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ローファン王国・ビラン街
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今回リュウは随分と親切で、俺とセイだけでなくアグネスと白虎も背に乗せてローファン王国のビラン街まで運んでくれた。まあ運ぶと言っても限界があって、ビラン街の将兵や冒険者に気配を察知される訳にはいかないから、適当に離れた場所に降ろしてもらう心算だったのだが。
「余を舐めるではない、人種の兵士や冒険者に気配を察知されるはずがないであろう!」
「そうなのか? ジャイアント・レッドベアーを狩るほどの冒険者がいる街だから、リュウでも気配を察知されるかと心配だったんだが」
「馬鹿者! 余とジャイアント・レッドベアー如きを同列に扱うではない。余やセイどころか、四聖獣の一族である白虎も、この程度の街の冒険者如きに気配を察知されたりせんわ!」
「そうなのか? それは失礼な事を言ってしまったな、ごめんな」
「まぁよい、では視認されぬ程度まで近づくぞ」
「いや、それではアグネスと白虎のキャンプ地を探しに戻らねばならなくなる、やはり適当な手前で降ろしてくれ」
「ふむ、仕方ないな、それでは人種が来れないようなモンスターの棲家で、白虎の結界を突破出来るモンスターが居ない場所に降ろしてやる」
「それはすごいが、そんな都合のいい場所が有るのか?」
「任せろ、それくらい簡単な事だ」
どうも迂闊な事を言ってリュウを少し怒らせてしまったようだが、これからは言葉に気をつけよう。ドラゴンのメンタルなど想像もできないから、不用意な言葉で怒らせてセイとリュウの喧嘩が勃発すると大変だ。
下手をするとこの世界を崩壊させかねないような、とんでもない大喧嘩に発展するかもしれない。そんな事になったら原初の人間も黙っていないだろうから、セイの世界やリュウの世界まで巻き込んだ、異世界間大戦争になってしまうかもしれない。そんな事になったら、俺の不完全な良心回路が激痛を発してしまう。
そんな詰まらない事を考えているうちに、リュウが適当な場所を見つけてくれたようだ。
「まあ念のために余の気配をつけておいてやる、余の気配を察した獣や魔獣・モンスターは絶対近寄ってこないから、ここほど安全な場所はない」
「そうか、それは助かるよ、ありがとう」
リュウはさっさと飛び去って行ったが、恐らく開拓村で牛肉料理のフルコースを食べに行ったのだろう。村の人々には悪いが、リュウの御守りをしてもらえると助かる。
「セイ、リュウは気配をつけておくから大丈夫と言っていたが、本当に大丈夫なのか?」
「ああ大丈夫だ、とは言ってもミノルはアグネスが心配であろう」
「まぁそう言い事だ」
「主、俺を信用してないのか?」
「そう言う事では無いんだよ白虎、人間は心配性なんだ」
「仕方ないな、美味しい物を食べさせてくれたら許してやる」
「夜には街からこっちに戻るから、その時に食べさせてやるよ」
「そうか、ならいいぞ」
俺はアグネスの安全を確保する為に、蚊帳バリアー付きの天蓋ベットをアイテムボックスから出した。一緒に出したジャグジーとプールにも、防御結界を常時発動するように魔法をかけておいた。そんな事をすると、俺の魔力が常に消費されてしまうのだが、セイの話では俺の回復力なら全く問題がないそうだ。
そう聞くともっと安全を高めたいので、リュウがつけた気配をセイに確認してもらい、その内側ギリギリのところに全体を包む防御結界を常時展開することにした。
「余を舐めるではない、人種の兵士や冒険者に気配を察知されるはずがないであろう!」
「そうなのか? ジャイアント・レッドベアーを狩るほどの冒険者がいる街だから、リュウでも気配を察知されるかと心配だったんだが」
「馬鹿者! 余とジャイアント・レッドベアー如きを同列に扱うではない。余やセイどころか、四聖獣の一族である白虎も、この程度の街の冒険者如きに気配を察知されたりせんわ!」
「そうなのか? それは失礼な事を言ってしまったな、ごめんな」
「まぁよい、では視認されぬ程度まで近づくぞ」
「いや、それではアグネスと白虎のキャンプ地を探しに戻らねばならなくなる、やはり適当な手前で降ろしてくれ」
「ふむ、仕方ないな、それでは人種が来れないようなモンスターの棲家で、白虎の結界を突破出来るモンスターが居ない場所に降ろしてやる」
「それはすごいが、そんな都合のいい場所が有るのか?」
「任せろ、それくらい簡単な事だ」
どうも迂闊な事を言ってリュウを少し怒らせてしまったようだが、これからは言葉に気をつけよう。ドラゴンのメンタルなど想像もできないから、不用意な言葉で怒らせてセイとリュウの喧嘩が勃発すると大変だ。
下手をするとこの世界を崩壊させかねないような、とんでもない大喧嘩に発展するかもしれない。そんな事になったら原初の人間も黙っていないだろうから、セイの世界やリュウの世界まで巻き込んだ、異世界間大戦争になってしまうかもしれない。そんな事になったら、俺の不完全な良心回路が激痛を発してしまう。
そんな詰まらない事を考えているうちに、リュウが適当な場所を見つけてくれたようだ。
「まあ念のために余の気配をつけておいてやる、余の気配を察した獣や魔獣・モンスターは絶対近寄ってこないから、ここほど安全な場所はない」
「そうか、それは助かるよ、ありがとう」
リュウはさっさと飛び去って行ったが、恐らく開拓村で牛肉料理のフルコースを食べに行ったのだろう。村の人々には悪いが、リュウの御守りをしてもらえると助かる。
「セイ、リュウは気配をつけておくから大丈夫と言っていたが、本当に大丈夫なのか?」
「ああ大丈夫だ、とは言ってもミノルはアグネスが心配であろう」
「まぁそう言い事だ」
「主、俺を信用してないのか?」
「そう言う事では無いんだよ白虎、人間は心配性なんだ」
「仕方ないな、美味しい物を食べさせてくれたら許してやる」
「夜には街からこっちに戻るから、その時に食べさせてやるよ」
「そうか、ならいいぞ」
俺はアグネスの安全を確保する為に、蚊帳バリアー付きの天蓋ベットをアイテムボックスから出した。一緒に出したジャグジーとプールにも、防御結界を常時発動するように魔法をかけておいた。そんな事をすると、俺の魔力が常に消費されてしまうのだが、セイの話では俺の回復力なら全く問題がないそうだ。
そう聞くともっと安全を高めたいので、リュウがつけた気配をセイに確認してもらい、その内側ギリギリのところに全体を包む防御結界を常時展開することにした。
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