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第1章
第46話:現実
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僕がプライベートダンジョンでレベル上げをしている間に、ロシアのモスクワ臨時政府は地上に現れたモンスター対策に努力していた。
僕が確かめた情報があるから、ダンジョンの出入口から100メートル以上離れたら、安全なのが分かっている。
更に自動小銃くらいでは倒せない事と、並の冒険者では使えない大魔術でも倒せないのが分かっていた。
この状態で国が打てる手段は、国軍を投入するか国内の有力な冒険者を強制徴募するかだが、ロシアの冒険者はマフィアに支配されていた。
そのマフィアは、僕の一族を誘拐した報復を受けて壊滅しているから、強力なモンスターと戦えるような冒険者も死ぬか逮捕されている。
司法取引をすれば、冒険者を戦わせる事はできるかもしれないが、犯罪者を無罪放免するよりは、新しい国軍将兵に手柄を立てさせた方が良い。
モスクワ臨時政府は、自らの正義を大々的に宣伝しようと、国軍によるモンスター討伐作戦をライブ配信した。
T80U、T90A、T72B3などの戦車を200両の投入していた。
歩兵は全員BTR80AMに搭乗しているし、その歩兵も小銃ではなくRPG28対戦車擲弾発射器かAGS17自動擲弾銃を装備している。
「攻撃開始!」
指揮官の号令により、各種口径の戦車砲が火を噴いた。
歩兵戦闘車の各種機関砲や機関銃も弾丸を雨あられと放つ。
歩兵も擲弾を次々と撃ち放ち、モンスターのいた辺りは地獄絵図となった。
1分、2分、3分、10分と休むことなく砲弾が放たれ続ける。
狙いをつけているとは思えないくらいの速射を続ける。
ライブ配信を見ている周辺諸国にロシア軍の健在をアピールしていた。
10分後に攻撃が止まって時には、ライブ配信を見ていた者は、モンスターの死を確信していた。
着弾地点がクレーターのように陥没していると思っていた。
そう思い込むくらい激しい砲撃の雨あられだった。
だが、着弾による砂ぼこりが消え去った後には、悠々と立つもンスターがいた。
人間なら肉片1つも残らないような砲撃が全く効果を与えていなかった。
それどころか、挑発するように手足を動かしていた。
「おのれ、人間様を舐めおって、攻撃再開!」
激烈な砲撃が再開され、再びダンジョンの出入口付近は砂煙に包まれた。
射撃音と着弾音によって人の会話など全く聞き取れない。
ライブ配信を見ていた人の中には、鼓膜が破れてしまう人までいた。
それほど激しい砲撃が、今度は20分も続けられた。
戦車や歩兵戦闘車が砲弾切れで射撃を続けられなくなる。
歩兵も撃つべき擲弾がなくなってしまった。
弾薬切れで徐々に射撃音と着弾音が小さくなっていく。
同時に砂ぼこりも少なくなっていく。
砂ぼこりの奥に、モンスターの姿が浮かんできた。
☆世界的アイドル冒険者、鈴木深雪ファンクラブのライン
Kenneth:これほどの砲撃で倒せないだと!
豚キムチ:ロシア美少女を守れなくて何のためも国軍か!
みゆき命:ロシア美少女を守るために死ね!
Benno:ここだから許されるが、みゆき姫のライブでは絶対にやるなよ!
ノンバア:ここでも危ないわよ!
ゆうご:サイレントリュウヤのメンバーが密かに加わっているぞ!
Rafael:そんな事よりも、これほどの攻撃で倒せない事が恐ろしい。
藤河太郎:これではタカラブネファミリーが隠している魔術でも難しいぞ!
雷伝五郎:世界中の冒険者を集めても勝てそうにないな……
Kenneth:合衆国軍のクラスター爆弾がある!
豚キムチ:陸軍にロシア美少女は任せられない、空軍だ、空爆だ!
みゆき命:ロシア美少女を守るのは海軍だ、艦砲射撃だ!
Benno:空爆と艦砲射撃か、どう思う?
ノンバア:空爆や艦砲射撃なら戦車砲以上の破壊力があると思うわ。
ゆうご:ビキンダンジョンを艦砲射撃するのは難しいだろう?
藤河太郎:時間的に1番早くできるのは空爆だろうな。
雷伝五郎:陸軍だって地対地ミサイル車両があるだろう?
