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王都編
常陸大公家2
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俺に対する襲撃時に、何時でも俺に助太刀できる態勢を取っていた者がいた。可也の武芸者だろう、常陸家に知人がいない以上、この漢を信じるしか道は無い。
「貴君、信じる仲間を選んで重臣共を取り押さえろ。」
「何故だ、御家のためになるのか?」
ほう、肝が据わってるな。
「このままでは常陸家は降格を免れん。」
「天下の御三家、大公家が降格などありえん。」
「王家の全権特使を襲撃し殺そうとしたんだ、大公殿下を無罪にするには家を処分するしかあるまい。」
「城代以下、重臣団の切腹か斬首では無理か?」
「国王陛下は、常陸家の財政赤字を解消させるための狩場設置と、狩りでの常陸家陪臣安全の為に囮狩場を設置しようと俺を派遣した。」
「ああ。」
「大公殿下も王家重臣団も納得の上でだ。」
「それで?」
「王都の全貴族家も興味津々だ、不公平な裁定はくだせん。」
「それが?」
「先代国王陛下が処分された、越前公爵家を忘れたか!」
「公爵家内の後継争いだけで、公爵家から侯爵家への降格、領地の移封減封だ。」
「うぅぅぅぅ。」
「越前公爵家は、建国王の長子で武勇誉れ高き武将であった、建国の戦いでも十二分の活躍をなされた、にも拘らず王家を継げなかった。それどころか、大公にすら封ぜられなかった。」
「知ってる。」
「それゆえ、代々の国王陛下は越前家に一方ならぬ配慮をされてきた、それを先代国王陛下は王権の強化の為に厳罰に処せられた、建国の戦いに一切貢献せず、天下平定後に産まれただけの常陸家、大公家に封じられた御三家は建国には何の功もない、この謀反騒ぎに対する罰で降格移封減封は免れん。」
「ならばどうせよと言う?」
「国王陛下は王国の狩場設置は御考えでなかったが、このような仕儀になった以上、常陸家から献上するしかあるまい。」
「減封か。」
「千石程度で好かろう。」
「その程度で済むか?」
「口添えしよう、それに今回処分する謀反人と城代以下重臣団の領地を没収すれば、むしろ大公殿下の蔵入り地は増える。」
「黒字になるか?」
「城代の中山だけで2万石、全部合わせれば4万は超えるだろう?」
「たぶん・・・・・・」
あ? こいつは武辺馬鹿か!
石高の足し算引き算も出来ん馬鹿か?
それに・・・・重臣団はこれだけ無駄話してるのに、襲いも逃げもしない。
さっきの戦闘を見て観念したか?
腰抜けの集まりだな、これじゃいざ戦争になっても足手纏いどころか敵の手助けになっちまうな。
「膝を砕いた謀反人どもは、家族を呼んで狩場予定地まで運ばせろ。」
「判った、落合! 配下を率いて家々を回れ。」
「は!」
武辺馬鹿でも信望ははあるのかな?
「残ったものは城代以下に縄をかけよ!」
俺は居残った戦士達に命じた。
「かかれ!」
俺の指示には戸惑っていた戦士達も、武辺馬鹿の言うことは素直に聞いた。
「貴様の名前は?」
「月島剣刀。」
「一寸は敬語使ったら?」
「無理。」
駄目だわ、重臣に縄をかけてる戦士達もチラ目で諦め顔だわ。
「戦士達に俺に命令に即従うように指示しろ。」
「従え!」
『は!』
「御前、常陸家での役職は?」
「武術指南役。」
見た目通りか!
城の陣触れ太鼓に一大事と全家臣が1時間で駆けつけた。各陪臣家の当主だけでなく、剣を持てる男子が全て駆けつけたようだ。
「処分を言い渡す、反逆者と黒幕達は罪1等を減じ追放とする、所領は常陸家の蔵入り地とし、私財の持ち出しは自由、他の貴族家士族家へに仕官も許す。」
「おおおおお。」
「但し、国王陛下と常陸大公が何を成そうとされていたか、己等が如何に愚かであったかを知ってもらうため、狩場設置に同行させる。」
重臣団は縄で縛って、膝を砕かれた反逆者は家族に背負わせ八溝山地の魔境に向かった。
八溝山地は阿武隈高地と続く、比較的低いが中規模の魔境だ。騎兵は馬で、歩兵は駆け足で常陸大公軍は陸上を向かったが、俺と彩は盥空船で先乗りした。
「殿様、馬鹿な者どもでしたね。」
「うん、これでは大公も御苦労されていただろうね。」
「大公様は・・・・・」
「王都で御会いして御挨拶したけど、真っ当な方だったよ。」
「そうですか。」
彩も言葉に気を付けてるな、不敬な言葉遣いは出来んもんな。
「王都の家老も用人も真面な人だったから、付家老の城代が思いあがっていたんだろうね。」
「さっきの処分を大公様も国王陛下も認めて下さるでしょうか?」
「大丈夫だと思うけど、反対なら王命で引っ繰り返されればいいだけさ。」
「殿様の面子は潰れてしまいませんか?」
「奴隷上がりの俺の面子なんかどうでもいいさ、むしろ潰れた方が名門の貴族士族は溜飲が下がって、俺への風当たりが少なくなるかもしれん。」
