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第1章
第51話:送別と護衛
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おばあちゃんの交渉術は僕の想像をはるかに超えていた。
合衆国政府大統領と国際ダンジョン協会会長だけでなく、各国の大統領や首相とも交渉して、国連の承認を受けてのモンスター討伐になった。
合衆国政府と国際ダンジョン協会が提示してきた報酬に加えて、成功報酬としてハサンダンジョンとイヴァノヴァ・カザケヴェチェヴォダンジョンが加えられた。
沿海地方政府は、合衆国政府を始めとした国連各国と裏取引をしていた。
合衆国の占領政府は、ロシアの新生政府に政権を移譲する時には、沿海地方の独立が認められ、日米南沿の4カ国軍事同盟を締結すると。
「無事に帰ってくるんだよ」
家を出る僕におばあちゃんが声をかけてくれる。
ひいおじいちゃんとひいおばあちゃん、親族が総出で見送ってくれる。
「私も一緒に行きたかった!」
深雪お姉さんが悔しそうに言う。
「タカラブネファミリーに生まれていたら、こんな風に見送らなくてすんだのに!」
月奈お姉さんが言っている意味が分からない。
家に生まれていたとしても、失敗した時の事を考えて参加させてもらえないよ。
「竜也君のパーティーメンバーになれるようにガンバル」
今の葵の実力だとかなり厳しいと思うぞ。
「ツギニアウトキニハモットツヨクナッテイル!
リュウヤトイッショニダンジョンニモグレルヨウニナッテオク!」
ルナなりに、俺に死ぬなと言ってくれているのか?
「竜也君、待っているから、ずっと待っているから、必ず生きて帰って来て!」
桜にそう言われると、胸の奥が剣で刺されたように痛くなる。
どのような事があっても生きて帰らなければいけないと思う。
「だいじょうぶだよ、必ず生きて帰ってくるよ。
僕だけなら難しいけれど、お父さんとお母さんも一緒だから」
今回も海上自衛隊の護衛艦に乗って沿海州に行く。
中華と北の介入を警戒して、第3護衛隊の4艦が守ってくれる。
念のために合衆国の空母機動部隊の同行してくれる。
ウラジオストクに入港した海上自衛隊第3護衛隊の4艦は、僕が戻るまで港で待ってくれている事になっている。
ウラジオストクからビキンダンジョンまでは、陸上自衛隊の中央即応連隊が護衛してくれる。
前回の縁もあり、陸上自衛隊第1水陸機動連隊の小隊長や分隊長が、中央即応連隊に転属して俺の側を守り固めてくれる。
陸上自衛隊第1水陸機動連隊第1中隊と海上自衛隊特別警備隊第1小隊が、ウラジオストクに常駐して何時でも逃げ帰れるようにしてくれている。
さすがに警視庁のSPでは荷が重すぎたので、役目が変わったのだ。
僕の護衛任務が失敗しないように、人員と装備と予算の許す限り掻き集めた部隊で、粛々を守ってくれていた。
表向きはモンスターが不意に現れても迎え討てるように、実際には旧政府軍、マフィアの残党、中華や北の工作員を迎え討てるようにしてくれていた。
僕がビキンダンジョンに到着した時点で全力で戦えるように、何時奇襲を受けても全力で迎え討てるように、ゆっくりと余裕をもった行軍だった。
合流が遅れているお父さんとお母さんが間に合うように、万が一何らかの妨害を受けて合流が遅れてもだいじょうぶなように、うかつにビキンダンジョンに近づき過ぎないようにした。
「合流の遅れているご両親を待つのに、ビキンダンジョンから少し離れたスヴェニエヴォイ駅周辺に泊まる事にします」
戦友と言える小隊長が話しかけてきた。
「申し訳ないですね、お父さんとお母さんは約束を大切にする性格なのですが、今回は色々とじゃまが入っているようです」
「自衛隊にもその情報は入っています。
中華や北が総力を挙げてご両親のじゃまをしているようです。
慌てずここで待っていれば、必ず合流できますよ」
★★★★★★
作者です。
