51 / 53
第1章
第51話:送別と護衛
しおりを挟む
おばあちゃんの交渉術は僕の想像をはるかに超えていた。
合衆国政府大統領と国際ダンジョン協会会長だけでなく、各国の大統領や首相とも交渉して、国連の承認を受けてのモンスター討伐になった。
合衆国政府と国際ダンジョン協会が提示してきた報酬に加えて、成功報酬としてハサンダンジョンとイヴァノヴァ・カザケヴェチェヴォダンジョンが加えられた。
沿海地方政府は、合衆国政府を始めとした国連各国と裏取引をしていた。
合衆国の占領政府は、ロシアの新生政府に政権を移譲する時には、沿海地方の独立が認められ、日米南沿の4カ国軍事同盟を締結すると。
「無事に帰ってくるんだよ」
家を出る僕におばあちゃんが声をかけてくれる。
ひいおじいちゃんとひいおばあちゃん、親族が総出で見送ってくれる。
「私も一緒に行きたかった!」
深雪お姉さんが悔しそうに言う。
「タカラブネファミリーに生まれていたら、こんな風に見送らなくてすんだのに!」
月奈お姉さんが言っている意味が分からない。
家に生まれていたとしても、失敗した時の事を考えて参加させてもらえないよ。
「竜也君のパーティーメンバーになれるようにガンバル」
今の葵の実力だとかなり厳しいと思うぞ。
「ツギニアウトキニハモットツヨクナッテイル!
リュウヤトイッショニダンジョンニモグレルヨウニナッテオク!」
ルナなりに、俺に死ぬなと言ってくれているのか?
「竜也君、待っているから、ずっと待っているから、必ず生きて帰って来て!」
桜にそう言われると、胸の奥が剣で刺されたように痛くなる。
どのような事があっても生きて帰らなければいけないと思う。
「だいじょうぶだよ、必ず生きて帰ってくるよ。
僕だけなら難しいけれど、お父さんとお母さんも一緒だから」
今回も海上自衛隊の護衛艦に乗って沿海州に行く。
中華と北の介入を警戒して、第3護衛隊の4艦が守ってくれる。
念のために合衆国の空母機動部隊の同行してくれる。
ウラジオストクに入港した海上自衛隊第3護衛隊の4艦は、僕が戻るまで港で待ってくれている事になっている。
ウラジオストクからビキンダンジョンまでは、陸上自衛隊の中央即応連隊が護衛してくれる。
前回の縁もあり、陸上自衛隊第1水陸機動連隊の小隊長や分隊長が、中央即応連隊に転属して俺の側を守り固めてくれる。
陸上自衛隊第1水陸機動連隊第1中隊と海上自衛隊特別警備隊第1小隊が、ウラジオストクに常駐して何時でも逃げ帰れるようにしてくれている。
さすがに警視庁のSPでは荷が重すぎたので、役目が変わったのだ。
僕の護衛任務が失敗しないように、人員と装備と予算の許す限り掻き集めた部隊で、粛々を守ってくれていた。
表向きはモンスターが不意に現れても迎え討てるように、実際には旧政府軍、マフィアの残党、中華や北の工作員を迎え討てるようにしてくれていた。
僕がビキンダンジョンに到着した時点で全力で戦えるように、何時奇襲を受けても全力で迎え討てるように、ゆっくりと余裕をもった行軍だった。
合流が遅れているお父さんとお母さんが間に合うように、万が一何らかの妨害を受けて合流が遅れてもだいじょうぶなように、うかつにビキンダンジョンに近づき過ぎないようにした。
「合流の遅れているご両親を待つのに、ビキンダンジョンから少し離れたスヴェニエヴォイ駅周辺に泊まる事にします」
戦友と言える小隊長が話しかけてきた。
「申し訳ないですね、お父さんとお母さんは約束を大切にする性格なのですが、今回は色々とじゃまが入っているようです」
「自衛隊にもその情報は入っています。
中華や北が総力を挙げてご両親のじゃまをしているようです。
慌てずここで待っていれば、必ず合流できますよ」
★★★★★★
作者です。
作品を読んでいただきありがとうございます。
作品のお気に入り登録や感想が作者のモチベーションに繋がります。
作品のお気に入り登録をお願いします。
<(_ _)>
合衆国政府大統領と国際ダンジョン協会会長だけでなく、各国の大統領や首相とも交渉して、国連の承認を受けてのモンスター討伐になった。
合衆国政府と国際ダンジョン協会が提示してきた報酬に加えて、成功報酬としてハサンダンジョンとイヴァノヴァ・カザケヴェチェヴォダンジョンが加えられた。
沿海地方政府は、合衆国政府を始めとした国連各国と裏取引をしていた。
合衆国の占領政府は、ロシアの新生政府に政権を移譲する時には、沿海地方の独立が認められ、日米南沿の4カ国軍事同盟を締結すると。
「無事に帰ってくるんだよ」
家を出る僕におばあちゃんが声をかけてくれる。
ひいおじいちゃんとひいおばあちゃん、親族が総出で見送ってくれる。
「私も一緒に行きたかった!」
深雪お姉さんが悔しそうに言う。
「タカラブネファミリーに生まれていたら、こんな風に見送らなくてすんだのに!」
月奈お姉さんが言っている意味が分からない。
家に生まれていたとしても、失敗した時の事を考えて参加させてもらえないよ。
「竜也君のパーティーメンバーになれるようにガンバル」
今の葵の実力だとかなり厳しいと思うぞ。
「ツギニアウトキニハモットツヨクナッテイル!
リュウヤトイッショニダンジョンニモグレルヨウニナッテオク!」
ルナなりに、俺に死ぬなと言ってくれているのか?
「竜也君、待っているから、ずっと待っているから、必ず生きて帰って来て!」
桜にそう言われると、胸の奥が剣で刺されたように痛くなる。
どのような事があっても生きて帰らなければいけないと思う。
「だいじょうぶだよ、必ず生きて帰ってくるよ。
僕だけなら難しいけれど、お父さんとお母さんも一緒だから」
今回も海上自衛隊の護衛艦に乗って沿海州に行く。
中華と北の介入を警戒して、第3護衛隊の4艦が守ってくれる。
念のために合衆国の空母機動部隊の同行してくれる。
ウラジオストクに入港した海上自衛隊第3護衛隊の4艦は、僕が戻るまで港で待ってくれている事になっている。
ウラジオストクからビキンダンジョンまでは、陸上自衛隊の中央即応連隊が護衛してくれる。
前回の縁もあり、陸上自衛隊第1水陸機動連隊の小隊長や分隊長が、中央即応連隊に転属して俺の側を守り固めてくれる。
陸上自衛隊第1水陸機動連隊第1中隊と海上自衛隊特別警備隊第1小隊が、ウラジオストクに常駐して何時でも逃げ帰れるようにしてくれている。
さすがに警視庁のSPでは荷が重すぎたので、役目が変わったのだ。
僕の護衛任務が失敗しないように、人員と装備と予算の許す限り掻き集めた部隊で、粛々を守ってくれていた。
表向きはモンスターが不意に現れても迎え討てるように、実際には旧政府軍、マフィアの残党、中華や北の工作員を迎え討てるようにしてくれていた。
僕がビキンダンジョンに到着した時点で全力で戦えるように、何時奇襲を受けても全力で迎え討てるように、ゆっくりと余裕をもった行軍だった。
合流が遅れているお父さんとお母さんが間に合うように、万が一何らかの妨害を受けて合流が遅れてもだいじょうぶなように、うかつにビキンダンジョンに近づき過ぎないようにした。
「合流の遅れているご両親を待つのに、ビキンダンジョンから少し離れたスヴェニエヴォイ駅周辺に泊まる事にします」
戦友と言える小隊長が話しかけてきた。
「申し訳ないですね、お父さんとお母さんは約束を大切にする性格なのですが、今回は色々とじゃまが入っているようです」
「自衛隊にもその情報は入っています。
中華や北が総力を挙げてご両親のじゃまをしているようです。
慌てずここで待っていれば、必ず合流できますよ」
★★★★★★
作者です。
作品を読んでいただきありがとうございます。
作品のお気に入り登録や感想が作者のモチベーションに繋がります。
作品のお気に入り登録をお願いします。
<(_ _)>
0
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説
運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)
少年騎士
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。

盲目魔女さんに拾われた双子姉妹は恩返しをするそうです。
桐山一茶
児童書・童話
雨が降り注ぐ夜の山に、捨てられてしまった双子の姉妹が居ました。
山の中には恐ろしい魔物が出るので、幼い少女の力では山の中で生きていく事なんか出来ません。
そんな中、双子姉妹の目の前に全身黒ずくめの女の人が現れました。
するとその人は優しい声で言いました。
「私は目が見えません。だから手を繋ぎましょう」
その言葉をきっかけに、3人は仲良く暮らし始めたそうなのですが――。
(この作品はほぼ毎日更新です)
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
【完結】アシュリンと魔法の絵本
秋月一花
児童書・童話
田舎でくらしていたアシュリンは、家の掃除の手伝いをしている最中、なにかに呼ばれた気がして、使い魔の黒猫ノワールと一緒に地下へ向かう。
地下にはいろいろなものが置いてあり、アシュリンのもとにビュンっとなにかが飛んできた。
ぶつかることはなく、おそるおそる目を開けるとそこには本がぷかぷかと浮いていた。
「ほ、本がかってにうごいてるー!」
『ああ、やっと私のご主人さまにあえた! さぁあぁ、私とともに旅立とうではありませんか!』
と、アシュリンを旅に誘う。
どういうこと? とノワールに聞くと「説明するから、家族のもとにいこうか」と彼女をリビングにつれていった。
魔法の絵本を手に入れたアシュリンは、フォーサイス家の掟で旅立つことに。
アシュリンの夢と希望の冒険が、いま始まる!
※ほのぼの~ほんわかしたファンタジーです。
※この小説は7万字完結予定の中編です。
※表紙はあさぎ かな先生にいただいたファンアートです。
異世界子供会:呪われたお母さんを助ける!
克全
児童書・童話
常に生死と隣り合わせの危険魔境内にある貧しい村に住む少年は、村人を助けるために邪神の呪いを受けた母親を助けるために戦う。村の子供会で共に学び育った同級生と一緒にお母さん助けるための冒険をする。
瑠璃の姫君と鉄黒の騎士
石河 翠
児童書・童話
可愛いフェリシアはひとりぼっち。部屋の中に閉じ込められ、放置されています。彼女の楽しみは、窓の隙間から空を眺めながら歌うことだけ。
そんなある日フェリシアは、貧しい身なりの男の子にさらわれてしまいました。彼は本来自分が受け取るべきだった幸せを、フェリシアが台無しにしたのだと責め立てます。
突然のことに困惑しつつも、男の子のためにできることはないかと悩んだあげく、彼女は一本の羽を渡すことに決めました。
大好きな友達に似た男の子に笑ってほしい、ただその一心で。けれどそれは、彼女の命を削る行為で……。
記憶を失くしたヒロインと、幸せになりたいヒーローの物語。ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:249286)をお借りしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる