冒険者ではない、世界一のトレジャーハンターになる!

克全

文字の大きさ
上 下
11 / 53
第1章

第11話:襲撃

しおりを挟む
 僕とお姉さんたちがパーティーを組んで40日経った。
 お姉さんたちが言っていた通り、世界的な配信は協会を動かした。
 2日目にはF級冒険者免許をくれた。

 お姉さんたちにトレジャーハンターのやり方を教えていると、8日目にはE級冒険者免許をくれた。

 念のために付添人をしてくれていたおばあちゃんが、もうだいじょうぶだといなくなった。

 20日くらい経つと、お姉さんたちの動きがすごく良くなった。
 最初は雑だったお姉さんも、少していねいに隠し扉を探すようになった。

 時間がかかり過ぎていた子も、少しずつ早く探せるようになった。
 すごく真面目で慎重な子だったから、早くしろと急かすのではなく、自分でがんばって早くなるまで待ったが、本当に努力で早くなってきた。

 31日目からは、宝探しが日帰りから泊りがけになった。
 とは言っても、僕以外の5人は普通の学校に通っている。

 月曜日から木曜日は、これまで通り夕方から数時間パーティーでダンジョンに潜り、宝物を探している。
 
 なので、僕は、月曜から金曜の空き時間は、1人でダンジョンに潜っている。
 パーティーメンバーの面倒を見なくてすむので、自由にダンジョンを楽しめる。

 ダンジョンと協会事務所を何往復もして、1個1000円の宝石を換金した。
 1度の換金で10個1万円にしかならないけれど、10回換金すれば10万円。

 1年で3650万円ていどでは、タカラブネファミリーとしては失格だけれど、初日のように金を探し出せれば、目標の年収1億円を超えられる!

 金曜日の夕方から日曜日の昼までが泊りがけの宝探しだ。
 二泊三日ダンジョンに中にいられるから、ある程度深くまで潜ることができる。
 ダンジョンが伸びている最深部まで潜れたら、また金が見つかるかもしれない!

 お姉さんたち5人も、30日の間に隠し扉探しが上手くできるようになったので、確認が終わった浅層の隠し扉は探さない。

 モンスターに出会わないようにしながら、仮免許用ダンジョンでは非常識な最深層、地下30階よりも深く潜る。

 土曜の午後9時頃に最後の隠し扉探しをして、モンスターの出てこない所で寝る。
 雨が降らないし温度も一定だから、眠るのにテントも寝袋もいらない。
 冒険者用のスーツはじょうぶで快適に作られているから、寝袋代わりになる。

「悪い冒険者が来ているみたい、気をつけて」

 僕は小さい頃から鍛えられているから、寝ていても敵の接近に気付ける。

「なんですって?!」

 僕の言葉に深雪お姉ちゃんがおどろいている。
 おばあちゃんがあれだけ注意したのに、まだ分かっていない。
 多くの冒険者は欲望に負けて悪い事をするのだ。

「お姉ちゃん、記録用ドローンがジャミングされているわ!」

 1歳下の月奈お姉ちゃんの方がまだ分かっている。
 言葉から本気で戦う気が伝わってくる。

「3人は固まっていて、襲ってきたら本気で攻撃しろ」

「「「はい!」」」

 僕と同い年の3人も、本気で戦わないと危ないと分かっている。
 一番年上の深雪お姉ちゃんが、一番何も分かっていない。

 悪い冒険者は30人もいる。
 僕たちを殺してでも欲しいモノを奪う気だ。
 悪い冒険者達が狙っているのは、僕が持っている魔法袋。

 ダンジョンの中でしか利用できないけれど、体積を無視してモノを入れられる、冒険者なら悪い事をしてでも手に入れたい宝物だ。

 悪い冒険者は敵、これからは敵と割り切る。
 敵は僕たち1人に5人ずつでかおそってくる気だ。
 一番強い僕をけん制している間に、お姉ちゃんたちを人質にする気だ。

 冒険者協会をだましたのか、それともお金を渡して見逃してもらったのか?
 どちらにしても、普通なら持てない武器を持っているかもしれない。

 日本のダンジョンでは持ち込み禁止の、拳銃や機関銃を持っているかもしれない。
 僕も手を抜かずに本気で戦わないといけない!

☆世界的アイドル冒険者、鈴木深雪のライブ動画

豚キムチ:え、なんだ、とつぜん見えなくなったぞ!

みゆき命:おい、聞こえるか、チャットは読めるか、誰か返事をしてくれ?

ゆうご:うお、こわれたのか?!

雷伝五郎:おい、おい、おい、うそだろ、どうなっているんだ!?

Kenneth:誰だ、露助か、露助がじゃましているのか?

Rafael:おのれヤンキーめ、俺様にみゆきをみせない気だな!

Alban:冷静になれ、ジャミングだ、犯罪者がおそってきたのだ。

Benno:さすがタカラブネファミリーのドローンだ、ジャミングが効いていない。
  :通報をしてから、リュウヤのライブに来るように知らせないと!

藤河太郎:ホワイトナイトに通謀だ、タカラブネファミリーに通報だ!

ノンバア:通報だ、急いで協会に通報だ!


★★★★★★

 作者です。

 作品を読んでいただきありがとうございます。

 作品のお気に入り登録や感想が作者のモチベーションに繋がります。

 作品のお気に入り登録をお願いします。

 <(_ _)>
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

少年騎士

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。

盲目魔女さんに拾われた双子姉妹は恩返しをするそうです。

桐山一茶
児童書・童話
雨が降り注ぐ夜の山に、捨てられてしまった双子の姉妹が居ました。 山の中には恐ろしい魔物が出るので、幼い少女の力では山の中で生きていく事なんか出来ません。 そんな中、双子姉妹の目の前に全身黒ずくめの女の人が現れました。 するとその人は優しい声で言いました。 「私は目が見えません。だから手を繋ぎましょう」 その言葉をきっかけに、3人は仲良く暮らし始めたそうなのですが――。 (この作品はほぼ毎日更新です)

おばけブタのアート

モモンとパパン
児童書・童話
おばけのブタのアートはいろんなものに変身をしながら、イギリスへ 向かっていました。ただ遊びに行くのかと思いきや、しっかりした 目的がありました。

異世界子供会:呪われたお母さんを助ける!

克全
児童書・童話
常に生死と隣り合わせの危険魔境内にある貧しい村に住む少年は、村人を助けるために邪神の呪いを受けた母親を助けるために戦う。村の子供会で共に学び育った同級生と一緒にお母さん助けるための冒険をする。

児童絵本館のオオカミ

火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。

【奨励賞】おとぎの店の白雪姫

ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】 母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。 ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし! そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。 小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり! 他のサイトにも掲載しています。 表紙イラストは今市阿寒様です。 絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。

マサオの三輪車

よん
児童書・童話
Angel meets Boy. ゾゾとマサオと……もう一人の物語。

処理中です...