作品を読んでいただきありがとうございます。
作品のお気に入り登録や感想が作者のモチベーションに繋がります。
作品のお気に入り登録をお願いします。
<(_ _)>
合衆国政府大統領と国際ダンジョン協会会長だけでなく、各国の大統領や首相とも交渉して、国連の承認を受けてのモンスター討伐になった。
合衆国政府と国際ダンジョン協会が提示してきた報酬に加えて、成功報酬としてハサンダンジョンとイヴァノヴァ・カザケヴェチェヴォダンジョンが加えられた。
沿海地方政府は、合衆国政府を始めとした国連各国と裏取引をしていた。
合衆国の占領政府は、ロシアの新生政府に政権を移譲する時には、沿海地方の独立が認められ、日米南沿の4カ国軍事同盟を締結すると。
「無事に帰ってくるんだよ」
家を出る僕におばあちゃんが声をかけてくれる。
ひいおじいちゃんとひいおばあちゃん、親族が総出で見送ってくれる。
「私も一緒に行きたかった!」
深雪お姉さんが悔しそうに言う。
「タカラブネファミリーに生まれていたら、こんな風に見送らなくてすんだのに!」
月奈お姉さんが言っている意味が分からない。
家に生まれていたとしても、失敗した時の事を考えて参加させてもらえないよ。
「竜也君のパーティーメンバーになれるようにガンバル」
今の葵の実力だとかなり厳しいと思うぞ。
「ツギニアウトキニハモットツヨクナッテイル!
リュウヤトイッショニダンジョンニモグレルヨウニナッテオク!」
ルナなりに、俺に死ぬなと言ってくれているのか?
「竜也君、待っているから、ずっと待っているから、必ず生きて帰って来て!」
桜にそう言われると、胸の奥が剣で刺されたように痛くなる。
どのような事があっても生きて帰らなければいけないと思う。
「だいじょうぶだよ、必ず生きて帰ってくるよ。
僕だけなら難しいけれど、お父さんとお母さんも一緒だから」
今回も海上自衛隊の護衛艦に乗って沿海州に行く。
中華と北の介入を警戒して、第3護衛隊の4艦が守ってくれる。
念のために合衆国の空母機動部隊の同行してくれる。
ウラジオストクに入港した海上自衛隊第3護衛隊の4艦は、僕が戻るまで港で待ってくれている事になっている。
ウラジオストクからビキンダンジョンまでは、陸上自衛隊の中央即応連隊が護衛してくれる。
前回の縁もあり、陸上自衛隊第1水陸機動連隊の小隊長や分隊長が、中央即応連隊に転属して俺の側を守り固めてくれる。
陸上自衛隊第1水陸機動連隊第1中隊と海上自衛隊特別警備隊第1小隊が、ウラジオストクに常駐して何時でも逃げ帰れるようにしてくれている。
さすがに警視庁のSPでは荷が重すぎたので、役目が変わったのだ。
僕の護衛任務が失敗しないように、人員と装備と予算の許す限り掻き集めた部隊で、粛々を守ってくれていた。
表向きはモンスターが不意に現れても迎え討てるように、実際には旧政府軍、マフィアの残党、中華や北の工作員を迎え討てるようにしてくれていた。
僕がビキンダンジョンに到着した時点で全力で戦えるように、何時奇襲を受けても全力で迎え討てるように、ゆっくりと余裕をもった行軍だった。
合流が遅れているお父さんとお母さんが間に合うように、万が一何らかの妨害を受けて合流が遅れてもだいじょうぶなように、うかつにビキンダンジョンに近づき過ぎないようにした。
「合流の遅れているご両親を待つのに、ビキンダンジョンから少し離れたスヴェニエヴォイ駅周辺に泊まる事にします」
戦友と言える小隊長が話しかけてきた。
「申し訳ないですね、お父さんとお母さんは約束を大切にする性格なのですが、今回は色々とじゃまが入っているようです」
「自衛隊にもその情報は入っています。
中華や北が総力を挙げてご両親のじゃまをしているようです。
慌てずここで待っていれば、必ず合流できますよ」
★★★★★★
作者です。
作品を読んでいただきありがとうございます。
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