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第2章

第43話:スライムの知性

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 俺は期待を込めてキングスライムと成長したスライムを合体統合させた。
 その後で分離させたら、期待通りスライムは全ての能力を得てくれていた。

 棍棒術や盾術だけでなく、言語スキルも継承してくれたのだ。
 レベル1のスライムにもかかわらず、俺と会話ができるようになっていた。

 伝言を頼めば完璧に覚えて相手に伝えてくれる。
 しかも俺と全く同じ声で伝言してくれるので、相手に真意が伝わりやすい。
 敵に奪われるかもしれない手紙を預けるよりもはるかに安心だ。

「サクラ、俺が中継したら、分離した子と記憶を共有できると言っていたが、その意味が分からないのだが、どういう事なんだ」

「私がキングスライムに進化した事で、リドワーン様の能力も向上しているのです。
 キングスライムの私だけでなく、1度私と合体統合して能力を受け継いだスライムとは、どれほど遠くにいても意志の疎通ができるのです。
 スライムが見たモノ、聞いたモノ、感じたモノ全てを知ることができるのです」

「それは、100頭や1000頭の見た映像を、私が同時に見ることができると言う事かい?
 それはあまりに強烈で、受け止めきれないと思うのだが」

「無理に全部見る必要はありません。
 見たいモノだけ見るようにすればいいのです。
 最初は1頭のスライムから映像を見るようにされて、徐々に数を増やせばいいのだと思います。
 アレックス様の記憶にあるものに例えれば、マルチタスクと言うべきなのでしょうか?
 それとも多画面モニターと言うべきなのでしょう?」

「ああ、なるほど、株の投資家が多くのモニターを使っている方法か。
 いや、警備本部で数多くの監視カメラの画面を同時に起動している方法か。
 それともテレビ局で映しているカメラのうち、どのカメラの映像を放送するか決める、副調整室のような方法と言った方が分かりやすいのか」

「リドワーン様の記憶の中にある一番鮮明なやり方は、デイトレードをされていた時の映像でございます。
 スライムから受ける映像を部屋一面に映し出して、そのうちの大切なモノをリドワーン様と私で選んで、大きくして音や臭いも同時に拾い出せばいいのです。
 最初はほとんどの映像を私が管理させていただきますから、リドワーン様は徐々に慣れてください」

「ありがとうサクラ、そうさせてもらうよ」

 サクラの知性は飛び抜けていて、人間など足元にも及ばないのだろう。

 高レベルのスライムもいれば、単体でビックスライムやヒュージスライムに達した者がいる。

 正確な頭数はもっと少ないが、レベル1スライム換算なら10万頭のスライムが合体統合した知性があるのだから、それも当然かもしれない。

 レベル1のスライに何をさせるとすると、レベル1スライム分の知的容量しかないとはいえ、その能力を引きついだスライムなら、相当な事が可能になるだろう。
 それを俺がどう活用するかだが……
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