侯爵令嬢はデビュタントで婚約破棄され報復を決意する。

克全

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2章

22話

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「それならば仕方ありませんね。
 今の我が国は柱となる王家に求心力がございません。
 そのような状況では、いつ隣国が攻め込んでくるかもしれません。
 王家の専横を望む貴族など一人もいませんが、それ以上に隣国と戦いたくないと思っております。
 こちらが備えているのが知れれば、多少は抑止力になりましょう」

 レイスリー宮中伯は随分とはっきり言ってくれます。
 命知らずだとも言えます。
 ホワイト王家は王家権力を確立しようと躍起になっているところなのです。
 それを邪魔するなど、絶対に許されない事なのです。
 頭が悪く心も狭い王族なら、悪意だけを受け取ってレイスリー宮中伯を処分したでしょうが、私は馬鹿でも狭量でもありません。

「よく言ってくれました。
 宮中伯の言う通りです。
 ホワイト家も元々侯爵家でした。
 貴族家の方々の気持ちはよく分かります。
 王家の専横は許せないでしょう。
 ですが今は我慢して下さい。
 さもないと、他国に蹂躙されてしまいます」

 本音を隠して体裁を整えないといけません。
 貴族達もその事は理解しているでしょう。
 互いの抑止力として、体裁を取り繕った口約束を交わすのです。
 どの貴族も、他の貴族が隣国貴族と手を結び、一貴族家だけ生き残り繁栄するのを恐れ忌み嫌っているのです。
 抜け駆けが許せないのです。

「大将軍閣下の申される通りです。
 どの家も経済的に苦しでしょうから、先ずは体裁だけでいいのです。
 隣国に我が国の貴族が一致団結している事を見せつければよいのです。
 王都に常駐させている家臣を、一時的に大将軍閣下の指揮下に入れるだけならば、経済的な負担は一切ありません」

 全ての貴族がレイスリー宮中伯の言い分を真剣に考慮しています。
 確かに宮中伯の策なら、貴族家に経済的負担を一切与えずに、隣国に我が国の団結を見せつけられ、戦争の抑止力となるでしょう。
 ですが隣国に内通している貴族家は、直ぐにこの情報を隣国に流してしまうでしょうから、限定的な抑止力しかないでしょう。
 
 ですが何をしないよりはいいですし、形だけとは言え、私個人と大将軍位に貴族諸侯軍の指揮権がある前例を作れるのは、凄く大きい事です。
 ホワイト王家の王権強化のためには、大きな大きな一歩なのです。
 宮中伯はその事が分かっているのでしょう。
 表情は動かしていませんが、視線が代償を要求しています。
 確かにこれはずば抜けた功名ですから、大きな褒賞を与えなければなりません。

「ですが、貴族が動くだけではなく、姫様にも動いて頂きたいのです」

 そう言う事ですか。
 王女として国の為に他にもなすべき事があると言いたいのですね。
 言いたいことの予測は付きますが、私の思っている事と、宮中伯が思っている事が一致しているでしょうか?

★★★★★

今までと少し違う恋愛小説を書いてみました。
読んでくださって、気になる点を指摘して頂ければ幸いです。

「公子と公女の恋」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/672198375/119337287?preview=1
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