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2章

23話

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「宮中伯は私が何をすべきだと考えているのですか」

「幸いにもマイヤー王国が姫様との御見合いに王族を寄越してきました。
 マイヤー王国に止むに止まれぬ理由があったとは言え、これを利用しない手はありません。
 臣が耳にしている台所領も持参金も、他国に比べて群を抜いております。
 この条件を隣国に流して、同条件を引き出して頂きたいのです。
 王子達の美醜も賢愚も、姫様も好悪も無視すると言う、臣下の身勝手な願いでございますが、お聞き届けいただけますでしょうか?」

「よくぞ言ってくれました。
 私も同じように考えておりました。
 マイヤー王国と同じ条件を出してくる国があるかどうかは分かりません。
 特に我が国に来て見合いをすると言う事は、一時的であろうと人質を差し出すのと同じです。
 名門王家がそのような不名誉を是とするとは思えません。
 せいぜい王家の端に連なる、名前だけの王族が送られてくるでしょう。
 ですが中には、我々が調べ切れない秘密を抱えた王家があるかもしれません。
 そんな王家ならば、マイヤー王国と同じ条件に応じるかもしれません。
 それが確かめられるだけでもやる価値はあります」

 そう口にしましたが、少なくともゲラン王国は近い条件を出してくるでしょう。
 守る気があるかどうかは別にして、マイヤー王国を降伏に追い込むまでの時間稼ぎとして、好条件を提示して来るはずです。
 本当の王子を護るために、影武者の偽王子を御見合いに送り込んで来る可能性もあります。
 やはり密偵の数を増やすべきでしょう。

「姫様が了承して下さるのでしたら、この場で各国に送る使者を決めたいのですが、宜しいでしょうか?」

「構いません。
 いで、できるだけ早く送ってください。
 送る使者は決まっているのですか?」

 ベイリー王国時代は決まっていました。
 各国の使者に選ばれると言う事は、色々と利権を手に入れられることになります。
 一番最初に担当国の情報を手に入れられるので、その情報を上手く使う事で、貿易で大きな利益を手に入れる事ができます。
 当然相手国の担当貴族も、同じように莫大な利益を手に入れる事ができますから、賄賂を送って情報を手に入れようとします。
 我が国の担当貴族も賄賂を送ります。
 より賢く強かな者が勝利して、莫大な利益を手に入れるのです。

 ホワイト王家体制になった事で、各国担当貴族を変える必要があります。
 ホワイト王家と親しい貴族家を抜擢して、王家に有利な情報を集めてもらわなければならないのです。
 裏の情報は密偵を使って非合法に集めますが、公式な国同士の付き合いと情報収集は担当貴族が行うので、信頼ができて能力のある貴族家を抜擢するのです。
 ですが今回はその時間がありません。
 ベイリー王国時代の担当貴族を使うしかありませんが、彼らがホワイト王家を担当国に売り渡さないとは言い切れないのです。
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