Rafael:竜也君を誘拐した後のゴタゴタだけではない。
:その前から、政府とマフィアの癒着で武器の横流しが行われていた。
Kenneth:記録されている武器と実際に残っている武器が違うのか?
豚キムチ:だったら今あるだけ使えばいい!
みゆき命:モンスターに使った事にすれば、過去の不正もなかった事になる。
Benno:モスクワ臨時政府に旧政府の残党が残っていたら本当にやりそうだ。
ノンバア:間違いなくやるだろうね。
ゆうご:モンスターに使った事にして再び横流し?
Rafael:……本当にやると思う、涙が流れてきた……
藤河太郎:切り替えろ、Rafaelはもう日本人だろう。
雷伝五郎:そうだ、過去に囚われるな。
ノンバア:そうよ、これからは日本人として幸せになる事を考えるの。
Rafael:そうだな、もうロシアの事は忘れて自分の幸せを考えるよ!
Kenneth:自分の幸せを考えるのは良いが、ビキンと樺太は近いぞ!
豚キムチ:日本人となったロシア美少女を守れ!
みゆき命:モンスターを倒さないと安心してロシア美少女を愛でられない!
Benno:こいつら、芯から腐ってやがる!
ゆうご:みゆき姫命だったのではなかったのか?!
Rafael:ロシア美少女も良いが、みゆき姫の方が上だぞ!
Benno:バカな話は止めろ、それよりもビキンと樺太の近さを考えろ。
ノンバア:日本は海上自衛隊に間宮海峡を守らせるの?
Rafael:守らせて欲しい、沿海地方に兵力が集まると不安で仕方がない。
Benno:ロシア陸軍はともかく、海軍と空軍が集結するのは怖いな。
ゆうご:千島樺太に陸上自衛隊は駐屯していないのだな?
Rafael:もともと現地にいたロシア軍が義勇兵としているだけだ。
Kenneth:安全保障条約で合衆国軍が守るぞ。
豚キムチ:ロシア美少女は日本に帰化したのだ、ヤンキーゴーホーム!
みゆき命:ロシア美少女は日本の物だ、ヤンキーゴーホーム!
Benno:こいつらを黙らせろ、管理人に通報しろ!
ノンバア:さすがに通報するのはためらわれるわね……
藤河太郎:サイレントリュウヤに委ねればいい。
ゆうご:今度こそ永久追放だろう。
★★★★★★
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僕が確かめた情報があるから、ダンジョンの出入口から100メートル以上離れたら、安全なのが分かっている。
更に自動小銃くらいでは倒せない事と、並の冒険者では使えない大魔術でも倒せないのが分かっていた。
この状態で国が打てる手段は、国軍を投入するか国内の有力な冒険者を強制徴募するかだが、ロシアの冒険者はマフィアに支配されていた。
そのマフィアは、僕の一族を誘拐した報復を受けて壊滅しているから、強力なモンスターと戦えるような冒険者も死ぬか逮捕されている。
司法取引をすれば、冒険者を戦わせる事はできるかもしれないが、犯罪者を無罪放免するよりは、新しい国軍将兵に手柄を立てさせた方が良い。
モスクワ臨時政府は、自らの正義を大々的に宣伝しようと、国軍によるモンスター討伐作戦をライブ配信した。
T80U、T90A、T72B3などの戦車を200両の投入していた。
歩兵は全員BTR80AMに搭乗しているし、その歩兵も小銃ではなくRPG28対戦車擲弾発射器かAGS17自動擲弾銃を装備している。
「攻撃開始!」
指揮官の号令により、各種口径の戦車砲が火を噴いた。
歩兵戦闘車の各種機関砲や機関銃も弾丸を雨あられと放つ。
歩兵も擲弾を次々と撃ち放ち、モンスターのいた辺りは地獄絵図となった。
1分、2分、3分、10分と休むことなく砲弾が放たれ続ける。
狙いをつけているとは思えないくらいの速射を続ける。
ライブ配信を見ている周辺諸国にロシア軍の健在をアピールしていた。
10分後に攻撃が止まって時には、ライブ配信を見ていた者は、モンスターの死を確信していた。
着弾地点がクレーターのように陥没していると思っていた。
そう思い込むくらい激しい砲撃の雨あられだった。
だが、着弾による砂ぼこりが消え去った後には、悠々と立つもンスターがいた。
人間なら肉片1つも残らないような砲撃が全く効果を与えていなかった。
それどころか、挑発するように手足を動かしていた。
「おのれ、人間様を舐めおって、攻撃再開!」
激烈な砲撃が再開され、再びダンジョンの出入口付近は砂煙に包まれた。
射撃音と着弾音によって人の会話など全く聞き取れない。
ライブ配信を見ていた人の中には、鼓膜が破れてしまう人までいた。
それほど激しい砲撃が、今度は20分も続けられた。
戦車や歩兵戦闘車が砲弾切れで射撃を続けられなくなる。
歩兵も撃つべき擲弾がなくなってしまった。
弾薬切れで徐々に射撃音と着弾音が小さくなっていく。
同時に砂ぼこりも少なくなっていく。
砂ぼこりの奥に、モンスターの姿が浮かんできた。
☆世界的アイドル冒険者、鈴木深雪ファンクラブのライン
Kenneth:これほどの砲撃で倒せないだと!
