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第2章

第42話:謀略・カチュア王太女視点

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 さて、色々と確かめなければいけない事があります。
 キングスライムに進化したサクラがどれほど賢いのか。
 サクラのリドワーン様に対する忠誠心はどれほどなのか。

 万が一にもサクラがリドワーン様に逆らうようなことがないと、婚約者として確認しておかなければなりません。

「サクラ、私の言っていることが分かりますか。
 私の話を聞き返事をすることができますか。
 リドワーン様に関するとても大切な相談をしたいのです。
 リドワーン様に禁止されているのでなければ、返事をしてください」

「何事ですか、カチュア王太女殿下」

 私にも返事はできるようですね。
 フェリシティ達も動揺していないようですから、予測していたのでしょう。
 私がこれから口にする事も予測しているでしょうから、隠す必要もありません。

「リドワーン様のためにジャスワンを殺したいのです。
 事故に見せかけて殺してくれませんか」

「申し訳ありませんが、その提案を聞く事はできません。
 リドワーン様に無断で何かをする事は、従魔にはできないのです」

 なるほどね、私に嘘をついていないのなら、サクラがリドワーン様を命令なしに独断専行する事はないと確認できました。

「では、リドワーン様に献策してくれませんか」

「申し訳ありませんが、その提案も聞けません。
 ジャスワンを殺す事には、利点もあれば欠点もあります。
 リドワーン様はその両方を考えて生かす方を選ばれているのです。
 従魔の私が口出しすべきことではありません。
 明らかな利点や欠点があれば、リドワーン様のために何かを献策する事も厭いはしませんが、今この件で献策すれば信用を損ないます。
 本当に必要な時以外に余計な献策はできません」

 サクラは本当に賢いようですね。
 大切な献策を重視してもらうために、不要な献策をしないだけの分別がある。

 今回のジャスワン謀殺の利点も欠点も理解しているのでしょう。
 ひとまず安心できましたが、念のためにもう1つ聞いておきましょう。

「そうですか、それならば仕方がないですね。
 ただ念のためにサクラの考えを聞かせておいてください。
 サクラはリドワーン様がどうされるのが一番いいと考えていますか。
 シャルマン公爵とジャスワンを殺して公爵家を継ぐ方がいいと考えていますか?
 それとも幽閉して公爵家を継いだ方がいいと考えますか?」

「私の個人的な考えでは、シャルマン公爵家の家臣に、シャルマン公爵とジャスワンを幽閉させるべきです。
 それに派閥貴族が加わっていれば最高だと思います」

 少々腹立たしいですね。
 私はリドワーン様の手で幽閉させる事までは考えていましたが、家臣に幽閉させてリドワーン様を迎えさせる事までは思い浮かべていませんでした。

 リドワーン様の武勇を大陸中に広めることに眼が行っていて、シャルマン公爵家の掌握にまで眼が行っていませんでした。

 サクラに負けるわけにはいきません。
 もっと広い視野を持たなければ、リドワーン様の婚約者失格ですね。
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