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ローファン王国・ビラン街

遠視と遠話

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ローファン王国:ビラン郊外の森の中

(おいリュウ、まさかとは思うが、皆殺しにするつもりじゃないだろうな?)

(なんだ、遠視で見ていたのか?)

(ああ見ていたよ)

(ミノルは子供に料理を教えていたのではないのか?)

(ちゃんと教えているよ。教えながらリュウの事も見ていたんだよ)

(酔狂(すいきょう)だな、いや、暇なのか?)

(リュウがやり過ぎないように見ていたんだよ)

(別に何もやり過ぎてないぞ)

(大量に殺して蘇生させていただろ!)

(それも見ていたのか?)

(当然だ、見ていたよ)

(文句があるのか?)

(それは蘇生させたから文句はないが、他が心配だ。もしかしてビランに攻め寄せる軍勢を、攻撃するつもりじゃないだろうな?)

(攻撃する心算だったとしたら、文句があるのか?)

(攻撃するのはいいが、殺すなよ)

(ミノルはいつも身勝手な事を言う!)

(さっきやり過ぎて殺しただろ、今回も殺すのはやり過ぎなのだよ)

(なぜだ、人間などどれほど殺そうがすぐ増えるものだ)

(あのなぁ~、これ以上の介入は、原初の人間との戦いになるんじゃないのか?)

(余は別に戦いになっても構わんぞ)

(俺は構うし嫌なんだよ! もし戦う事になったら、俺はセイの世界に籠って、リュウには会わんからな。当然2度と料理は作らんし、もし開拓村が戦いに巻き込まれて全滅したら、リュウに料理を作る人間はいなくなるぞ)

(うぬぅぅぅぅぅ)

(うぬぅぅぅぅぅじゃないよ、分かってるのか? 本当に食べれなくなってもいいんだな?)

(ぃゃ)

(なんだって?)

(いやだといってる)

(だったら手加減しろ)

(手加減は苦手だ。いや、モンスターならばともかく、脆弱ぜいじゃくな人間を手加減するのは難しいのだ)

(ミノル、確かに人間相手にリュウに手加減させるのは難しいぞ)

(なぜだセイ?)

(人間の中にも、まれに強力な者がいる。そいつを基準に戦えば、周りの脆弱な人間を潰してしまうのだ。いや、それ以前に、リュウの最弱の力でも、ほとんどの人間が潰れてしまうだろう)

(あ~、だがな、できれば俺も、もう大軍相手に戦いたくはないんだがな)

(我が戦わせたトラウマとやらか?)

(ああ、死屍累々ししるいるいたる光景は、もう2度と見たくないからな)

(だがある程度の人数なら大丈夫だな、今までも結構人間相手に戦っていたろ?)

(そうだな、だが大量虐殺は最初の1回だけだぞ)

(ふむ)

(おい、余はどうすればいいのだ? このまま帰ってもいいのか?)
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