豚キムチ:ロシア美少女を守れなくて何のためも国軍か!
みゆき命:ロシア美少女を守るために死ね!
Benno:ここだから許されるが、みゆき姫のライブでは絶対にやるなよ!
ノンバア:ここでも危ないわよ!
ゆうご:サイレントリュウヤのメンバーが密かに加わっているぞ!
Rafael:そんな事よりも、これほどの攻撃で倒せない事が恐ろしい。
藤河太郎:これではタカラブネファミリーが隠している魔術でも難しいぞ!
雷伝五郎:世界中の冒険者を集めても勝てそうにないな……
Kenneth:合衆国軍のクラスター爆弾がある!
豚キムチ:陸軍にロシア美少女は任せられない、空軍だ、空爆だ!
みゆき命:ロシア美少女を守るのは海軍だ、艦砲射撃だ!
Benno:空爆と艦砲射撃か、どう思う?
ノンバア:空爆や艦砲射撃なら戦車砲以上の破壊力があると思うわ。
ゆうご:ビキンダンジョンを艦砲射撃するのは難しいだろう?
藤河太郎:時間的に1番早くできるのは空爆だろうな。
雷伝五郎:陸軍だって地対地ミサイル車両があるだろう?
Rafael:竜也君を誘拐した後のゴタゴタだけではない。
:その前から、政府とマフィアの癒着で武器の横流しが行われていた。
Kenneth:記録されている武器と実際に残っている武器が違うのか?
豚キムチ:だったら今あるだけ使えばいい!
みゆき命:モンスターに使った事にすれば、過去の不正もなかった事になる。
Benno:モスクワ臨時政府に旧政府の残党が残っていたら本当にやりそうだ。
ノンバア:間違いなくやるだろうね。
ゆうご:モンスターに使った事にして再び横流し?
Rafael:……本当にやると思う、涙が流れてきた……
藤河太郎:切り替えろ、Rafaelはもう日本人だろう。
雷伝五郎:そうだ、過去に囚われるな。
ノンバア:そうよ、これからは日本人として幸せになる事を考えるの。
Rafael:そうだな、もうロシアの事は忘れて自分の幸せを考えるよ!
Kenneth:自分の幸せを考えるのは良いが、ビキンと樺太は近いぞ!
豚キムチ:日本人となったロシア美少女を守れ!
みゆき命:モンスターを倒さないと安心してロシア美少女を愛でられない!
Benno:こいつら、芯から腐ってやがる!
ゆうご:みゆき姫命だったのではなかったのか?!
Rafael:ロシア美少女も良いが、みゆき姫の方が上だぞ!
Benno:バカな話は止めろ、それよりもビキンと樺太の近さを考えろ。
ノンバア:日本は海上自衛隊に間宮海峡を守らせるの?
Rafael:守らせて欲しい、沿海地方に兵力が集まると不安で仕方がない。
Benno:ロシア陸軍はともかく、海軍と空軍が集結するのは怖いな。
ゆうご:千島樺太に陸上自衛隊は駐屯していないのだな?
Rafael:もともと現地にいたロシア軍が義勇兵としているだけだ。
Kenneth:安全保障条約で合衆国軍が守るぞ。
豚キムチ:ロシア美少女は日本に帰化したのだ、ヤンキーゴーホーム!
みゆき命:ロシア美少女は日本の物だ、ヤンキーゴーホーム!
Benno:こいつらを黙らせろ、管理人に通報しろ!
ノンバア:さすがに通報するのはためらわれるわね……
藤河太郎:サイレントリュウヤに委ねればいい。
ゆうご:今度こそ永久追放だろう。
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