冒険者ではない、世界一のトレジャーハンターになる!

克全

文字の大きさ
上 下
30 / 53
第1章

第30話:ガマン

しおりを挟む
 僕は5人のパーティーメンバーを毎日鍛えている。
 本人たちが望むから、レベルアップ痛が起きるくらいの経験を積ませている。
 僕もやってきた事だから、どれほど痛く苦しいかは分かっている。

 従弟妹たちでも涙を探すくらいの練習だ。
 従弟妹たちの中にはトレジャーハンターになりたくないと言う子までいる。
 そう言う子には無理をさせず、普通の冒険者になれる程度の練習にする。

 だから一族の全てがトレジャーハンターになっている訳ではない。
 普通に会社勤めをしている者もいる。
 ただ、その全員が副業に冒険者をしているだけだ。

 その副業収入が会社勤めよりも多かったとしても、主たる仕事は会社員だ。
 いつ廃れてしまうかもしれない冒険者を生活の基盤にしてはいけない。

 トレジャーハンターを自称できるほどの実力があり、地下100階よりも深く潜らなければ、高価な宝物が手に入らなくなっている。

 魔法袋がなければ、浅い層では稼がなくなっている。
 魔法袋が手に入るような深い層に行く前に、ほとんどの冒険者が死んでしまう。
 魔法袋を手に入れたとしても、悪い冒険者に殺されてしまう。
 
 おばあちゃんがそう言っていた。

「レベルアップ痛が小さいうちに、体の感覚を修正してください」

「私たちがレベルアップするまで待ってくれないの?」

 僕の言葉を聞いた深雪お姉さんが、自分たちがレベルアップ痛になるまで戦わせて欲しいと言う。

「ダメよお姉ちゃん、まだ小学生の3人に、私たち以上の苦痛を感じさせちゃ」

「それはそうだけれど……」

 深雪お姉さんは、僕がパーティーにいる間に、できるだけレベルアップをしたいと思っているようだ。

 だがそのためには、3人に自分たち以上の痛みを感じさせることになる。
 交互に戦ったり休んだりできればいいのだが、誰かを1人で待たせるのは危険だ。
 5人が自重してくれればいいのだが、5人中3人が我慢できない性格なのだ。

「本当にダメよ、そんな考えで冒険者を続けるなら、私が命がけで止めるわよ!」

 身勝手な考えをするようなら、直ぐに辞めようと思ったのだけれど、月奈お姉さんが本気で怒って止めている。

 月奈お姉さんはとてもお姉さん思いで、深雪お姉さんの評判が落ちる事を身を挺して止めている。

 僕にはお兄さんもお姉さんもいないから、弟や妹に、月奈お姉さんのような愛情を注ぎたいと思っている。

 おばあちゃんが何時も言っていた事を、実際に行う人を目の当たりして、やはりおばあちゃんの言う事は正しいのだと思った。

「竜也君、このまま1番効率的な方法でレベルアップさせてちょうだい」

「分かったよ、月奈お姉さん」

 月奈お姉さんたちは学校を休んでまでレベルアップに力を入れている。
 桜、葵、ルナの3人は義務教育だから学校を休ませるわけにはいかない。
 僕のような通信教育ではないので、毎日学校に通わないといけない。

 でも深雪お姉さんと月奈お姉さんは高校生だ。
 落第にならないのなら、自分の意志で学校を休む事が許される。

 高校進学率が97%を超える日本だけど、3%は高校に行っていないとも言える。
 本当にやりたいことがあるのなら、途中で辞めても良いのが高校だ。
 それに、2人はこれから全部休んでも楽々卒業できると言っている。

「長時間連続して潜れるのなら、無理にレベルアップ痛に苦しまなくても良いよ。
 1時間以内に5回レベルアップしなければ良いんだ。
 ちゃんと計算すれば、1時間4回に抑えられる」

「そうね、分かったわ、時間が余ったらファンに歌って踊って楽しませるわ!」

「そうだね、踊っている間にレベルアップした体の動かしたかも学べるし、ちょうど良いと思うよ」

 ☆世界的アイドル冒険者、鈴木深雪のライブ動画

藤河太郎:尊い、尊い、悶え苦しみながらレベルアップする姿が尊い!

雷伝五郎:みゆき命と豚キムチの魂が乗り移ったのか?!

Benno:バカな事を言っていないで、これをどう見る。

藤河太郎:美しい、痛みにこらえながら自分を鍛える姿が美しい!

雷伝五郎:藤河太郎のアカウントが乗っ取られたのか?

Rafael:アカウントを売った可能性もあるぞ。

ノンバア:そんな事、管理者が認めないだろう?

ゆうご:バレたら大変だけど、バレなければそこそこの金になる。

Benno:売った相手が悪いと犯罪ほう助で捕まるぞ!

ゆうご:みゆき命と豚キムチなら、そんな事はしないだろう。

Benno:2人の問題は、サイレントリュウヤを怒らせたくらいだからなぁ。

Rafael:日本に移民できるくらいの大金になるのなら、アカウントくらい売るぞ!

Benno:いや、そんな大金になる事はないから><

ノンバア:貧乏人のアカウントは、はした金で買い叩くのがやり口

Rafael:く、日本への移民は無理か><

雷伝五郎:そんな実現不能な夢ではなく、現実見ろ。
    :竜也のやり方をマネしたら金を稼げるぞ。

Rafael:政府とマフィアにダンジョンが支配されているロシアでは、無理だ。

Benno:以前にもそう言っていたな。

藤河太郎:ロシアに生まれてしまったのなら諦めるしかない。

Benno:ああ、そうだな、アフリカよりはマシだが、運は悪い方だな。

Rafael:くっ、ここでみゆき姫を見るくらいしか楽しみがない

ノンバア:欲をかいたロシア政府とマフィアが、竜也にケンカを売ったらどうなる?

ゆうご:いや、さすがにそんな事はないだろう。

ノンバア:もしもの話さ、夢の話だよ。

雷伝五郎:サイレントリュウヤの総攻撃を受けるのは間違いない。

藤河太郎:タカラブネファミリーの報復も受けるだろう。

Benno:少しは住みやすい国になるかもしれない。

★★★★★★

 作者です。

 作品を読んでいただきありがとうございます。

 作品のお気に入り登録や感想が作者のモチベーションに繋がります。

 作品のお気に入り登録をお願いします。

 <(_ _)>
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

少年騎士

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。

盲目魔女さんに拾われた双子姉妹は恩返しをするそうです。

桐山一茶
児童書・童話
雨が降り注ぐ夜の山に、捨てられてしまった双子の姉妹が居ました。 山の中には恐ろしい魔物が出るので、幼い少女の力では山の中で生きていく事なんか出来ません。 そんな中、双子姉妹の目の前に全身黒ずくめの女の人が現れました。 するとその人は優しい声で言いました。 「私は目が見えません。だから手を繋ぎましょう」 その言葉をきっかけに、3人は仲良く暮らし始めたそうなのですが――。 (この作品はほぼ毎日更新です)

おばけブタのアート

モモンとパパン
児童書・童話
おばけのブタのアートはいろんなものに変身をしながら、イギリスへ 向かっていました。ただ遊びに行くのかと思いきや、しっかりした 目的がありました。

異世界子供会:呪われたお母さんを助ける!

克全
児童書・童話
常に生死と隣り合わせの危険魔境内にある貧しい村に住む少年は、村人を助けるために邪神の呪いを受けた母親を助けるために戦う。村の子供会で共に学び育った同級生と一緒にお母さん助けるための冒険をする。

児童絵本館のオオカミ

火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。

【奨励賞】おとぎの店の白雪姫

ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】 母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。 ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし! そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。 小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり! 他のサイトにも掲載しています。 表紙イラストは今市阿寒様です。 絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。

落ちこぼれ魔女・火花の魔法改革!〜孤独なマーメイドと海の秘宝〜

朱宮あめ
児童書・童話
火花は天真爛漫な魔女の女の子。 幼なじみでしっかり者のノアや、臆病だけど心優しい親友のドロシー、高飛車なダリアンたちと魔法学校で立派な魔女を目指していた。 あるとき、授業の一環で魔女にとって魔法を使うための大切な燃料『星の原石』を探しに行くことに。 火花とドロシーが選んだのは、海の中にある星の原石。 早速マーメイドになって海の中を探検しながら星の原石を探していると、火花は不思議な声を聴く。 美しくも悲しい歌声に、火花は吸い寄せられるように沈没船へ向かう。 かくして声の主は、海の王国アトランティカのマーメイドプリンセス・シュナであった。 しかし、シュナの声をドロシーは聴くことができず、火花だけにしか届かないことが発覚。 わけを聞くと、シュナは幼い頃、海の魔女・グラアナに声を奪われてしまったのだという。 それを聞いた火花は、グラアナからシュナの声を取り戻そうとする。 海の中を探して、ようやくグラアナと対峙する火花。 しかし話を聞くと、グラアナにも悲しい過去があって……。 果たして、火花はシュナの声を取り戻すことができるのか!? 家族、学校、友達、恋! どんな問題も、みんなで力を合わせて乗り越えてみせます! 魔女っ子火花の奇想天外な冒険譚、ここに誕生!!

処理中です...