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第1章
第6話:見極め
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お姉さんたちが離れてくれたので、安心して隠し扉を探せる。
やった、金だ、金を見つけられた!
イレギュラーが連続2回だと金が出るのか?
僕がちゃんと確認しないといけない。
おばあちゃんが教えてくれたのは、イレギュラーだと深層の宝物が浅層に移動する事だけで、どんな宝物が移動するかまでは教えてくれていない。
まだ他にも宝物があるとしたら、2頭の亜竜が出たこの広場だ。
天井、床、壁にある隠し扉を全部探す。
ダンジョン宝石が出た隠し扉は特によく探す。
あ、もう一度だ、もう一度、さっき金が出た隠し扉を確かめる。
空だった隠し扉の左側、コンクリートのような壁がずらせるようになっていた。
その中に金のインゴットが入っていた。
金が出た隠し扉をもう一度確かめると、その上がずらせるようになっていた。
銀、今度は銀のインゴットが出た!
いや、ここで油断してはいけない、まだ先があるかもしれない。
だけど、これ以上先に隠し扉があっても、僕の手では届かない。
バックパックからマジックハンドを出して、伸縮自在を生かして先を確かめる。
いやらしい事に、4つ目の隠し扉は奥の方向にある。
長さだけではなく、角度的にも手だけでは探せないようにしてあった。
だけど、我が家が開発したマジックハンドなら宝物を取り出せる。
金だ、2つ目の金のインゴットだ!
「おばあちゃん、ここで帰った方が良いと思うけれど、間違いかな?」
「いいや、良い判断だ、欲張るとろくなことはない」
良かった、僕の考えは間違っていなかった。
まだマジックバックの持ち出しを許されていないから、僕が運べる宝物の重さは10kgが限界だ。
大刀と脇差は魔剣だから重さを感じないけど、特製のスーツはそれなりに重い。
水や食料品、七つ道具の入ったバックパックだけで7kgはある。
それ以外に宝物を運ぶとなると、10kgが限界だ。
プライベートダンジョンでレベルアップしているから、重さはだいじょうぶ。
問題なのは体積、かさばり過ぎて身動きが取れなくなってしまう。
なによりダンジョンから地上に出てからが大変。
それに、ここから金のような宝物が出てくるかもしれない深層まで潜るには、とても1日では無理だから、ダンジョン内で泊まりになってしまう。
ライブ配信を見ている人の中に悪い冒険者がいたら、僕が探し当てた金のインゴットを狙って追いかけてくるかもしれない。
「受付に戻って仮免許からC級免許の申請をします」
「なんでも自分でやってみなさい。
協会は責任を取るのが嫌だから、未成年にはできるだけ免許を与えないようにしているけれど、何度も申請すればくれるからね」
「地亜竜と水亜竜を倒して、金のインゴットを見つけてもダメなの?!」
「もしかしたら方針が変わっていてくれるかもしれない。
でも、これまでは一度で免許をくれた事はないね」
「分かった、やってみる」
僕は背中をおばあちゃんに守ってもらいながら、地上にある受付に戻った。
ダンジョンの入り口を封鎖するように建てられているのが、各ダンジョンに潜る許可をくれる、ダンジョン協会の事務所だ。
これも、ダンジョンからモンスターが地上に出てくるかもしれない、と心配されていた頃の名残だ。
銀行の金庫のような鉄の扉がダンジョンと地上の分かれ目になっている。
事務所自体も鉄筋コンクリート製の建物で、鉄の扉を壊された時でも、事務所でモンスターを防ぐようにしていたそうだ。
ダンジョンの中ならレベルアップできる冒険者も、地上に出たらただの人に戻るのだから、モンスターが出て来られるはずがないと分かるまで、長くかかったらしい。
「宝物を見つけてきました、査定してください」
★★★★★★
作者です。
作品を読んでいただきありがとうございます。
作品のお気に入り登録や感想が作者のモチベーションに繋がります。
作品のお気に入り登録をお願いします。
<(_ _)>
やった、金だ、金を見つけられた!
イレギュラーが連続2回だと金が出るのか?
僕がちゃんと確認しないといけない。
おばあちゃんが教えてくれたのは、イレギュラーだと深層の宝物が浅層に移動する事だけで、どんな宝物が移動するかまでは教えてくれていない。
まだ他にも宝物があるとしたら、2頭の亜竜が出たこの広場だ。
天井、床、壁にある隠し扉を全部探す。
ダンジョン宝石が出た隠し扉は特によく探す。
あ、もう一度だ、もう一度、さっき金が出た隠し扉を確かめる。
空だった隠し扉の左側、コンクリートのような壁がずらせるようになっていた。
その中に金のインゴットが入っていた。
金が出た隠し扉をもう一度確かめると、その上がずらせるようになっていた。
銀、今度は銀のインゴットが出た!
いや、ここで油断してはいけない、まだ先があるかもしれない。
だけど、これ以上先に隠し扉があっても、僕の手では届かない。
バックパックからマジックハンドを出して、伸縮自在を生かして先を確かめる。
いやらしい事に、4つ目の隠し扉は奥の方向にある。
長さだけではなく、角度的にも手だけでは探せないようにしてあった。
だけど、我が家が開発したマジックハンドなら宝物を取り出せる。
金だ、2つ目の金のインゴットだ!
「おばあちゃん、ここで帰った方が良いと思うけれど、間違いかな?」
「いいや、良い判断だ、欲張るとろくなことはない」
良かった、僕の考えは間違っていなかった。
まだマジックバックの持ち出しを許されていないから、僕が運べる宝物の重さは10kgが限界だ。
大刀と脇差は魔剣だから重さを感じないけど、特製のスーツはそれなりに重い。
水や食料品、七つ道具の入ったバックパックだけで7kgはある。
それ以外に宝物を運ぶとなると、10kgが限界だ。
プライベートダンジョンでレベルアップしているから、重さはだいじょうぶ。
問題なのは体積、かさばり過ぎて身動きが取れなくなってしまう。
なによりダンジョンから地上に出てからが大変。
それに、ここから金のような宝物が出てくるかもしれない深層まで潜るには、とても1日では無理だから、ダンジョン内で泊まりになってしまう。
ライブ配信を見ている人の中に悪い冒険者がいたら、僕が探し当てた金のインゴットを狙って追いかけてくるかもしれない。
「受付に戻って仮免許からC級免許の申請をします」
「なんでも自分でやってみなさい。
協会は責任を取るのが嫌だから、未成年にはできるだけ免許を与えないようにしているけれど、何度も申請すればくれるからね」
「地亜竜と水亜竜を倒して、金のインゴットを見つけてもダメなの?!」
「もしかしたら方針が変わっていてくれるかもしれない。
でも、これまでは一度で免許をくれた事はないね」
「分かった、やってみる」
僕は背中をおばあちゃんに守ってもらいながら、地上にある受付に戻った。
ダンジョンの入り口を封鎖するように建てられているのが、各ダンジョンに潜る許可をくれる、ダンジョン協会の事務所だ。
これも、ダンジョンからモンスターが地上に出てくるかもしれない、と心配されていた頃の名残だ。
銀行の金庫のような鉄の扉がダンジョンと地上の分かれ目になっている。
事務所自体も鉄筋コンクリート製の建物で、鉄の扉を壊された時でも、事務所でモンスターを防ぐようにしていたそうだ。
ダンジョンの中ならレベルアップできる冒険者も、地上に出たらただの人に戻るのだから、モンスターが出て来られるはずがないと分かるまで、長くかかったらしい。
「宝物を見つけてきました、査定してください」
★★★★★★
作者です。
作品を読んでいただきありがとうございます。
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