68 / 69
3章
67話
しおりを挟む
「オンギャァ、オンギャァ、オンギャァ」
「まあ、随分と元気な子ね」
「申し訳ありません。
直ぐに下がらせます」
「いえ、いいのよ。
赤ちゃんは泣くのが仕事だもの。
元気よく泣いてくれたら安心だわ。
メイソンには知らせたの?」
私は我が国に疎開しているマリアンが子供を生んだと聞いて、急いでお祝いにかけつけました。
これでホワイト王国とマイヤー王国の絆が一つ増えました。
問題はホワイト王家とマイヤー王家との絆ではなく、マイヤー王家とベイリー王家の絆だという事ですが、今の状況で謀略を仕掛ける必要はないと思います。
それに、いくらなんでも赤ちゃんを殺すんなんてやりたくありません!
「メイソンには知らせたのですか?」
「はい!
船に乗る直前に妊娠が分かって、船旅を心配してくださっていたので、機会があるたびに手紙を送らせていただいています。
無事に摂政殿下の庇護していただいたことも、日々この子がお腹で育っていたことも、無事に生まれたことも、全てお知らせしたいます」
「そう、それはよかったわ。
名前は決めたの?」
「はい!
メイソンが占領したゲラン王国に新たな領地を得たのです。
その家を護って欲しいと、新しい家という意味のザビエルと名付けました」
「そう、そうなの。
それはいい名前だわ。
私からもお祝いを渡したいわ。
受け取ってくれるかしら?」
「恐れ多いことですが、喜んで受け取らせていただきます」
やはりメイソンは一番厳しい場所を任されているのね。
領地を与えられたとはいっても、ゲラン王国は面目にかけて、意地でも取り返そうとするでしょう。
領地を奪われた貴族士族も死に物狂いで取り返そうとするでしょう。
堅固な城砦と天然の難所にこもって守るのではなく、勝手の分からない元敵領を守り維持しなければなりません。
マリアンもそんなことは分かっているでしょう。
内心は心配で仕方ないでしょう。
領地などどうでもいいから、安全な城砦にこもっていて欲しいと、心から思っていることでしょう。
ですが、王家の養女として、他国からやってきた新興貴族の妻として、絶対に口にすることはできないでしょう。
ここは義姉として恩を売っておきましょう。
我が国の利益にもなって、メイソンの手助けにもなって、マリアンの心を軽くするお祝いが必要ですね。
「メイソンはホワイト王家の養子で、私の弟です。
そのメイソンが敵地に領地を得たのですから、お祝いは武具と兵糧がいいと思うのですか、マリアンはどう思いますか?」
「ありがとうございます、ありがとうございます。
そうしていただければ、メイソンも助かります!」
「まあ、随分と元気な子ね」
「申し訳ありません。
直ぐに下がらせます」
「いえ、いいのよ。
赤ちゃんは泣くのが仕事だもの。
元気よく泣いてくれたら安心だわ。
メイソンには知らせたの?」
私は我が国に疎開しているマリアンが子供を生んだと聞いて、急いでお祝いにかけつけました。
これでホワイト王国とマイヤー王国の絆が一つ増えました。
問題はホワイト王家とマイヤー王家との絆ではなく、マイヤー王家とベイリー王家の絆だという事ですが、今の状況で謀略を仕掛ける必要はないと思います。
それに、いくらなんでも赤ちゃんを殺すんなんてやりたくありません!
「メイソンには知らせたのですか?」
「はい!
船に乗る直前に妊娠が分かって、船旅を心配してくださっていたので、機会があるたびに手紙を送らせていただいています。
無事に摂政殿下の庇護していただいたことも、日々この子がお腹で育っていたことも、無事に生まれたことも、全てお知らせしたいます」
「そう、それはよかったわ。
名前は決めたの?」
「はい!
メイソンが占領したゲラン王国に新たな領地を得たのです。
その家を護って欲しいと、新しい家という意味のザビエルと名付けました」
「そう、そうなの。
それはいい名前だわ。
私からもお祝いを渡したいわ。
受け取ってくれるかしら?」
「恐れ多いことですが、喜んで受け取らせていただきます」
やはりメイソンは一番厳しい場所を任されているのね。
領地を与えられたとはいっても、ゲラン王国は面目にかけて、意地でも取り返そうとするでしょう。
領地を奪われた貴族士族も死に物狂いで取り返そうとするでしょう。
堅固な城砦と天然の難所にこもって守るのではなく、勝手の分からない元敵領を守り維持しなければなりません。
マリアンもそんなことは分かっているでしょう。
内心は心配で仕方ないでしょう。
領地などどうでもいいから、安全な城砦にこもっていて欲しいと、心から思っていることでしょう。
ですが、王家の養女として、他国からやってきた新興貴族の妻として、絶対に口にすることはできないでしょう。
ここは義姉として恩を売っておきましょう。
我が国の利益にもなって、メイソンの手助けにもなって、マリアンの心を軽くするお祝いが必要ですね。
「メイソンはホワイト王家の養子で、私の弟です。
そのメイソンが敵地に領地を得たのですから、お祝いは武具と兵糧がいいと思うのですか、マリアンはどう思いますか?」
「ありがとうございます、ありがとうございます。
そうしていただければ、メイソンも助かります!」
0
お気に入りに追加
1,886
あなたにおすすめの小説
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
婚約破棄されてしまいました。別にかまいませんけれども。
ココちゃん
恋愛
よくある婚約破棄モノです。
ざまぁあり、ピンク色のふわふわの髪の男爵令嬢ありなやつです。
短編ですので、サクッと読んでいただけると嬉しいです。
なろうに投稿したものを、少しだけ改稿して再投稿しています。
なろうでのタイトルは、「婚約破棄されました〜本当に宜しいのですね?」です。
どうぞよろしくお願いしますm(._.)m
【完結24万pt感謝】子息の廃嫡? そんなことは家でやれ! 国には関係ないぞ!
宇水涼麻
ファンタジー
貴族達が会する場で、四人の青年が高らかに婚約解消を宣った。
そこに国王陛下が登場し、有無を言わさずそれを認めた。
慌てて否定した青年たちの親に、国王陛下は騒ぎを起こした責任として罰金を課した。その金額があまりに高額で、親たちは青年たちの廃嫡することで免れようとする。
貴族家として、これまで後継者として育ててきた者を廃嫡するのは大変な決断である。
しかし、国王陛下はそれを意味なしと袖にした。それは今回の集会に理由がある。
〰️ 〰️ 〰️
中世ヨーロッパ風の婚約破棄物語です。
完結しました。いつもありがとうございます!
護国の聖女、婚約破棄の上、国外追放される。〜もう護らなくていいんですね〜
ココちゃん
恋愛
平民出身と蔑まれつつも、聖女として10年間一人で護国の大結界を維持してきたジルヴァラは、学園の卒業式で、冤罪を理由に第一王子に婚約を破棄され、国外追放されてしまう。
護国の大結界は、聖女が結界の外に出た瞬間、消滅してしまうけれど、王子の新しい婚約者さんが次の聖女だっていうし大丈夫だよね。
がんばれ。
…テンプレ聖女モノです。
女神に頼まれましたけど
実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。
その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。
「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」
ドンガラガッシャーン!
「ひぃぃっ!?」
情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。
※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった……
※ざまぁ要素は後日談にする予定……

【完結】許婚の子爵令息から婚約破棄を宣言されましたが、それを知った公爵家の幼馴染から溺愛されるようになりました
八重
恋愛
「ソフィ・ルヴェリエ! 貴様とは婚約破棄する!」
子爵令息エミール・エストレが言うには、侯爵令嬢から好意を抱かれており、男としてそれに応えねばならないというのだ。
失意のどん底に突き落とされたソフィ。
しかし、婚約破棄をきっかけに幼馴染の公爵令息ジル・ルノアールから溺愛されることに!
一方、エミールの両親はソフィとの婚約破棄を知って大激怒。
エミールの両親の命令で『好意の証拠』を探すが、侯爵令嬢からの好意は彼の勘違いだった。
なんとかして侯爵令嬢を口説くが、婚約者のいる彼女がなびくはずもなく……。
焦ったエミールはソフィに復縁を求めるが、時すでに遅し──

スカーレット、君は絶対に僕のもの
meishino
恋愛
自分が誰かも分からないまま突然魔法学園に入学したヒイロ。家族も何も思い出せない彼女が生きていくには取り敢えずその学園の寮で暮らすしかなかった。そんな中、隣のクラスの担任の先生と距離感が近くなりすぎてしまう。女生徒達から絶大な人気を誇る彼がヒイロをプチ束縛してくる理由とは一体何なのか……。
魔法を共に学ぶ仲間との関わり合いの中で生じる感情、徐々に明らかになる過去、ラストシーンも見所です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる