10 / 37
第9話5日目の出来事2
しおりを挟む
法も論もなかった。
龍神に大切なのは、自分が気に入っているかいないか、それだけだった。
その点でいえば、龍神はシャロンの事を大いに気に入っていた。
だからシャロンの願いは無条件でかなえてあげるつもりだった。
だが同時に、それがもとでシャロンが傷つく事を気にしていた。
シャロンが助けた人間が、他の人間を傷つけたら、シャロンがとても哀しみ傷つく事が目に見えていた。
(やれ、やれ、しかたないね。
シャロンが望むのなら助けてあげるよ。
だけどね、これだけは忘れてはいけないよ。
人間の本性は、どうしようもない悪なんだ。
シャロンが助けた人間が、他の人を傷つけ殺すことになっても、それは人間の本性で、シャロンの責任ではないよ。
それを忘れず、そんな事になっても気にしないと約束するのなら、助けるよ)
(ありがとう!
絶対に忘れないわ。
だから助けてあげて、龍ちゃん)
龍神はシャロンの言葉を全く信じていなかった。
そのような状況になれば、シャロンが激しく後悔して哀しむのが目に見えていた。
だから単純に助けたりはしなかった。
助けた人間を囲い込んで、他の人間を傷つけないようにするつもりだった。
だがその前にしなければいけない事があった。
(山賊共がこれからも人を傷つけ殺せないように、ここで処分するからね。
シャロンはそんなところも見たくないだろうから、ここで静かにしていてね)
(分かったわ。
卑怯だとは思うけど、私は弱いから、そうさせてもらうわね。
ごめんね、龍ちゃん)
龍神は情け容赦なく山賊共を切り刻んだ。
龍神にとっては、息をするようなわずかな魔力だが、それを叩きつける事で、山賊共は首と四肢が宙を舞い、血しぶきが吹き荒れた。
これは助ける民への警告でもあった。
龍神との約束を破れば、同じ目にあわすという警告だった。
だがその惨状は、シャロンには分からない状態だった。
締め切られた馬車の中には、音も気配も伝わらなかった。
同時に、近衛騎士の眼にも映らず耳にも伝わらなかった。
近衛騎士達には、偽りの情景が映り伝わっていた。
王太子の手先となった山賊達が、国王陛下を弑逆しようと自分達に襲い掛かり、返り討ちした記憶になっていて、抑えきれない王太子への怒りとなっていた。
(余は龍の神である。
余と龍神の巫女の慈悲により、お前達を助けてやる。
だが絶対に忘れるな。
余と巫女の慈悲を踏み躙り、人を傷つけ害する者には、天罰をくだす。
ここにる余の分身は、お前達を護る守護者であると同時に、お前達の悪事を調べ罰を罰をあたえる断罪者でもある。
その事を絶対に忘れるな)
龍神は龍神鱗兵を十体貸し与え、村を護り見張らせることにした。
龍神に大切なのは、自分が気に入っているかいないか、それだけだった。
その点でいえば、龍神はシャロンの事を大いに気に入っていた。
だからシャロンの願いは無条件でかなえてあげるつもりだった。
だが同時に、それがもとでシャロンが傷つく事を気にしていた。
シャロンが助けた人間が、他の人間を傷つけたら、シャロンがとても哀しみ傷つく事が目に見えていた。
(やれ、やれ、しかたないね。
シャロンが望むのなら助けてあげるよ。
だけどね、これだけは忘れてはいけないよ。
人間の本性は、どうしようもない悪なんだ。
シャロンが助けた人間が、他の人を傷つけ殺すことになっても、それは人間の本性で、シャロンの責任ではないよ。
それを忘れず、そんな事になっても気にしないと約束するのなら、助けるよ)
(ありがとう!
絶対に忘れないわ。
だから助けてあげて、龍ちゃん)
龍神はシャロンの言葉を全く信じていなかった。
そのような状況になれば、シャロンが激しく後悔して哀しむのが目に見えていた。
だから単純に助けたりはしなかった。
助けた人間を囲い込んで、他の人間を傷つけないようにするつもりだった。
だがその前にしなければいけない事があった。
(山賊共がこれからも人を傷つけ殺せないように、ここで処分するからね。
シャロンはそんなところも見たくないだろうから、ここで静かにしていてね)
(分かったわ。
卑怯だとは思うけど、私は弱いから、そうさせてもらうわね。
ごめんね、龍ちゃん)
龍神は情け容赦なく山賊共を切り刻んだ。
龍神にとっては、息をするようなわずかな魔力だが、それを叩きつける事で、山賊共は首と四肢が宙を舞い、血しぶきが吹き荒れた。
これは助ける民への警告でもあった。
龍神との約束を破れば、同じ目にあわすという警告だった。
だがその惨状は、シャロンには分からない状態だった。
締め切られた馬車の中には、音も気配も伝わらなかった。
同時に、近衛騎士の眼にも映らず耳にも伝わらなかった。
近衛騎士達には、偽りの情景が映り伝わっていた。
王太子の手先となった山賊達が、国王陛下を弑逆しようと自分達に襲い掛かり、返り討ちした記憶になっていて、抑えきれない王太子への怒りとなっていた。
(余は龍の神である。
余と龍神の巫女の慈悲により、お前達を助けてやる。
だが絶対に忘れるな。
余と巫女の慈悲を踏み躙り、人を傷つけ害する者には、天罰をくだす。
ここにる余の分身は、お前達を護る守護者であると同時に、お前達の悪事を調べ罰を罰をあたえる断罪者でもある。
その事を絶対に忘れるな)
龍神は龍神鱗兵を十体貸し与え、村を護り見張らせることにした。
2
お気に入りに追加
1,330
あなたにおすすめの小説
転生令嬢だと打ち明けたら、婚約破棄されました。なので復讐しようと思います。
柚木ゆず
恋愛
前世の記憶と膨大な魔力を持つサーシャ・ミラノは、ある日婚約者である王太子ハルク・ニースに、全てを打ち明ける。
だが――。サーシャを待っていたのは、婚約破棄を始めとした手酷い裏切り。サーシャが持つ力を恐れたハルクは、サーシャから全てを奪って投獄してしまう。
信用していたのに……。
酷い……。
許せない……!。
サーシャの復讐が、今幕を開ける――。
【完結】「異世界に召喚されたら聖女を名乗る女に冤罪をかけられ森に捨てられました。特殊スキルで育てたリンゴを食べて生き抜きます」
まほりろ
恋愛
※小説家になろう「異世界転生ジャンル」日間ランキング9位!2022/09/05
仕事からの帰り道、近所に住むセレブ女子大生と一緒に異世界に召喚された。
私たちを呼び出したのは中世ヨーロッパ風の世界に住むイケメン王子。
王子は美人女子大生に夢中になり彼女を本物の聖女と認定した。
冴えない見た目の私は、故郷で女子大生を脅迫していた冤罪をかけられ追放されてしまう。
本物の聖女は私だったのに……。この国が困ったことになっても助けてあげないんだから。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろう先行投稿。カクヨム、エブリスタにも投稿予定。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
婚約者を義妹に奪われましたが貧しい方々への奉仕活動を怠らなかったおかげで、世界一大きな国の王子様と結婚できました
青空あかな
恋愛
アトリス王国の有名貴族ガーデニー家長女の私、ロミリアは亡きお母様の教えを守り、回復魔法で貧しい人を治療する日々を送っている。
しかしある日突然、この国の王子で婚約者のルドウェン様に婚約破棄された。
「ロミリア、君との婚約を破棄することにした。本当に申し訳ないと思っている」
そう言う(元)婚約者が新しく選んだ相手は、私の<義妹>ダーリー。さらには失意のどん底にいた私に、実家からの追放という仕打ちが襲い掛かる。
実家に別れを告げ、国境目指してトボトボ歩いていた私は、崖から足を踏み外してしまう。
落ちそうな私を助けてくれたのは、以前ケガを治した旅人で、彼はなんと世界一の超大国ハイデルベルク王国の王子だった。そのままの勢いで求婚され、私は彼と結婚することに。
一方、私がいなくなったガーデニー家やルドウェン様の評判はガタ落ちになる。そして、召使いがいなくなったガーデニー家に怪しい影が……。
※『小説家になろう』様と『カクヨム』様でも掲載しております
「これは私ですが、そちらは私ではありません」
イチイ アキラ
恋愛
試験結果が貼り出された朝。
その掲示を見に来ていたマリアは、王子のハロルドに指をつきつけられ、告げられた。
「婚約破棄だ!」
と。
その理由は、マリアが試験に不正をしているからだという。
マリアの返事は…。
前世がある意味とんでもないひとりの女性のお話。
完】異端の治癒能力を持つ令嬢は婚約破棄をされ、王宮の侍女として静かに暮らす事を望んだ。なのに!王子、私は侍女ですよ!言い寄られたら困ります!
仰木 あん
恋愛
マリアはエネローワ王国のライオネル伯爵の長女である。
ある日、婚約者のハルト=リッチに呼び出され、婚約破棄を告げられる。
理由はマリアの義理の妹、ソフィアに心変わりしたからだそうだ。
ハルトとソフィアは互いに惹かれ、『真実の愛』に気付いたとのこと…。
マリアは色々な物を継母の連れ子である、ソフィアに奪われてきたが、今度は婚約者か…と、気落ちをして、実家に帰る。
自室にて、過去の母の言葉を思い出す。
マリアには、王国において、異端とされるドルイダスの異能があり、強力な治癒能力で、人を癒すことが出来る事を…
しかしそれは、この国では迫害される恐れがあるため、内緒にするようにと強く言われていた。
そんな母が亡くなり、継母がソフィアを連れて屋敷に入ると、マリアの生活は一変した。
ハルトという婚約者を得て、家を折角出たのに、この始末……。
マリアは父親に願い出る。
家族に邪魔されず、一人で静かに王宮の侍女として働いて生きるため、再び家を出るのだが………
この話はフィクションです。
名前等は実際のものとなんら関係はありません。
【完結】バッドエンドの落ちこぼれ令嬢、巻き戻りの人生は好きにさせて貰います!
白雨 音
恋愛
伯爵令嬢エレノアは、容姿端麗で優秀な兄姉とは違い、容姿は平凡、
ピアノや刺繍も苦手で、得意な事といえば庭仕事だけ。
家族や周囲からは「出来損ない」と言われてきた。
十九歳を迎えたエレノアは、侯爵家の跡取り子息ネイサンと婚約した。
次期侯爵夫人という事で、厳しい教育を受ける事になったが、
両親の為、ネイサンの為にと、エレノアは自分を殺し耐えてきた。
だが、結婚式の日、ネイサンの浮気を目撃してしまう。
愚行を侯爵に知られたくないネイサンにより、エレノアは階段から突き落とされた___
『死んだ』と思ったエレノアだったが、目を覚ますと、十九歳の誕生日に戻っていた。
与えられたチャンス、次こそは自分らしく生きる!と誓うエレノアに、曾祖母の遺言が届く。
遺言に従い、オースグリーン館を相続したエレノアを、隣人は神・精霊と思っているらしく…??
異世界恋愛☆ ※元さやではありません。《完結しました》
【完結】妹のせいで貧乏くじを引いてますが、幸せになります
禅
恋愛
妹が関わるとロクなことがないアリーシャ。そのため、学校生活も後ろ指をさされる生活。
せめて普通に許嫁と結婚を……と思っていたら、父の失態で祖父より年上の男爵と結婚させられることに。そして、許嫁はふわカワな妹を選ぶ始末。
普通に幸せになりたかっただけなのに、どうしてこんなことに……
唯一の味方は学友のシーナのみ。
アリーシャは幸せをつかめるのか。
※小説家になろうにも投稿中
君を愛す気はない?どうぞご自由に!あなたがいない場所へ行きます。
みみぢあん
恋愛
貧乏なタムワース男爵家令嬢のマリエルは、初恋の騎士セイン・ガルフェルト侯爵の部下、ギリス・モリダールと結婚し初夜を迎えようとするが… 夫ギリスの暴言に耐えられず、マリエルは神殿へ逃げこんだ。
マリエルは身分違いで告白をできなくても、セインを愛する自分が、他の男性と結婚するのは間違いだと、自立への道をあゆもうとする。
そんなマリエルをセインは心配し… マリエルは愛するセインの優しさに苦悩する。
※ざまぁ系メインのお話ではありません、ご注意を😓
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる