奴隷魔法使い

克全

文字の大きさ
上 下
35 / 86
王都編

常陸大公家3

しおりを挟む
 「朝野奴隷千人頭代理、御苦労。」

 「は!」

 「多摩を留守にさせて悪いね。」

 「いえ、奴隷上がりの私が千人頭代理では、色々嫌がらせもありまして・・・」

 「だろうね。」

 「王国は、正規千人頭を派遣して、私を小人組頭にすると内示が有りました。」

 「小人組頭は役料40俵だったっけ?」

 「はい。」

 「千人頭の200石とは比べ物にならないね。」

 「はい・・・・・・」

 「じゃ、大和家の家老として、陪臣士族200俵で仕官しない?」

 「有り難き幸せ!」

 「じゃ、前に相談していた魔法使いで仕官希望の冒険者や王国奴隷冒険者を選抜して。」

 「はい、既に選抜は終わっております。」

 「流石だね。」

 「殿様、好かったですね、これで安心して狩りが出来ますね。」

 「殿、多摩からここに来ている奴隷冒険者の魔法使いが仕官を希望しております。」

 「囮役の魔法使いかい?」

 「はい、ヒロミとトモコです。」

 「好い魔法使いじゃないか、家臣になってくれるなんて幸せだな。」

 「はい、殿様、彼女達は優遇をしないといけませんね。」

 「いえ殿、奥方様、扶持は自力で稼げます、今まで通り魔法袋の貸与と、家屋敷に貸与・陪臣士族位を保証してやれば宜しゅうございます。」

 「それで好いのかい?」

 「悪い噂が流れております、陪臣になると固定の扶持となり、狩った獲物は全部殿に上納させられると言う噂でございます。」

 「まあ、なんて酷い噂、殿様がそのようなことなさるわけがございません。」

 「その通りなのですが、噂とは悪意や不安が混ざるものでございます。」

 「朝野は事前に話し合ってくれてるのか?」

 「はい、以前から殿が約束してくださっていたように、狩利益は上納2割・手取8割・陪臣士族位・家屋敷貸与の待遇で間違いないと繰り返し言っております。」

 「判った、では先ずヒロミとトモコに直接会って伝えよう。」

 「ヒロミ、トモコ、家臣になってくれるんだって、ありがとう。」
 「ヒロミ、トモコ、私からもお礼申します。」

 『有り難き幸せ。』

 「それと仕官条件だけど、朝野の言ったように狩りの獲物の2割が上納、8割が手取、魔晶石は除外、陪臣士族位、屋敷地または長屋貸与を約束しよう。」

 『有り難き幸せ。』

 「朝野、双方に契約書を作ろう。」

 「契約書でございますか?」

 「熊野牛王符に誓約するんだよ。」

 「そこまでなさらなくても。」

 「殿様、それが宜しゅうございます。」

 「だろ彩、ヒロミ、トモコそれで好いかい?」

 『殿様、真に勿体無く、有り難いことでございます。』

 「そうだ、家臣になるんだから名字なあざないみなは決めたかい?」

 『はい。』

 「私は弘美にします。」
 「私は智子にします。」

 「うん好い諱だね、名字は?」

 「農家出の私達には名字は無くて・・・・・」

 農民の親が育てられなくて奴隷になったのか。

 「俺や彩も同じだよ、適当につければ好いよ。」

 「そうよ、私は殿様が名乗られた名字を使わせていただいてるだけ。」

 弘美と智子は互いに視線を合わせてうなずいた。

 『殿様、名字をつけてください!』

  「俺が付けるの?」

 『はい、頂ければありがたいです』

 「殿様、二人とも美人だし、美しい名字をつけてあげてください。」

 「うん? 勇ましのを考えていたけど、美しい名字ね?」

 「はい、殿様。」

 2人だし、いずれ椿つばき杜若かきつばたて故事が有ったか?

 「弘美が椿にしよう、椿弘美だ。」

 「ありがとうございます!」

 「智子は杜若智子だ。」

 「ありがとうございます!」

 「さあ、4人で狩りをしよう」

 俺達4人は、常陸大公軍が到着するまで狩りをした。
 ここのボスを誘き寄せ、その実力、特にブレス射程を正確に確認しなければ。

 俺達は魔竜を狩りまくった。
 ボスの属性魔龍が迎撃に来る前に4人の魔法袋は一杯に成ってしまった。
 俺達は常陸大公軍に見せつける意味もあり、彼らが来る予定の冒険者村建設予定地に行った。
 常陸大公家領内に設置予定の冒険者村には、既に組合長も買取長も来ていた。
 彼らに狩ってきた魔竜の査定をさせて、直ぐに又狩りに戻った。
 2度目の狩りも直ぐに魔法袋が満杯になり、取って返して査定をさせた。
 4度目の狩りでようやくボスの属性魔龍が現れた。

 「彩・弘美・智子、無理せず安全第一だ。」

 『はい!』

 八溝山地のボスは行き成りブレスを吐いた!

  俺は魔法防御壁を3重に展開した。
 日々の鍛錬で、飛躍的に増強されている俺と彩の魔力。
 果たしてボスに通用するか?
 試してみたい気もするが、弘美と智子に見られるのは拙い。
 ボスのブレスが魔法防御壁をガリガリ削る。
 だが、壁に魔力を補充して壁を再生させる。

 「彩、射程を計りたい、2人を赤石ボス程度に避難させてくれ。」

 「はい、殿様、2人ともついて来て。」

 『はい。』

 3人を避難させる間、ボスを引き付ける為攻撃する。
 圧縮強化風魔法を砲丸状にして叩きつけた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…

ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。 しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。 気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

性癖の館

正妻キドリ
ファンタジー
高校生の姉『美桜』と、小学生の妹『沙羅』は性癖の館へと迷い込んだ。そこは、ありとあらゆる性癖を持った者達が集う、変態達の集会所であった。露出狂、SMの女王様と奴隷、ケモナー、ネクロフィリア、ヴォラレフィリア…。色々な変態達が襲ってくるこの館から、姉妹は無事脱出できるのか!?

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

幻の十一代将軍・徳川家基、死せず。長谷川平蔵、田沼意知、蝦夷へ往く。

克全
歴史・時代
 西欧列強に不平等条約を強要され、内乱を誘発させられ、多くの富を収奪されたのが悔しい。  幕末の仮想戦記も考えましたが、徳川家基が健在で、田沼親子が権力を維持していれば、もっと余裕を持って、開国準備ができたと思う。  北海道・樺太・千島も日本の領地のままだっただろうし、多くの金銀が国外に流出することもなかったと思う。  清国と手を組むことも出来たかもしれないし、清国がロシアに強奪された、シベリアと沿海州を日本が手に入れる事が出来たかもしれない。  色々真剣に検討して、仮想の日本史を書いてみたい。 一橋治済の陰謀で毒を盛られた徳川家基であったが、奇跡的に一命をとりとめた。だが家基も父親の十代将軍:徳川家治も誰が毒を盛ったのかは分からなかった。家基は田沼意次を疑い、家治は疑心暗鬼に陥り田沼意次以外の家臣が信じられなくなった。そして歴史は大きく動くことになる。 印旛沼開拓は成功するのか? 蝦夷開拓は成功するのか? オロシャとは戦争になるのか? 蝦夷・千島・樺太の領有は徳川家になるのか? それともオロシャになるのか? 西洋帆船は導入されるのか? 幕府は開国に踏み切れるのか? アイヌとの関係はどうなるのか? 幕府を裏切り異国と手を結ぶ藩は現れるのか?

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

処理中です...