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第1章
第49話:合衆国の威信
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僕はロシアや合衆国の事は忘れて訓練に集中していた。
おばあちゃんはもちろん、ひいおじいちゃんとひいおばあちゃん、親族の人たちからも色々な技や魔術の手ほどきを受けた。
家の本流であるお父さんとお母さんが身に付けていない、親族が切り札として隠していた技や魔術まで教えてもらえた。
レベルアップも忘れずに、技と魔術を学ぶようにしていたので、ビキダンジョンでモンスターと戦った時とは比べ物にならないくらい強くなった。
強くはなったけれど、ロシアの陸軍と空軍が、全力でモンスターを倒そうとした砲撃や爆撃を考えると、確実に勝てる自信はなかった。
少しでもお父さんとお母さんの役に立ちたくて、具体的な方法がないので、基礎的な部分を全てコツコツと鍛えレベルアップを重ねた。
「竜也のファンがやってくれたよ!」
ひいおじいちゃんとひいおばあちゃんに訓練してもらっていると、おばあちゃんが満面の笑みを浮かべてやってきた。
「僕のファン?」
「ああ、そうだよ、竜也のファンが合衆国を動かしてくれたんだよ!」
「僕のファンなんて大した数いないよ、深雪お姉さんのファンと間違えていない?」
「相変わらずそっち方面は苦手のようだね!」
「そっち方面て何だよ」
「中学生になったばかりじゃしかたがないか」
「なんだよ、よくやっているとほめてくれたじゃないか」
「ああ、トレジャーハンターとしてはよくやっている。
だが普通の男としてはまだまだだね」
「なんだよ、普通の男って!
僕は世界一のトレジャーハンターになれたらそれでいいんだ!」
「やれ、やれ、困った子だよ」
「聖子さん、話の続きを聞かせてくれないか?」
話が横道にそれたおばあちゃんに、ひいおじいちゃんは聞き返した。
「申し訳ありません、お父さん」
「聖子さんが竜也を心配する気持ちは良く分かる。
だが、この件は私たちも気になっているのだよ、早く話してくれ」
「はい、お父さん。
竜也のファンが世界中の国でデモを起こしてくれたのです。
特に合衆国の平和団体によるデモが激しくて、ビキダンジョンを放置しておけなくなりました」
「聖子さんのうれしそうな表情を見ると、単に竜也がビキダンジョンに行けるようになったのではないようだね?」
「はい、竜也に手柄を取られるのを恐れたのでしょう。
国内の冒険者を総動員して、ビキンダンジョンのモンスターを討伐するようです」
「ほう、自由と平等を旗印にしている合衆国が、国民に死ねと強制したのか?」
「国内の冒険者には法外な参加報酬と討伐報酬の2つを出しました。
討伐に参加した他国の冒険者には、合衆国の市民権を与えるそうです」
「金で冒険者のほほを張ったか、合衆国らしいやり口だな」
「はい、ですか、現実的ではあります」
「それで、何人くらい集まりそうなのだ?」
「レベルや能力にこだわらなければ1万人は集まりそうです」
「難民やゴロツキと変わらない者まで掻き集めるのか?」
「弾除けや時間稼ぎには使えると思っているようです」
「最低だな、じゃましてやりたいが、竜也のためには飲み込むしかないか?」
「その点は安心して良いと思います。
合衆国はそのように発表しましたが、人権団体が猛烈に反対していますので、この件に関してはまだまだ混乱が続きます」
「それも竜也のファンが動いてくれているのか?
「はい、それはもう、私が驚くくらい熱心に」
「何かお礼をしなければいけないな」
ひいおじいちゃんの言葉を聞いて、脇と背中に嫌な汗が流れた。
こんな事は、4年前に死にかけた以来だ。
☆世界的アイドル冒険者、鈴木深雪ファンクラブのライン
Benno:サイレントリュウヤが合衆国を動かしてくれた。
:今も動かし続けてくれている!
Kenneth:いや、これこそ合衆国の良心だ!
豚キムチ:けっ、合衆国人の身勝手な正義なんてクソくらいだ!
みゆき命:合衆国は50の州に分裂して小国に成り下がれ!
Benno:冗談なら笑えるが、2人とも本気で言ってやがる。
ノンバア:私も内心では同じことを思っていたわ。
ゆうご:合衆国の分裂、日本にとって良いのか悪いのか……
Rafael:新生ロシアと同盟できたら、中華にも対抗できるぞ。
Kenneth:ありえない、合衆国が分裂するなどありえない!
豚キムチ:ふん、竜也君を利用した合衆国を許すな、サイレントリュウヤ!
みゆき命:合衆国を分裂させて竜也君を守れ、サイレントリュウヤ!
藤河太郎:2人が支離滅裂な事を言いだしたぞ。
雷伝五郎:ロシア美少女の話は何所に行った?
Kenneth:合衆国はロシアを新たな州に加えて世界を統一するのだ!
豚キムチ:ふん、盗人猛々しいわ、侵略者はヨーロッパに帰れ!
みゆき命:新大陸はネイティブアメリカンに返せ!
Benno:おい、止めろ、ここに政治的な思想信条を持ち込むな。
ノンバア:そうよ、ここはみゆき姫をほめたたえる場所よ。
ゆうご:そうだな、ここはもっと心安らぐ場所だった。
藤河太郎:俺たちは本来の目的を見失っていたようだ。
雷伝五郎:みゆき姫も活動を中止してしまっている。
Rafael:タカラブネファミリーに迎え入れられたというウワサはあるが……
Kenneth:みゆき姫、みゆき姫をもう一度見てみたい!
豚キムチ:ルナ、ルナ、やはりロシア美少女よりもルナを愛でたい!
みゆき命:……竜也に恋したみゆき姫よりも葵の方が美しい。
:あの幼い姿態がたまりません!
Benno:追放しろ、みゆき命を今すぎ追放しろ!
ノンバア:だったらBennoが管理者に連絡しなさいよ。
ゆうご:そうだな、ここは公の場所じゃない、仲間内の遊び場だ。
Rafael:なあ、そろそろここも潮時だと言う話に戻そうよ。
藤河太郎:サイレントリュウヤが合衆国を動かしてくれたみたいだし……
雷伝五郎:そうだな、今日で最後にするか。
ノンバア:私は今日で最後にするわよ。
Benno:俺もここに来るのは今日で最後にする。
★★★★★★
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おばあちゃんはもちろん、ひいおじいちゃんとひいおばあちゃん、親族の人たちからも色々な技や魔術の手ほどきを受けた。
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レベルアップも忘れずに、技と魔術を学ぶようにしていたので、ビキダンジョンでモンスターと戦った時とは比べ物にならないくらい強くなった。
強くはなったけれど、ロシアの陸軍と空軍が、全力でモンスターを倒そうとした砲撃や爆撃を考えると、確実に勝てる自信はなかった。
少しでもお父さんとお母さんの役に立ちたくて、具体的な方法がないので、基礎的な部分を全てコツコツと鍛えレベルアップを重ねた。
「竜也のファンがやってくれたよ!」
ひいおじいちゃんとひいおばあちゃんに訓練してもらっていると、おばあちゃんが満面の笑みを浮かべてやってきた。
「僕のファン?」
「ああ、そうだよ、竜也のファンが合衆国を動かしてくれたんだよ!」
「僕のファンなんて大した数いないよ、深雪お姉さんのファンと間違えていない?」
「相変わらずそっち方面は苦手のようだね!」
「そっち方面て何だよ」
「中学生になったばかりじゃしかたがないか」
「なんだよ、よくやっているとほめてくれたじゃないか」
「ああ、トレジャーハンターとしてはよくやっている。
だが普通の男としてはまだまだだね」
「なんだよ、普通の男って!
僕は世界一のトレジャーハンターになれたらそれでいいんだ!」
「やれ、やれ、困った子だよ」
「聖子さん、話の続きを聞かせてくれないか?」
話が横道にそれたおばあちゃんに、ひいおじいちゃんは聞き返した。
「申し訳ありません、お父さん」
「聖子さんが竜也を心配する気持ちは良く分かる。
だが、この件は私たちも気になっているのだよ、早く話してくれ」
「はい、お父さん。
竜也のファンが世界中の国でデモを起こしてくれたのです。
特に合衆国の平和団体によるデモが激しくて、ビキダンジョンを放置しておけなくなりました」
「聖子さんのうれしそうな表情を見ると、単に竜也がビキダンジョンに行けるようになったのではないようだね?」
「はい、竜也に手柄を取られるのを恐れたのでしょう。
国内の冒険者を総動員して、ビキンダンジョンのモンスターを討伐するようです」
「ほう、自由と平等を旗印にしている合衆国が、国民に死ねと強制したのか?」
「国内の冒険者には法外な参加報酬と討伐報酬の2つを出しました。
討伐に参加した他国の冒険者には、合衆国の市民権を与えるそうです」
「金で冒険者のほほを張ったか、合衆国らしいやり口だな」
「はい、ですか、現実的ではあります」
「それで、何人くらい集まりそうなのだ?」
「レベルや能力にこだわらなければ1万人は集まりそうです」
「難民やゴロツキと変わらない者まで掻き集めるのか?」
「弾除けや時間稼ぎには使えると思っているようです」
「最低だな、じゃましてやりたいが、竜也のためには飲み込むしかないか?」
「その点は安心して良いと思います。
合衆国はそのように発表しましたが、人権団体が猛烈に反対していますので、この件に関してはまだまだ混乱が続きます」
「それも竜也のファンが動いてくれているのか?
「はい、それはもう、私が驚くくらい熱心に」
「何かお礼をしなければいけないな」
ひいおじいちゃんの言葉を聞いて、脇と背中に嫌な汗が流れた。
こんな事は、4年前に死にかけた以来だ。
☆世界的アイドル冒険者、鈴木深雪ファンクラブのライン
Benno:サイレントリュウヤが合衆国を動かしてくれた。
:今も動かし続けてくれている!
Kenneth:いや、これこそ合衆国の良心だ!
豚キムチ:けっ、合衆国人の身勝手な正義なんてクソくらいだ!
みゆき命:合衆国は50の州に分裂して小国に成り下がれ!
Benno:冗談なら笑えるが、2人とも本気で言ってやがる。
ノンバア:私も内心では同じことを思っていたわ。
ゆうご:合衆国の分裂、日本にとって良いのか悪いのか……
Rafael:新生ロシアと同盟できたら、中華にも対抗できるぞ。
Kenneth:ありえない、合衆国が分裂するなどありえない!
豚キムチ:ふん、竜也君を利用した合衆国を許すな、サイレントリュウヤ!
みゆき命:合衆国を分裂させて竜也君を守れ、サイレントリュウヤ!
藤河太郎:2人が支離滅裂な事を言いだしたぞ。
雷伝五郎:ロシア美少女の話は何所に行った?
Kenneth:合衆国はロシアを新たな州に加えて世界を統一するのだ!
豚キムチ:ふん、盗人猛々しいわ、侵略者はヨーロッパに帰れ!
みゆき命:新大陸はネイティブアメリカンに返せ!
Benno:おい、止めろ、ここに政治的な思想信条を持ち込むな。
ノンバア:そうよ、ここはみゆき姫をほめたたえる場所よ。
ゆうご:そうだな、ここはもっと心安らぐ場所だった。
藤河太郎:俺たちは本来の目的を見失っていたようだ。
雷伝五郎:みゆき姫も活動を中止してしまっている。
Rafael:タカラブネファミリーに迎え入れられたというウワサはあるが……
Kenneth:みゆき姫、みゆき姫をもう一度見てみたい!
豚キムチ:ルナ、ルナ、やはりロシア美少女よりもルナを愛でたい!
みゆき命:……竜也に恋したみゆき姫よりも葵の方が美しい。
:あの幼い姿態がたまりません!
Benno:追放しろ、みゆき命を今すぎ追放しろ!
ノンバア:だったらBennoが管理者に連絡しなさいよ。
ゆうご:そうだな、ここは公の場所じゃない、仲間内の遊び場だ。
Rafael:なあ、そろそろここも潮時だと言う話に戻そうよ。
藤河太郎:サイレントリュウヤが合衆国を動かしてくれたみたいだし……
雷伝五郎:そうだな、今日で最後にするか。
ノンバア:私は今日で最後にするわよ。
Benno:俺もここに来るのは今日で最後にする。
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小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり!
他のサイトにも掲載しています。
表紙イラストは今市阿寒様です。
絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。
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