「どちらでも殿様の不利にはならないということですか。」
「うん、心配してくれてありがとう、大丈夫だよ」
「はい! 殿様!!」
「見えてきたな、冒険者組合が約束通り準備してくれてるね。」
「貴君、信じる仲間を選んで重臣共を取り押さえろ。」
「何故だ、御家のためになるのか?」
ほう、肝が据わってるな。
「このままでは常陸家は降格を免れん。」
「天下の御三家、大公家が降格などありえん。」
「王家の全権特使を襲撃し殺そうとしたんだ、大公殿下を無罪にするには家を処分するしかあるまい。」
「城代以下、重臣団の切腹か斬首では無理か?」
「国王陛下は、常陸家の財政赤字を解消させるための狩場設置と、狩りでの常陸家陪臣安全の為に囮狩場を設置しようと俺を派遣した。」
「ああ。」
「大公殿下も王家重臣団も納得の上でだ。」
「それで?」
「王都の全貴族家も興味津々だ、不公平な裁定はくだせん。」
「それが?」
「先代国王陛下が処分された、越前公爵家を忘れたか!」
「公爵家内の後継争いだけで、公爵家から侯爵家への降格、領地の移封減封だ。」
「うぅぅぅぅ。」
「越前公爵家は、建国王の長子で武勇誉れ高き武将であった、建国の戦いでも十二分の活躍をなされた、にも拘らず王家を継げなかった。それどころか、大公にすら封ぜられなかった。」
「知ってる。」
「それゆえ、代々の国王陛下は越前家に一方ならぬ配慮をされてきた、それを先代国王陛下は王権の強化の為に厳罰に処せられた、建国の戦いに一切貢献せず、天下平定後に産まれただけの常陸家、大公家に封じられた御三家は建国には何の功もない、この謀反騒ぎに対する罰で降格移封減封は免れん。」
「ならばどうせよと言う?」
「国王陛下は王国の狩場設置は御考えでなかったが、このような仕儀になった以上、常陸家から献上するしかあるまい。」
「減封か。」
「千石程度で好かろう。」
「その程度で済むか?」
「口添えしよう、それに今回処分する謀反人と城代以下重臣団の領地を没収すれば、むしろ大公殿下の蔵入り地は増える。」
「黒字になるか?」
「城代の中山だけで2万石、全部合わせれば4万は超えるだろう?」
「たぶん・・・・・・」
あ? こいつは武辺馬鹿か!
石高の足し算引き算も出来ん馬鹿か?
それに・・・・重臣団はこれだけ無駄話してるのに、襲いも逃げもしない。
さっきの戦闘を見て観念したか?
腰抜けの集まりだな、これじゃいざ戦争になっても足手纏いどころか敵の手助けになっちまうな。
「膝を砕いた謀反人どもは、家族を呼んで狩場予定地まで運ばせろ。」
「判った、落合! 配下を率いて家々を回れ。」
「は!」
武辺馬鹿でも信望ははあるのかな?
「残ったものは城代以下に縄をかけよ!」
俺は居残った戦士達に命じた。
「かかれ!」
俺の指示には戸惑っていた戦士達も、武辺馬鹿の言うことは素直に聞いた。
「貴様の名前は?」
「月島剣刀。」
「一寸は敬語使ったら?」
「無理。」
駄目だわ、重臣に縄をかけてる戦士達もチラ目で諦め顔だわ。
「戦士達に俺に命令に即従うように指示しろ。」
「従え!」
『は!』
「御前、常陸家での役職は?」
「武術指南役。」
見た目通りか!
城の陣触れ太鼓に一大事と全家臣が1時間で駆けつけた。各陪臣家の当主だけでなく、剣を持てる男子が全て駆けつけたようだ。
「処分を言い渡す、反逆者と黒幕達は罪1等を減じ追放とする、所領は常陸家の蔵入り地とし、私財の持ち出しは自由、他の貴族家士族家へに仕官も許す。」
「おおおおお。」
「但し、国王陛下と常陸大公が何を成そうとされていたか、己等が如何に愚かであったかを知ってもらうため、狩場設置に同行させる。」
重臣団は縄で縛って、膝を砕かれた反逆者は家族に背負わせ八溝山地の魔境に向かった。
八溝山地は阿武隈高地と続く、比較的低いが中規模の魔境だ。騎兵は馬で、歩兵は駆け足で常陸大公軍は陸上を向かったが、俺と彩は盥空船で先乗りした。
「殿様、馬鹿な者どもでしたね。」
「うん、これでは大公も御苦労されていただろうね。」
「大公様は・・・・・」
「王都で御会いして御挨拶したけど、真っ当な方だったよ。」
「そうですか。」
彩も言葉に気を付けてるな、不敬な言葉遣いは出来んもんな。
「王都の家老も用人も真面な人だったから、付家老の城代が思いあがっていたんだろうね。」
「さっきの処分を大公様も国王陛下も認めて下さるでしょうか?」
「大丈夫だと思うけど、反対なら王命で引っ繰り返されればいいだけさ。」
「殿様の面子は潰れてしまいませんか?」
「奴隷上がりの俺の面子なんかどうでもいいさ、むしろ潰れた方が名門の貴族士族は溜飲が下がって、俺への風当たりが少なくなるかもしれん。」
「どちらでも殿様の不利にはならないということですか。」
「うん、心配してくれてありがとう、大丈夫だよ」
「はい! 殿様!!」
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