スキルを奪いながら最強へ、そして勇者召喚、それは、クラスのみんなだった。クラスのみんなが頑張っているときに、主人公は、自由気ままに生きていく

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

処理中です...